《すでに新党結成の動きも》中道が「旧宮家復帰案」容認に大転換で分裂へと向かう 左派やリベラルが抜けて保守派と旧公明だけ残れば“自民の思惑通り”
皇位継承論議で、中道改革連合が旧宮家の男系男子を養子縁組で皇籍に復帰させる「旧宮家復帰案」容認に大転換し、今国会での皇室典範改正が現実味を帯びてきた。この方針転換の立役者が同党の「安定的な皇位継承に関する検討本部」本部長の笠浩史氏だ。笠氏は旧立憲出身議員では数少ない日本会議国会議員懇談会メンバーで、もともと養子案容認派だ。昨年の総選挙で反対派の左派が大量に落選したことを受け、一気に仕掛けた格好だという。しかし、この方針に対しては旧立憲系議員を中心に反発が根強く、党の分裂も視野に入ってきているという。中道はどこへ向かっていくのか――。【前後編の後編】
【写真】与野党代表らが出席した皇族数の確保策に関する全体会議
左派やリベラルが抜けて保守派だけが残る
中道分裂の背後に見え隠れしているのが自民党の思惑だ。
自民党の皇室典範議論の責任者である麻生太郎・副総裁は旧宮家復帰案を皇室典範改正の「第一優先」に掲げてきた。しかし、皇室典範改正は自民党が数の力で成立させるわけにはいかない事情がある。
憲法第1条は、天皇の地位を〈主権の存する日本国民の総意に基く〉と定めている。そのため皇室典範改正には慣例として主要政党の合意が必要とされ、天皇の生前退位を可能にした2017年の皇室典範特例法も国会の全会一致で成立している。
自民党にとって衆院の野党第一党である中道の復帰案への反対は皇室典範改正の大きな障害になっていた。それだけに中道の方針転換を自民党側は「歓迎すべき」(萩生田光一・幹事長代行)と喜び、麻生氏に近いことで知られる国民民主党の榛葉賀津也・幹事長も中道の「安定的な皇位継承に関する検討本部」本部長の笠浩史氏の動きを「極めて私と考え方が近い。ある種信頼して議論を見守っていた」と持ち上げた。
政治ジャーナリストの宮崎信行氏が指摘する。
「中道が急いで復帰案容認に舵を切ったきっかけは、4月15日に1年ぶりに開かれた全党派が参加する国会の安定的な皇位継承に関する全体会議で、麻生側近である森英介・衆院議長が中道に『1か月後までに党の見解をまとめるように』と申し入れたことでした。
中道の責任者の笠氏は立憲民主、中道で国対委員長を経験しているから自民党とのパイプがしっかりある。その笠氏は枝野氏ら元議員からの反対論を無視して強引に方針を転換させた。いわば自民党とのあうんの呼吸での連携が見える」
中道を離党した藤原規眞・元代議士も「自民党の仕掛けはある」とこんな見方をする。
「中道が分裂して旧立憲の左派やリベラルと呼ばれる人たちが抜ければ、公明系と旧立憲の保守派だけが残る。そうなれば、いま以上に自民党の思惑通りに事が運びやすくなるということだろう」
一方、中道の元議員たちは、すでに新党結成をにらんで動き出した。
「今国会が終われば、中道はもたない。立憲の参院議員や旧立憲系の元代議士、中道の現職の一部を含めて新党を結成する準備が進んでいる。それも一つではなく、複数の新党ができる。中道の小川代表は新党への参加者を減らすために、この4月に落選中の若手を中心に毎月40万円の支援金を支給することを決めた。いわば踏み絵だが、中道に戻る気がない者は受け取ろうとしない」(元議員)
この党は相変わらずコップの中の争いをしているようだが、高市自民党にすれば、曲がりなりにも衆院の野党第一党である中道が四分五裂して勢力が弱まることは都合がいいに違いない。
(前編から読む)
※週刊ポスト2026年5月29日号
