2007年9月、ハワイのサイクリングイベントでの夫妻

 働き盛りの40代。だが、厚生労働省の「人口動態調査」(平成30年)によると、1年間に亡くなった40代は全国で2万2328人。死はけっして他人事ではない。若くして死に直面したとき、何をすればいいのか。

《医者から匙を投げられ、死を待つのみの人生。それを私はどう過ごしていったらいいのだろうか》(『僕の死に方 エンディングダイアリー500日』〈小学館〉より)

 41歳で急逝した流通ジャーナリストの金子哲雄さん。悪性の腫瘍である難病「肺カルチノイド」に冒されているとわかったのが、2011年の6月だった。

 医師からは「いま、目の前で金子さんが亡くなられても驚かない」と宣告を受けた。初めは、人前に出るとき以外は、ずっと泣いていたという。

《やらなければいけないことは山ほどある》(同前)

 亡くなったのは、翌年の10月。金子さんは、人生の幕引きを自分で完璧に準備した。

 公証人の立会いのもと、「公正証書遺言」を遺した。身のまわりのものを整理し、自分自身の葬儀を手配。戒名をもらい、会葬礼状の手配までした。

 死後に口座が凍結されることを見越し、葬儀費用を妻・稚子さん(51)の口座に移した。夫に寄り添い、著書の制作にも携わった、稚子さんに話を聞いた。

「亡くなる直前も夫は、『寝たきりアクティブだ』と言って、ベッドの上で準備していました。

 夫はジャーナリストであり、個人事業主。ひとつひとつ、自分の意思で決めていく人生だったので、亡くなるときのことも、自ら決めるのが当然だったんじゃないでしょうか」

 それでも、死後に妻がやるべきことを遺してくれていた。稚子さんは、それで心の整理ができたという。

「私は編集者だったので、まず、夫の著書『僕の死に方〜』を制作すること。それから、事業の終了、荷物の処分などです。夫のいない日々を生きるうえで、支えになるものを遺してくれたと思います。

『僕の妻であることを最大限に生かせ』と言っていました。自分が死んだら、財産も何も残らなくなることをすごく心配してた。私が路頭に迷わないよう、心を砕いてくれました」

 稚子さんは現在、終活ジャーナリストとして、死の前後に関する問題の提言、情報発信に取り組む。自分の死後について、心構えを聞いた。

「まず、遺言書を書くことにチャレンジしてみましょう。死後のトラブルで最も厄介なのは、お金の問題です。遺産の分割が、たとえ法的にはクリアでも、一度トラブルが起きると解消せず、人間関係が遮断されることも珍しくない。

 奥様のご兄弟や、その配偶者にいたるまで、人間関係をもう一度洗い直し、整理しましょう。『絶対あの人から文句が出る』と、思い当たることがあるものです。そのうえで打つべき手を打つのも、現役世代だからできることですね。

 ですから、不動産など分割に困る財産は、なるべく持たないことをおすすめします。高価な時計など、趣味のものは、『これは〇〇さんに譲る』と、決めておきましょう」

 配偶者のいない「おひとりさま」の終活には、こんなアドバイスを送る。

「孤独死を避けるリスクヘッジとして、まず『いかに自分の遺体を発見してもらうか』に手を打っていただきたい。定期的に連絡をとる人を作ることです。

 私は子供がいませんので、いまは家族のグループLINEを作って、お互いの生存確認をしています。『何かのときは、ここに連絡して』というホットラインを作っておくのも有効です」

(週刊FLASH 2019年6月25日号)