この記事をまとめると

■緊急走行中のクルマと事故を起こした場合の過失割合を解説

■基本的に普通車側8、緊急車両側2といった割合で処理されることが多い

■運転中は視界だけでなく周囲の音にも木を配ることが大切だ

余程のことは無い限り過失が大きいのは普通車側のドライバー

 ドライバーなら誰でも知っているとおり、サイレンを鳴らしながら赤色の警光灯をつけいるパトカーや消防車、救急車などは「緊急自動車」という扱いになるので、赤信号でも進むことが出来たり、一時停止も不要、反対車線での走行すら認められている。

 1.緊急自動車は、追越しをするためその他やむを得ない必要があるときは、同条第四項の規定にかかわらず、道路の右側部分にその全部又は一部をはみ出して通行することができる。

 2.法令の規定により停止しなければならない場合においても、停止することを要しない。この場合においては、他の交通に注意して徐行しなければならない(道路交通法第39条)

 それに対し、他の自動車は、交差点で緊急自動車が接近してきた場合、交差点を避けて、道路の左側に寄って進路を譲ることが義務づけられている(道路交通法40条 緊急自動車の優先)。

 そんな緊急自動車と、信号機のある交差点で事故を起こすと、過失割合はどうなるのか?

 緊急自動車は、前記のとおり赤信号でも交差点への進入が許されている。一方、一般車両は、自分の進行方向の信号が青だったとしても、緊急自動車が近づいているときは、交差点を避け道路の左側に寄って一時停止しなければならないので、過失は当然一般車両の方が大きいとされる。

 緊急自動車は人命救助など重要な使命があるので特別扱いされているわけで、その通行は最優先。それを妨げ、事故を起こしたとなると、少なくとも過失割合は一般車両が8、緊急自動車が2になるはず。

 緊急自動車がゼロでもいいような気もするが、前記の道交法39条に「他の交通に注意して徐行しなければならない」とあるので、緊急自動車側の責任もゼロにはならない。

状況次第ではより一般車両の過失が大きくなる

 もちろん8:2という過失割合はひとつの基準であって、裁判になった場合は、個別の事情を考慮して過失割合が算定されることになっている(緊急自動車が先に交差点に入っていた場合や、徐行して進んでいた場合は、さらに一般車両側の過失が重くなる)。

 最近、緊急自動車に道を譲らないクルマが増えていることが問題視されているが、遮音性の高いクルマで、音楽などをガンガンかけていると緊急自動車の接近に気がつかないこともあるだろう。

 ただ、道路の上は公共の場なので、自分さえ快適であればいいというものではないはず。緊急自動車は一刻を争う時に出動する車両なので、緊急自動車の接近に気がつかないような環境で走るのは慎むべきだし、そこまで周囲と隔たりがあるのは、自分自身もいろいろ危険だ。改めて緊急自動車の重要性を理解して、その接近に気づいたときは、積極的に道を譲ることを忘れずに。