字幕.inを生んだ、自由人"矢野さとる"さん(25歳・無職)

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今最も話題のインターネットサービスが"書き込み系"と呼ばれるサービスだ。そのなかでも、使いやすく、ユーザービリティのよいサービスで注目されているのが、YouTubeの動画に字幕をつけられる「字幕.in」だ。1日約200万ページビューに達する人気サイトに急成長した同サービスを開発・運営しているのは、大手IT企業でもなく、新進気鋭のベンチャーでもなく、次々新しいサービスを生み続ける矢野さとるさん(25歳)個人ということも大きな話題となっている。

矢野さんの正体は、サービスポータルサイト「satoru.net」の管理人。運営するサービスは50以上におよび、みなさん一度は耳にしたことがあるだろう「2ちゃんねる2」や「SNS統計ページ」、「YouTubeちゃんねる」も矢野さんが手がけている。いまや人気や定番となった名だたるサービスを多く生み出している矢野さんだが、インタビューに現れたご本人は自分の職業を堂々と"無職"と語り、有名人らしからぬ出で立ち。そんな矢野さんに、字幕.inがどうやって生まれたのかお話を伺った。


●矢野さとるさんと「字幕.in」
編集部:「字幕.in」を作ろうと思ったきっかけはなんでしょうか?
矢野さん:きっかけは、ニコニコ動画(※1)を見てインスパイアされたことです。昨年12月に、動画に字幕をつけようというアイデアを思いついて友人に相談したところ、反応も良く「これはいける」と思いました。

今まで僕がつくったサービスは、夜にアイデアを思いついて、朝には作り上げるといったスタイルが多かったんですが、字幕.inに関してはFLASHに不慣れだったため、制作に2週間ほどかかりました。
※1ニコニコ動画:動画にコメントを付けられるサービス。ニワンゴ提供。

編集部:字幕.inは、初心者でも使いやすい印象ですが、使い勝手でのこだわりはあったのですか?
矢野さん:僕自身がユーザーの一人なので、自分が使いにくいと思ったらすぐに作りなおします。その積み重ねで、直感的に誰もが分かりやすいインタフェースになったんだと思います。それと、よく身近な友達に意見を聞いて修正したり、ユーザーの意見をすぐ聞くように心がけています。個人サイトだからできる"フットワークの軽さ"が、使いやすさにつながっているんじゃないでしょうか。


●矢野さとるさんの「字幕.in」を通した出会い
編集部:ユーザーの意見とありますが、具体的にはどのような方からのご意見がありましたか?
矢野さん:聴覚障害の方からもご意見を頂きました。「字幕.in」の本来の利便性でもあるのですが、聴覚障害の方にも動画を楽しんでもらえ、そうした方々とも交流ができたのは、嬉しかったですね。

編集部:字幕.inにはユニークな動画がたくさんありますが、人気のある動画やユーザーが注目する動画には、どのようなものがあるのでしょうか?
矢野さん:そうですね、今は海外のYouTubeで流行っている動画が人気があります。とくに、今まで日本語に翻訳されていなかったものが、字幕.inで翻訳され、日本に上陸して流行るということが多いようです。

字幕.inには海外版の「subtitle.in」もありまして、日本と海外では字幕の付け方にも違いがあるんですよ。海外はいろんな動画に字幕がつきますが、日本は同じ動画に集中する傾向があります。また、日本では、パロディやギャグ的なものが主流ですけど、海外ですと手話動画の字幕など、情報共有としての利用も多いですね。
こうした差を今後研究していくと、もっと面白いかもしれません。海外では、日本のアニメや動画が翻訳されたものもかなりあって、日本人が面白いと感じる文化が海外でも受け入れられるんだなと感じました。


●矢野さとるさんのパワーの源は自由
編集部:精力的にサービスを広げてらっしゃいますが、矢野さんにとって、サイトを作る原動力はなんでしょうか?
矢野さん:原動力は"趣味"だからというところが強いですね。サイトが成長するに従ってビジネスに結びつくこともありますが、最初のスタートは間違いなく趣味です。何か新しいことを始めるときも、仕事と趣味では、モチベーションが雲泥の差なんですよ。趣味ならいくらでもアイデアが思い浮かぶんですが、仕事だとロジックが一つも思いつかない、なんてこともしばしばです(笑)。

編集部:字幕.inだけでなく、企業に属さず活動されている矢野さん自身にも注目が集まっていますが、ご自身のスタンスはいかがですか?
矢野さん:かなり快適な生活を過ごさせて頂いてます(笑)。しがらみがまったくないので、自分のしたいことができます。以前はエンジニアとして企業に勤めていたんですが、やりたいことをやれない難しさがあったんですね。今は"個人"だから、やりたいと思ったことをすぐ行動に移せる。エンジニアとしてもやりがいのある生活を送っています。

理想としては、ずっと自宅にこもって開発をしていたいんですが、最近はビジネスのお話を頂いて外に出ることが多くなりました。開発だけにいそしみたのに、なかなかできない。そこが目下の悩みでしょうか(笑)。

編集部:矢野さんの自由人でありながら新しいサービスを次々に生み出すというスタイルは、今の若い人にとって大きなあこがれにもなっていると思いますが、ご自身は、どうおもっていますか?
矢野さん:Webの開発や制作というのは、思っているほど難しくは無いのだと思います。よく、Web制作をしたいのだけど、○×学校や専門学校で勉強しないと出来ないとか思っている方も多いようですが、まず、始めることが大事だと思います。なんでもいいから作ってみて公開し、いろいろな人の意見をもらって、さらに作っていくことが大事なんじゃないかと感じてます。

やりは始めないと、なにも始まらないし、やれば何かが進んでいくと思うんです。ですから、まず恐れずに動いてほしいですね。


●矢野さとるさんの秘密
編集部:ポータルサイト「satoru.net」には、矢野さんの電話番号が記載されていますが、その理由は?
矢野さん:昔は公開していなかったんですが、実は"2ちゃんねる"の閉鎖騒動があったとき、僕がかなり叩かれたことがあったんですね。とくに個人情報をさらされることが多かったんですが、その対策として「僕自身が個人情報をさらしてしまえば、逆に何もできなくなるんじゃないか」と思ったわけです。

電話番号を公開したことで、たまに変な電話がかかってくることもありますが、それも1年に1回あるかないかぐらいですね。それより、普通に生活をしていて話すことができない人とお話しする機会ができて、楽しいことの方が多いです。
インターネットって、関連のない人たちとつながることができるじゃないですか。先ほどもお話ししましたが、僕も字幕.inを始めて、聴覚障害の方から「字幕.inのおかげでYouTubeを楽しめるようになった」という感想を頂き、いろんな世界を知ることができるようになりました。


●矢野さとるさんの今後の夢
編集部:字幕.inの今後については、どうお考えですか?
矢野さん:実際にいま、いくつかの企業の方とお話しさせて頂いているんですが、ただのプロモーションツールではなく、字幕.inの特性を活かして使って頂ければと考えています。たとえば、企業からムービーを提供してもらい、面白い字幕をつけるコンテストを開催したり、映画の予告編にさまざまな字幕をつけて公開すれば、同じ映像を繰り返し見ることで「本編ってどうなっているんだろう?」と興味をかきたてることができますよね。

個人サイトとして始めたものなので、自分のもので終わらせたいという考えも最初はありました。ただ、企業を巻き込んでいった方がより面白いものを提供できるのでは、と考えが変わってきたところです。


●矢野さとるさんからのプレゼント
編集部:最後に、字幕.inについて重大発表があるということですが、そちらを教えていただけますか?
矢野さん:実は、字幕.inに新機能を追加する予定なんです。今度はマイクを使って音声を入れる「音声吹き替え機能」を開発中です。3月中を目処に公開準備を進めていますので、みなさん、今度は声で吹き替えを楽しんでください。

編集部:本日はどうもありがとうございました。


■自由人・矢野さとるさんが生み出す"インターネット・コミュニティ"
インターネットのユーザー参加には、欧米とアジアなどでは、大きな違いがあるという。欧米では能動的にWeb参加するユーザーやサービスに人気があり、アジアでは受け身的なサービスが受けるともいわれている。
Web2.0時代のユーザー参加型サービスへの不安も一部にあったが、「字幕.in」のようなサービスは、ユーザーのWeb参加への大きなエポックとなるサービスなのかもしれない。

また、インターネットでのエポックなサービスは、企業などの利潤追求ではなく、個人の自由で純粋なユーザーとしての欲求により誕生と発展することが多いことも興味深い。

矢野さんが運営する「satoru.net」の合計ページビューは、1日約500万にも及ぶという。人気を博している"字幕.in"だがこれはまだ始まりに過ぎず、自由人"矢野さとる"さんは、今後もっと面白いサービスを生み出してくれるだろう。


※ インタビューの様子は、livedoor トレビアンニュースで動画で紹介しています。


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編集部:南郷 あかり
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