【現場ルポ】「ひさしの下ならセーフ」? 一斉摘発後も商魂たくましすぎる上野アメ横 路上営業の実態

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路上に設置されているテーブルはない?

5月5日、警視庁上野署は「アメ横商店街」周辺の飲食店街での一斉摘発、『アメ横クリーンアップ作戦』を実施した。当日はビラを配って注意を促すとともに、これまで繰り返してきた警告や指導に従わず、路上に座席を設置して営業をする飲食店には家宅捜索を行い、路上のテーブルや椅子を押収した。

「アメ横での路上営業では『看板にぶつかってトラブルになった』といった苦情の110番通報が’25年で43件、今年は4月までに21件寄せられていました。道路使用許可を得ずに座席を設置することは違法ですが、コロナ禍では『密』を避けるために一時的に基準が緩和されていたという経緯があります。しかし、コロナ収束後も路上の占拠はそのまま続けられています。警察による指導や警告はこの半年で1500件近くあったようです」(全国社会部記者)

警視庁による一斉摘発から2週間が経過したアメ横周辺で変化は起きているのか。現地を取材した。

アメ横は飲食店、鮮魚店、乾物店、衣料品店などが営業している商店街として知られ、とくに飲み屋街は、昼夜を問わず多くの客で賑わう。海外からの観光客も多く訪れる東京の観光スポットとして長らく親しまれてきた。

摘発があってから、アメ横はどのように変化したのか。居酒屋が賑わう21時ごろに通行人の男性に話を聞くと、「以前よりは路上営業は減った」そうだ。

「摘発によって路上にテーブルを出して営業する店は減りました。ひどいところは左右から座席がせり出して、人が通れるスペースは2mもない状態でしたが、今はそこまで派手に違法営業をしている店は見かけません。警察も巡回しているので、露骨に路上営業をするのはまずいんだと思います」

しかし、この男性によれば、実態として「路上営業」は残っているという。「あの店とか違法ですよね?」と彼が教えてくれたのはとある居酒屋だ。

「他もやってるから問題ない」

その店は確かに路上まで座席が大きくはみ出しているわけではないが、出入り口から伸びたひさしの真下まで、ぎっちり座席が設置されている。この店のようにひさしの下ギリギリまで座席を設置して営業している店はかなり多い。一部は座席が路上にはみ出しているようにも見える。座席だけではない。客を呼び込むための看板なども路上に置かれ、店員が「一杯どうですか。寄っていきませんか」と呼び込みを行っている現場に出くわした。

呼び込みをしている男性店員に声をかけると、路上営業の摘発は「一時的なもの」で、「他の店も同じように営業しているから問題ない」と話す。

「うちも警察から『営業は歩行者の邪魔にならないように』と言われたので、テーブルや椅子を撤去しました。警察の見回りが来た時だけ撤去している店もあるので、注意だけだとあまり意味がないように感じますね。他の店が路上で営業している中でうちだけ摘発されることはないと思います。この調子だと、数ヵ月したらまた元に戻るんじゃないですか」

今回の摘発への対応だと思われるひさしの下までの座席設置は違法ではないのだろうか。別の飲食店店員に聞いてみると違法ではないという考えのようだ。

「かなりの店でひさしギリギリまでせり出して営業していますが、今のところ問題になっていないのでセーフって認識です。薬局や土産物屋が、店の外に商品を置いていても何も言われていないので、居酒屋もいいのかなと思っています。店によっては、透明なシートで覆って歩行者の邪魔にならないよう境界線を作っています」

台東区役所に話を聞いた

上野アメ横周辺の路上営業について台東区役所道路管理課に話を聞くと、やはり「道路での営業は許可していません」との回答が返ってきた。

「道路交通法上、公道にテーブルや椅子を設置して営業することは認めていません。私道であれば、道の所有者の意見に沿うといった話になりますが、アメ横周辺の道路は区道となっているため、許可なく路上営業をしている場合は指導の対象となります。ひさしの下での営業や、看板の設置も区道であれば同様です」(台東区役所道路管理課)

アメ横周辺では、月に2回、警察署と商店街との合同でパトロールを実施しており、引き続き違法な営業をしている店舗については指導を行うとのことだ。

昨年、飲食店の路上営業が横行していた新橋では、厳しい処分が行われた。路上でテーブルや椅子を並べて営業していた飲食店が道路を不正使用したとして、従業員と運営会社が道交法違反(道路不正使用)の疑いで書類送検されたのだ。その後、この店は都公安委員会が風営法に基づいて、21日の営業停止を命じている。警視庁によると、道交法違反容疑で摘発された飲食店に営業停止処分が出されるのは全国で初だった。

新橋での路上営業では、60回以上に及ぶ警視庁からの指導、警告があったにもかかわらず営業を続けていた。アメ横でも警察の摘発後も違法な営業を行っている店は少なくない。無秩序に行われている営業は上野らしい自由さでもあるが、これが続くと新橋と同じ末路を辿るだろう。

取材・文・写真:白紙緑