鶴岡市の食肉処理業者がイノシシやシカなどの有害鳥獣を「ジビエ」として活用
山形県内で捕獲したイノシシなどの有害鳥獣を食用として活用する取り組みが新たに始まりました。廃棄せざるを得なかった命を無駄にすることなく「おいしく食べる」取り組みを取材しました。
鶴岡市から委託を受け田畑を荒らすイノシシやシカなど有害鳥獣を捕獲している佐藤昌志さん。
この日、鶴岡市内の山中に仕掛けた罠にかかったのはイノシシです。周辺の田んぼではイノシシによる被害が相次いでいました。
近年、エサを求めて人里に下りてくる野生動物が増加していますが、捕獲した有害鳥獣の肉を食用として活用するには解体や精肉を行う「食肉処理業」の許可が必要です。
イノシシの重さ「108キロ」
佐藤さんはことし3月、「食肉処理業」の許可を取り、捕獲した有害鳥獣を食用に解体・精肉する施設「たがわジビエ」を鶴岡市内につくりました。
たがわジビエ佐藤 昌志さん「人間にとって農業被害なり、害とされている獣を食用として捕獲してそれを資源に変えるという活動をメインでやっています」
有害鳥獣の捕獲を行っている10人がメンバーとなり、これまで廃棄せざるを得なかった有害鳥獣の命を無駄にすることなく現在、飲食店を対象に販売しています。
解体と精肉を担当しているのは佐藤さんと狩猟歴7年の加藤聡さんの2人です。
たがわジビエ加藤 聡さん「7年前に比べても何十倍、被害・目撃があっていままでこういう施設が無かったので販売もできないし、イノシシを獲っても埋葬だったりうまく食肉につながっていなかった」
食用として販売できる有害鳥獣を捕獲したときに料理人に情報を送り、購入希望者を募っています。
加藤さん「きょうは3時間かかりました。大変でした。ただこれが料理人につながっておいしい料理になるのでそれが楽しみです」
たがわジビエから食肉を購入している最上町のフランス料理店「トトマビ」です。
トトマビ オーナーシェフ松田 清也さん「ジビエという言葉もフランス語だしフランスではポピュラーであり、花形の食材になっている。県内にジビエ肉の加工所がなかなかないので周辺ではたくさん獲れているのにレストランで使えない歯がゆさがあったがたがわジビエのおかげで堂々と山形県産のジビエを使わさせてもらっています」
フランスに渡り修行した松田さんは食材を余すことなく全て使うことがフランス料理の基本と話します。
松田さん「たがわジビエから買った本州鹿の肉。半身の状態で買った後に骨から肉を外して焼いておいしい部位と加工しないとおいしく食べられない部位があります。焼き切った肉のくず、骨も焼き切ってスジ張ったものを全部水から煮だして全部無駄なく食べるようにソースにしていく」
「お待たせしました」「おいしそう」「ロースの肉。一番ローストする中では柔らかくておいしいという部位を1時間くらいローストした」「こちらはシカ肉のソーセージ」「うん、おいしいね」
この日はシカとイノシシを使った3皿がコース料理として提供されました。
客「臭みもなくてすごくおいしい肉だった。特にシカに感動した。有害鳥獣のシカとかイノシシをただ駆除して終わりということではなくて活用して自分たちの血や肉になるというのは素晴らしいこと」
松田さん「人間の都合で奪っている命になるので有効に活用して食材、頭からつま先まで無駄なく使いたい、命を無駄にしたくないという思いが全く同じだと思ってたがわジビエの思いと通ずる部分だと思う」
奪った命を無駄にせず「おいしく食べる」
たがわジビエ加藤 聡さん「ジビエおいしいというイメージをもってもらうのが理想、わかってほしいどうしても『かわいそう』『殺さないで』という意見もあると思うが駆除しないとどんどん農被害が出てきているので」
たがわジビエ佐藤 昌志さん「獣の命をとってよいという許可をもらった人間なので山に捨てるとか燃やすとかそういうことよりも人に食べてもらうことで供養になるのではという自分への慰めでもある。めぐる命に変換する仕事を誇りをもってやっていきたい」
人里と自然との距離が年々、近づく中、人が奪った命を活用する取り組みが今後、さらに必要なのかもしれません。

