【F1 2021】心の底から「おもしろい!」って思える久々のレースだった開幕戦バーレーンGP。ホンダの無双っぷりと角田裕毅から目が離せない!

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これほど観戦後に疲労感があって、これほど楽しかったと思えた開幕戦って、今まで経験したことないかもしれないです。F1(フォーミュラ1世界選手権)2021年シーズンの開幕戦「バーレーンGP」。各チーム・各ドライバーの攻防が最初から最後まであらゆる場所で見られ、開幕戦とは思えないほど見応えのあるレースでした。優勝はメルセデスAMGのルイス・ハミルトンでしたが、そのレース内容は昨年までの楽勝独走パターンとは正反対の展開。レッドブル ホンダのマックス・フェルスタッペンとのガチンコ勝負を、レース中ずっと繰り広げた末の辛勝でした。

【画像ギャラリー】F1 2021開幕戦バーレーンGPで最速だったレッドブル ホンダ&角田裕毅のアルファタウリ ホンダ

2010年ぶりとなる、バーレーンでの開幕戦はこの2人の争いが、話題の中心でした。ホンダエンジン搭載マシンとしては1991年のアイルトン・セナ以来となる、開幕戦のポールポジションを獲得したレッドブル ホンダのフェルスタッペン。そして2020年に7回目のチャンピオンを達成した絶対王者ハミルトン。2人の攻防がハイライトであったことには間違いないのですが、それ以外にも見所は本当に多かったレースでした。それらのいくつかを、これから紹介していきます。


■現状、今季のサーキット最速マシンはレッドブル ホンダ
先週末に行われた、3度のフリー走行から予選まで、決勝以外のセッションすべてで全体のトップタイムをマークした、レッドブル ホンダのフェルスタッペン。事前に行われた公式テストの結果通り、レッドブルの「RB16B」が現状での今季最速マシンであることは間違いないようです。その速さはレース中のペースでも明らかでした。今季からレッドブルのリヤウイングには、大きなHONDAの文字が描かれていますが、なんとも誇らしくもあり、嬉しくなりますね!


●序盤トップを快走するレッドブルのM・フェルスタッペン。リヤウイングのHONDAがカッコいい!

サヒールのバーレーン インターナショナルサーキットはセクターが3つに分けられていて、セクター1と3は長いストレートと低速コーナーが主体。セクター2は中低速のコーナーが集まる区間でした。レース中のタイムを見ると、セクター1と3の両者のタイムはほぼ互角。しかし、セクター2のタイムはレッドブルのほうがメルセデスを上まわっていました。このことから、今季のレッドブルRB16Bはコーナーで速いということがわかります。ダウンフォースとグリップのバランスが崩れることなく、セッティングが決まっているということでしょう。


●セクター2は青く表されたインフィールド区間。このセクターはレッドブルのRB16Bが最速でした(引用元:FIA F1オフィシャルサイト)

今季のレッドブルが最速だということは、フェルスタッペンのチームメイトでもあるセルジオ・ペレスが見せたオーバーテイクショーでも証明しています。ペレスはスタート直前のフォーメーションラップ中に突然電源がすべてシャットダウンする症状が出てしまい、ピットレーンからの最後尾スタートとなりました。にも関わらず、最終的には5位でフィニッシュ。6位以下の15台をすべて抜いてきたのです。レース中の映像を見ても、他チームのマシンとはあきらかにスピードが違いました。HONDAと描かれたマシンがこのような無双っぷりを見せてくれると、本当に嬉しくなります!


●本来のグリッド11番手からスタートできていれば、ポディウム争いにも絡んできたであろうS・ペレス。まだマシンに慣れない初戦で、あのオーバーテイクショーを見せてくれるとは! 今季の活躍が楽しみな選手のひとりです

でも勝者はハミルトン。なぜフェルスタッペンは勝てなかったの? と思う人も多いでしょう。そこがF1のおもしろさでもあるのです。ハミルトンの勝利した理由は、チームの総合力が勝っていたから。レッドブルは今季の最速マシンを手にしましたが、ピット戦略も含めたレースマネジメントに関しては、今回はメルセデスAMGのほうが1枚上手でした。そして開幕戦までに間に合わせてきた、マシンの開発能力も忘れてはいけません。




■フェルスタッペンvsハミルトンのガチバトルがスゴすぎた!
スタートからハミルトンは、フェルスタッペンに離されないようピッタリと背後についていきました。そして、1回目のピットストップを利用してトップの座を奪ったのですが、これは完全にメルセデス側のシナリオ通りの戦い方。反対にレッドブルは、スタート直後からメルセデスを引き離さないとダメだったということです。フェルスタッペンがチームに無線で「リヤのトラクションがおかしい」とずっと訴えていたとおり、マシントラブルが生じていて本来のペースでは走れなかったからというのがレッドブルの失速理由でしょう。

レースはそのままのポジションで後半に入っていきます。2回目のピットストップを終え急激にペースアップし、ハミルトンを追い詰めるフェルスタッペン。摩耗でズルズルのタイヤをうまく使いながら必死にポジションを守る、王者ハミルトン。ここまで両者がほぼ同じ土俵でガチでやりあう攻防はあまり見たことがありませんでした。53周目のターン4で1度はフェルスタッペンが前に出ますが、大きくコースアウトしたラインを走ったため、ここはポジションをリセット。残り3周の攻防は息もつけないほどの緊張感でした。結果は0.745秒差でハミルトンに軍配。フェルスタッペンの決死の猛追は敵いませんでしたが、すばらしいレースを見せてくれました。


●見ているほうは楽しめても、本人は納得できず。レース後のフェルスタッペンに笑顔は一切ありませんでした。でもコースをはみ出して抜くのは明らかにNG行為。コース内でも十分抜けたはずなのに、焦ってしまったのでしょうか? 次戦以降に期待です!

メルセデスのマシンが想定より速かったということには、正直驚きました。2週間前のテストの段階では、今季のメルセデスはマシン作りに失敗したとも思えるほどの仕上がりでした。そこからたった2週間で、なんとか最速のレッドブルと戦える位置まで持ってきたのです。これは、チームの開発力の賜物でしょう。このチームを引っ張っているトト・ウォルフ代表がチェッカーの瞬間に見せた、オーバーアクションとも思えるほどの喜び方。あれを見たら、この開幕戦がいかに大変だったのかがわかるものです。

今回は負けたレッドブルですが、ラップタイムを見た限りマシンの絶対的な速さではまだアドバンテージがあるようです。レッドブルの優位な状況は、はたしてどこまで続くのでしょう。当然メルセデス陣営も、もっと速くするマシン開発は続けているので、レッドブルもうかうかしてはいられません。ホンダPU(パワーユニット)のラストイヤー、なんとか有終の美を飾ってもらいたいものです。





■トップ争いだけじゃない! 各ポジションすべてが接戦
トップ争いにしか目が行きづらいのはレースの常。しかし、今季は後続の争いも同じくらいおもしろいです。現状トップの2チーム、メルセデスAMGとレッドブルは頭ひとつ抜けた存在ではありますが、その後ろを走る中盤争いが熾烈を極めています。

中盤争いの中心となるのは以下のチームです。
・マクラーレン
・フェラーリ
・アストンマーティン
・アルピーヌ
・アルファタウリ
・アルファロメオ
・ウイリアムズ

この7チームは、予選Q1でトップから3秒以内に入っていたチームです。自動車メーカーの名前ばかりが目立っていますが、ドライバーもバラエティ豊かで見ていて楽しめます。今季は2度のチャンピオン、フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)も復帰し、早速開幕戦ではセバスチャン・フェッテル(アストンマーティン)やキミ・ライコネン(アルファロメオ)、カルロス・サインツ(フェラーリ)との攻防戦を見せてくれました。昨年から徐々に速さを見せ始めていたマクラーレンや、復活にかけるフェラーリなどが、どこまで2トップとの差を詰めてこられるかにも注目です。


●スタート直後5位を走行するP・ガスリーのアルファタウリ ホンダ。ここから後ろのマシンがほぼすべて同じ速さ、ということは誰が中盤トップに来てもおかしくないということです。これはおもしろい!

この中盤争いが拮抗している背景は、今年のレギュレーションがひとつ理由としてあげられます。基本昨年型マシンの踏襲となる今季は、マシンが熟成していることもあり各チーム間とのスピードの差が出にくくなっています。おまけに完走率も高いので、開幕戦は気持ち悪いくらいにリタイアするクルマがいませんでした(わずか4台)。

こうなるとレースは俄然おもしろくなります。バーレーンGPでは単独で走るマシンももちろんいましたが、テレビのカメラはほとんど複数台が並んで走っているマシングループを撮影していました。そこでは絶えず順位争いが勃発します。頻繁に入れ替わるポジション、オーバーテイクまでの駆け引き、レースの醍醐味とも言えるシーンが連続でずっとテレビ画面に映るわけです。

しかもポジション争いが起こるのは、サーキット上で1ヶ所だけではありません。当然ながらコッチはどうなった? アッチはどっちが前に出た? と、見ているほうはせわしなくなってしまうのです。冒頭で私が書いた観戦後の疲れとは、まさにこの忙しさからくるもので、レースファンからすると嬉しい悲鳴とも言えます。こんなにF1を楽しく観戦できたのは、本当に久々だと感じたほどです。




■日本人ルーキー角田裕毅の強さに注目せざるを得ない!
日本人なら注目したいのは、やはりアルファタウリ ホンダの、世界でも大注目を浴びる日本人ルーキー、角田裕毅でしょう。ホンダラストイヤーにF1へ昇格した角田は、予選Q1で2番手タイムをマーク。タイヤ戦略から13位スタートとなりましたが、決勝は9位入賞。日本人ルーキーとしては初めて、開幕戦ポイントゲットとなりました。


●今季ドライバーで最年少20歳の角田裕毅。初めてのF1でのレースで9位入賞してしまうとは! 角田の走り見たさに、今季視聴契約をした人も多いのではないでしょうか

F2時代までの角田の走りを知っている人からすればやはりと感じたかとも思いますが、F1でも彼のオーバーテイクスキルが生かされていることに驚きました。常日頃から自分の長所はブレーキングとオーバーテイクの技術だと話していることは知られていますが、スタートで3つほどポジションを下げてしまってからは怒涛の追い上げを見せ、レッドブルのペレスばりにライバルを次々とパスしています。


●角田裕毅が操るアルファタウリの今季のマシン、AT02。ノーズをスリム化しダウンフォース性能を向上させています

そんななか、残り10周となったところで立ちはだかったのがランス・ストロール(アストンマーティン)でした。2台とも入賞圏内で9位争いのポジションでしたが、ここから抜きつ抜かれつの攻防が始まりました。角田が仕掛け、抜いたあとも抜き返される、これを何回か繰り返しましたが、ファイナルラップのターン1でついにストロールをパス。見事9位でフィニッシュしました。このラスト数周は、フェルタッペンとハミルトンもバトルの真っ只中だったのですが、個人的には角田vsストロールのほうばかりに気を取られて、ハラハラドキドキでした。

F1を走る一流ドライバーにも臆することなくアタックできる角田のメンタル面もスゴいですが、オーバーテイクのスキルはまさにホンモノ。同僚のピエール・ガスリーが予選で5番手タイムを出したことも考えれば、アルファタウリのマシンAT02も戦闘力は高そうです。今季ホンダPUの強さも加味すると、ルーキーイヤーにさらなる大量ポイント獲得も期待したくなります。


●序盤にフロントウイングを失う接触があり、早々に戦線離脱せざるを得なかったP・ガスリー。予選は5位、そしてレース中も角田より速いラップタイムをコンスタントに出していました。角田の1番身近なライバルでもあり、心強いチームメイトでもあります

ここまで長くはなってしまいましたが、開幕戦を見たあとに感じた、今季F1の楽しさをお伝えいたしました。個人的にはあっちこっちでバトルが起きている中盤争いもスゴく楽しめると思っています。そこには角田裕毅も絡んでくるはずですので! 昔のように地上波で放送していない時代ではありますが、お金を払ってでも見る価値が今季F1にはあると思います。現在のマシン規定では最後のGP、ホンダラストイヤーでの王座奪還、そしてルーキー角田裕毅のサクセスストーリー。どれも見逃せないです。フジテレビNEXTでもダゾーンでも、どちらでも構わないと思います。どちらかに加入して、ぜひリアルタイムで応援してみてください。HONDA無双っぷりを見たあとの月曜日は、気分よく週始めを迎えられるかもしれませんよ!


<写真=Redbull 文=ドライバーWeb編集部・青山>