『伊藤家の晩酌』〜第十三夜3本目/軽い飲み口の中に米の旨みを感じる「PET あたごのまつ 純米吟醸」〜
弱冠23歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入! 酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?第十三夜3本目は「究極の食中酒」を醸す酒蔵から。(photo:Tetsuya Ito,Minami Murata , Ding Ding illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita)
第十三夜3本目は、きれいな米の甘みと旨みで飲み飽きない「PET あたごのまつ 純米吟醸」。
宮城県の老舗酒蔵「新澤醸造店」が目指すのは「究極の食中酒」。米と水のおいしさを誇る宮城らしい、すっきりときれいな味が特徴。
「PET あたごのまつ 純米吟醸」720ml 1276円(税込・ひいな購入時価格)/はせがわ酒店
娘・ひいな(以下、ひいな)「ペットボトル最後のお酒は、こちらです!」父・徹也(以下、テツヤ)「なんか、濃口醤油のような……(笑)」ひいな「もう! でも言われてみれば、そう見えるかも(笑)。ペットボトルのお酒3本そろったわけだけど、ラベルは三者三様って感じだね」テツヤ「これはどこのお酒?」ひいな「『あたごのまつ』は宮城県」テツヤ「宮城県なんだ。え? 大崎市なの?」ひいな「大崎市、知ってるの?」テツヤ「知らない」ひいな「なんだそれ(笑)。もう酔っ払ってるね(ライター注:すでに6本分撮影しています)。この新澤酒造店は、東日本大震災の影響もいろいろあって大変だったらしいんだけど、この蔵から新しく出たもうひとつの銘柄が、今は宮城を代表する有名なお酒になってるの。『究極の食中酒』といえばこの一本なんだけど、わかる? 家のセラーの中にあるんだけど」テツヤ「え〜、なんて銘柄なんだろ」ひいな「食中酒って言ったら『あぁ、あのお酒ね』みたいな」テツヤ「宮城のお酒でしょ? う〜ん、わからんなぁ」ひいな「『伯楽星』っていうんだけど」テツヤ「あぁ! 家にあったね」ひいな「あったでしょ? 『究極の食中酒』として有名なお酒なんだけど、その蔵と同じなのが『あたごのまつ』なの」テツヤ「なるほど。そりゃおいしいんだろうな。もう、飲みたいよ〜」ひいな「ペットボトル、開けて〜」テツヤ「よっしゃ」
腕の筋肉を見せながらペットボトルを開ける父・テツヤ(酔い、まわってます)。
ひいな「ね! 見て、この透明さ!」テツヤ「クリアだね〜。ペットボトルが黄色いからわからないよね」ひいな「『あたごのまつ』は宮城県産のお米を使っていて、酵母も宮城酵母を使っていて、“宮城づくし”を売りにしてるんだよ。伯楽星よりも前からある銘柄なの」テツヤ「昔からある銘柄ってことは、ペットボトルじゃない瓶でも売ってるんだ」ひいな「うん、そう」テツヤ「なるほどねぇ。ささ、まずは飲ませてくれよ〜」ひいな「はいはい(笑)」テツヤ「ありがとう〜」テツヤ&ひいな「じゃ、いただきます!」
水のようなクリアでさらりとしたお酒!
おまちかねの乾杯!父娘ともども満面の笑み!
するっと入ってくる飲み口はまるで水のよう。
酔っ払っいながら、娘・ひいなに褒められた!
ひいな「あぁ、おいしい! ほんとクリア。どう?」テツヤ「こりゃうまい! 飲んでて終盤にもなるとさ、レモンサワーとか飲んで、なんとなく流して終わりたいんだけど」ひいな「これはどう、いい?」テツヤ「軽さのなかにちゃんと含まれてるよね、旨みが」ひいな「いいこと言ったねぇ。酔っ払ってるのに(笑)」テツヤ「これ、おいしいよね。最後に流さないっていうか、ちゃんと残るよね、軽い余韻が」ひいな「なんかね、シンプルで直球ストレートな旨みというかね」テツヤ「これ、ちょっと時間経ったら酸立っちゃうかな」ひいな「キンキンがいいかな?」テツヤ「合わせる食べもの次第かな?」
合わせるおつまみは、夏野菜たっぷりの「ラタトゥイユ」をハバネロでピリッと辛く。

ひいな「このお酒のすっきりとしたおいしさを際立たせたくて。まず、かにみそと合わせてみたら、かにみその苦味が勝ちすぎて。次にミートソースと合わせてみたら酸味が合うなと思ったの。トマト味がいいのかもと思って、ラタトゥイユにしてみたよ。お父さんが大好きなハバネロマンをかけて召し上がれ」テツヤ「いいねぇ。夏っぽいねぇ。直接かけちゃっていい?」ひいな「うわ! ちょっとかけすぎ!」
ホップと山椒が入った「MellowHabanero Hop in Heaven」をお好みで。
テツヤ「でもうまいよ!」ひいな「思った通り、お酒のすっきりした感じとトマトの酸味が合う〜。ここまで辛くしなくてもいいと思うけど(笑)」

テツヤ「確かに。ワインみたいにするっと合わせられるね」ひいな「このお酒はね、食中酒だけあって、きれいなコメの甘みとさらりとしたキレがよくて、冷酒で飲むとさわやかな酸が生きてくるように造られてると思うんだ」テツヤ「うんうん、わかる」ひいな「びっくりしたのがね、新澤醸造店の杜氏として入社して2年目の22歳の人が抜擢されたらしくて」テツヤ「ひいなより若いじゃん!」ひいな「ひとつだけね(笑)。しかも女性なの!」テツヤ「そりゃ、すごいねぇ。この酒を造ってるんだ」ひいな「前に、若い杜氏特集やったの覚えてる?」テツヤ「うん。あったね」ひいな「白龍ってやったの覚えてる?」テツヤ「覚えてる、覚えてる」ひいな「あの蔵も若い女性杜氏だったの」テツヤ「そうだったね」ひいな「今回は意図せず、おいしいと思ったお酒が若い女性杜氏だったから、さらにうれしくて」テツヤ「ひいなと同世代の女性杜氏、どんどん増えてるのかも」ひいな「この女子杜氏の方、鼻が優れてたんだって。だから、入社1年目から『このお酒どう思う?』意見を求められてたらしくて。入社してすぐいろいろな経験をさせてもらえたことで、大学にいた時とは違う研究室の域を超えて、新しい世界へ踏み込めたみたい」テツヤ「なるほど」ひいな「お酒に対する繊細な感覚をいろいろな人から認められて、22歳で製造責任者である杜氏になれた」テツヤ「大抜擢だね」ひいな「若いけど感覚が優れていて、それをきちんと認めてくれる人たちがいたっていう相性もあったんだろうな」テツヤ「いい蔵との出会いがあったんだな」ひいな「ね」
ペットボトルのお酒のおいしさに開眼! 日本酒の進化はまだまだ止まらない!

テツヤ「ペットボトルって安っぽいイメージがどうしてもあったけど、どれも本当においしかった。みんなにも楽しんでほしいな。先入観なく」ひいな「そうだよね。今回は〈はせがわ酒店〉の方と話をしていて、ペットボトル特集にしよう!とヒントをもらって。『鶴齢』を2本も割ってしまった私の心を射止めたのがこのペットボトルだったの(笑)。もう大切なお酒を割らないように、ペットボトルの良さを伝えたくて」

テツヤ「俗にさ、コーラって瓶の方がうまいって言うじゃない?」ひいな「そうだよね。でもそれって品質っていうよりも雰囲気とか?」テツヤ「気分とかね。味は変わらないんだよね」ひいな「そうそう。だから、こうやってお気に入りの酒器に入れ替えて飲んだら、ペットボトルかどうかなんてぜんぜん関係ないよね」テツヤ「これからは、カバンに“マイ酒器”を入れておくといいね」ひいな「え、どういうこと(笑)?」テツヤ「わかんないけど(笑)。たとえばだけどさ、めちゃくちゃおいしいお酒を紙コップで飲んだら、そこまでおいしい!って思えないかもしれないじゃない? だから飲む酒器が大事なんじゃないかなって」
薄黄色した特殊なペットボトルが、お酒の劣化を防いでくれる。
ひいな「うん、もちろん酒器もとても大事なんだけど、そもそもお酒の品質を保つことが一番重要だから。瓶とペットボトルでは品質が変わらないっていうのが今回一番伝えたかったこと」テツヤ「そうだよな。お酒の味が何より大事! 技術の進化によって、今までは無理だと思われていたペットボトルっていう選択肢が増えたのはいいことだよね」ひいな「うん、確実に持ち運びしやすくなったのがうれしい!」テツヤ「割れなくて、品質も変わらないっていうのは最大のメリットだもんな。今回は本当に目からうろこだったよ。知らなかったもん。ペットボトルのお酒があるなんてさ」ひいな「ね。私もぜんぜん知らなかったから。日本酒の世界はまだまだ知らないことだらけ。もっと勉強しないと!」
次回:6月21 日(日)更新予定
第38回から今回まではいつもの伊藤家を飛び出してスタジオで撮影!撮影をサポートしてくれた2人と一緒に記念撮影。
【ひいなのつぶやき】日本酒の良さを伝える手段や道具が、これからも発展していく様子をご紹介したいと思います!ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中

