社会人3年目の息子に奨学金「150万円」が残っています。私は「金利が上がるなら早く返したほうがいい」と言いましたが、息子は「貯金を減らすほうが危ない」と反論。全額返済は賢い選択なのでしょうか?

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昨今の金利上昇を背景に、「奨学金は早めに返済したほうが安心」と考える人もいるでしょう。   しかし、社会人3年目は一般的に生活環境が変わりやすい時期です。手元資金をほとんど残さずに繰り上げ返済を行うことは、家計管理の面でリスクを伴う可能性があります。   本記事では、現在の金利水準や20代に必要なリスク管理について分かりやすく解説します。

現在の金利水準と一括返済で浮く利息の現実

近年はマイナス金利の解除など、金利上昇のニュースを見聞きする機会も増えているため、「奨学金を早く返さないと利息がもったいない」と考える人もいるでしょう。
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の第二種(有利子)奨学金の金利は、一般的な教育ローンに比べて低めに抑えられています。例えば、令和8年6月に貸与が終了した人の基本月額の利率を見てみると、利率固定方式で年2.922%、利率見直し方式(変動金利)では年1.900%という水準です。
仮に残高150万円、金利年3%、元利均等返済であと10年返済する場合、総利息はおおむね24万円前後となる可能性があります。
 

20代は「生活防衛資金」の確保も重要

今回のケースにおいて、お子さまの「貯金を減らすほうが危ない」という意見は、マネープランの観点から見て理にかなっていると考えられます。
一般的に、社会人3年目の20代前半は、結婚引っ越し転職などで生活環境が変わりやすい時期です。加えて、病気やけがなど想定外の出来事が起こる可能性もあるため、手元資金を確保しておくことが重要になります。
急な出費や収入減に備えるための現金は「生活防衛資金」と呼ばれ、生活費の3ヶ月~6ヶ月分を目安に確保しておくとよいとされています。もし現在の貯金が150万円ほどしかない状態で全額返済に充ててしまうと、貯金はほぼゼロになってしまいます。
その後、想定外の出費が発生し、資金を確保するために年率10%を超えるカードローンやリボ払いを利用することになれば、結果として返済負担が大きくなるおそれがあります。手元資金が十分でない場合は、奨学金の利息を抑えることよりも、生活防衛資金を確保することを優先すべきケースもあります。
 

金利上昇局面でも焦りは禁物! 奨学金の利率の上限と見直し時期を確認

「それでも、これから世の中の金利が急上昇したらどうするのか」と心配になる方もいるでしょう。確かに変動金利(利率見直し方式)の場合、市場の金利に合わせて返還利率も高くなる可能性があります。
しかし、日本学生支援機構の第二種奨学金には、利率の上限として「年3%」が設けられています。市場金利が上昇しても、第二種奨学金の利率は制度上、年3%を超えません。
また、すでに返済が始まっている場合、利率固定方式であれば返済期間中に利率が変わることはありません。利率見直し方式であっても、利率の見直しはおおむね5年ごとに行われます。
 

まとめ

貯金をすべて切り崩してまでの全額返済は、決して賢い選択とはいえません。手元資金が十分でない場合は、生活防衛資金を確保して生活の安全性を高める方が、社会人3年目のキャリアにおいては重要と考えられるためです。
もしどうしても利息を減らしたい、あるいは返済期間を短くしたいと考えるのであれば、全額ではなく「一部繰上返済」を検討するという方法もあります。この方法であれば、一定の手元資金を残しながら元金を減らせるため、将来の返済負担を抑えられる可能性があります。
親子でお金の話をする際は、感情論だけで判断するのではなく、現在の利率や手元に残す資金などを具体的な数字で確認することが大切です。その上で、子どものこれからの生活やライフプランを踏まえ、無理のない返済方法を一緒に考えていくことが望ましいでしょう。
 

出典

独立行政法人日本学生支援機構 JASSO
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー