紀元前3世紀ごろに作られたヘブライ語の聖書の写本「死海文書(しかいもんじょ)」のうち、アメリカにある聖書博物館で展示されていた16の断片すべてが偽物であったことがわかりました。

Dead Sea Scroll Fragments | Museum of the Bible

https://museumofthebible.org/dead-sea-scroll-fragments

Entire Collection of Dead Sea Scroll Fragments at US Museum Turns Out to Be Fake

https://www.sciencealert.com/entire-collection-of-dead-sea-scrolls-fragments-at-us-museum-turns-out-to-be-fake



死海文書」は大部分がイスラエル政府の管理下にありますが、その断片が市場に流通しており、収集家などの興味の対象となっています。ただ、2002年から断片が流通するようになったということで、その真正性には以前から疑義が唱えられており、聖書博物館に収蔵されていた断片も、偽造の可能性が指摘されていました。

調査を行ったのは美術品の真偽確認調査を行うArt Fraud Insightsの創設者でもあるコレット・ロール氏ら。数々の科学的実験を経て作成された212ページにも及ぶ最終レポートにより、博物館収蔵の16点の「死海文書」断片すべてが偽物であることが報告されました。

Museum of the Bible Dead Sea Scroll Collection Scientific Research and Analysis

https://d2f7x7uhr2xem7.cloudfront.net/sixteen_by_nine/MOTB-DSS-Report-FINAL-web.pdf

レポートによれば、断片はいずれも現代になってから作られたものだったとのこと。オリジナルの死海文書のような羊皮紙の光沢や、洞窟で見つかったことを想定しての鉱物で汚したりするなど、明らかに欺く意図が感じられるものだったそうです。

聖書博物館のジェフリー・クロハ館長は、レポートの内容を受けて「いい結果ではありませんが、我々のコレクションの真正性を検証するために用いられた手法は、他の疑わしい断片に光を当てるもので、さらに、偽造を誰が行ったのか明らかにするために効果的ともいえる」と、今回の調査が聖書考古学の分野に利益をもたらすものであったと主張しています。