大型家電店に“排せつ物”とSNS騒然…「跡が床にありました」「空気清浄機がフル稼働」 “漏らす”行為は犯罪になる?【弁護士解説】
7月上旬、最近オープンした大型家電店のフロアで排せつ物が見つかったとする投稿がSNS上で相次いだ。
本件の真偽はいまだ定かではないが、仮に家電量販店や百貨店などの店内で排せつしてしまった場合、犯罪が成立したり、損害賠償を請求されたりする可能性はあるのだろうか。
「排せつ物が落ちていた」との投稿は多数あるが…「2階でうんこ漏らしたバカいてたまげる 」
「恐らく (トイレに)並んでて間に合わなかった人の漏らした跡が床にありました」
該当の店舗のフロア内に排せつ物が落ちていたとする情報は、SNS上で複数のアカウントから投稿されている。また、3日だけでなく4日にも排せつ物が見つかったと報告する投稿が複数見られた。
ただし、本件について店舗側の公式発表は行われておらず、警察などの公的機関からも情報は出ていない。現時点ではSNS上の投稿以外に本件を裏付ける情報は確認されていない状況だ。
SNS上の投稿を見る限りでは、「エスカレーター付近に汚物が散らばっていた」「店員が清掃していた」などの状況がうかがえる。
一方で、具体的にどのフロアに排せつ物が落ちていたかについては、2階ではなく1階や3階とする投稿もあるほか、複数のフロアで続けて見つかったとする投稿もあるなど、情報は錯そうしている。
SNS上では「ライバル店の犯行だ」 「テロ行為だ」 といった憶測も散見される。しかし、トイレまで我慢できなくなった人が漏らしてしまったのか、それとも持ち込んだ排せつ物を撒き散らすなどの意図的な行為だったのかという点も、現時点では定かではない。
故意が無くても損害賠償を請求される可能性今回の騒動を受け、Xでは「都心部では人の多さに対してトイレが少なすぎる」という指摘が広がり、議論を呼んだ。
繁華街では公共トイレが不足していることや、コンビニエンスストアでも「防犯・迷惑防止」を理由にトイレが施錠され、自由に利用できないケースが増えていることは、以前から問題視されてきた。
家電量販店や百貨店などの大型店舗でも「長時間店内で過ごすうちに便意を催したものの、トイレが混雑して利用できない」という状況に陥るのはあり得ない話ではない。
しかし、賑わう店内で尿意や便意を我慢しきれず、やむを得ず店内で排せつしてしまえば、店舗や周囲の利用客に多大な迷惑がかかることは否めない。このような行為は、刑法に違反する犯罪として、罪に問われるのだろうか。
たとえば今回SNSで問題となっている騒動が事実の場合、そもそも排せつを不法に投棄したことについて廃棄物処理法違反の罪や、建物のフロアを汚損したことについて建造物等損壊罪(刑法260条) 、異臭によって客が離れた・店員が清掃対応を余儀なくされたなどの理由から店の営業に支障を生じさせたことについて威力業務妨害罪(刑法234条) などが成立する可能性がある。
ただし、刑法に詳しい杉山大介弁護士によると、これらの犯罪が成立するには「故意」が必要となる。
「通常、便を漏らした場合にはズボンなど自分の衣服は汚れますが、建物のフロアに便が撒き散らされるような状況にはならないと考えられます。
そのため、便を漏らしたこと自体はわざとではないにしても、その便をフロア上に撒き散らす行為については『故意』に基づくと評価されることもあり得ます。その場合には、犯罪が成立する可能性も出てくるでしょう」(杉山弁護士)
そして、犯罪が成立するか否かという点と合わせて注意しなければならないのが、店側から清掃費などについて損害賠償を請求される可能性だ。
不法行為に対する損害賠償責任は、故意ではなく過失による行為であっても発生するためである(民法709条)。
たとえ生理現象によるものだとしても、人の多い店内で排せつしてしまえば、周囲や店舗に多大な迷惑を及ぼすだけでなく、状況によっては法律上の責任を問われる可能性もあるということだ。
トイレが近い人は、外出時に利用できるトイレの場所をあらかじめ確認しておくことや、便意・尿意を感じたら我慢せず早めに済ませることを意識しておきたい。また、体調や持病などに不安がある場合は、おむつなどの活用も検討することが、トラブルを防いで安心・快適に外出するための備えになるだろう。

