新たな環境に落ち着いた金魚の「フェデ」と「マグイ」/Federico Sordo/Jaulas Vacías Sanctuary via CNN Newsource

CNN)アルゼンチンの首都ブエノスアイレスにある寿司(すし)店の店先の水槽で飼われていた2匹の金魚「フェデ」と「マグイ」について、裁判所が「感受性を持つ存在」としての権利を認める判断を言い渡した。

発端はある日、誰かが金魚の水槽に目を留めたことだった。水槽は直射日光や道路の騒音にさらされていた。動物保護団体の弁護士マティアス・トルフェロ氏は、「通りがかりに足を止めて見れば、そこが魚にとって適切でないことは明らかだった」と主張する。

同団体は、この2匹が置かれた状況は動物虐待を禁じた法律に違反すると主張して、裁判所に申し立てを起こした。

申し立てを受けて裁判所はほぼ即刻、2匹を適切な場所へ移すよう命じた。トルフェロ氏によれば、店側はこの判断に対して異議は申し立てなかった。

金魚の保護活動を支援して2匹の引き取りを申し出た専門家のルロス・ホセ・アガ氏は、ガラスの展示ケースで2匹の魚を飼うことは、「2頭のホッキョクグマサウナの中の檻(おり)で飼うようなもの」と形容する。

フェデとマグイは店で使われていた40リットルの展示ケースから、アガ氏の自宅にある2500リットルの水槽へと移された。裁判所の決定に基づき、2匹は引き取り手の元で飼育が続けられる。

金魚の権利

トルフェロ氏によると、申し立てにあたっては、まず金魚を安全かつ適切な場所へ移すことに加え、「法の主体」または「感受性を持つ存在」と認定することを求めたという。

つまり原告側は、金魚を「物」として扱うのではなく、権利を持つ存在として認めさせたい意向だった。

そうした判決が確定すれば、不適切な環境で飼育されている同じような生き物が、尊厳ある生活を送るための先例となる。

人間以外の動物について保護の申し立てが行われたのは、2005年、ブラジルのチンパンジー「スイサ」が初めてだった。スイサは保護区へ移される前に死んだ。

その後、アルゼンチンなど各国で同様の事例が相次いだ。中でも有名なのは、ドイツで生まれ、14年までの20年間ブエノスアイレス動物園で暮らしていたオランウータン「サンドラ」のケースだった。

保護団体が法的措置を起こしたことで、裁判所は同年、サンドラの「非人間人格」を認め、たとえ十分な餌を与えられて虐待を受けていなくても、拘束や展示はサンドラの権利の侵害にあたると認定した。

16年、ブエノスアイレス動物園はエコパークに変わり、動物の多くを展示室から保護区へと移した。サンドラは19年、米フロリダ州の施設に移された。

「こうした動物を『法の主体』と位置づけることの重要性は、彼らを『物』『対象物』と見なすことをやめる点にある」とトルフェロ氏は解説する。

虐待を受けている動物の場合は、物ではなく「被害者」と見なされる可能性もあり、将来的に動物の定義は根本から変わり得る。

金魚のフェデとマグイのケースは、家庭や店でごく普通に飼育されているこうした魚が法律で保護される道を開くことにつながる。