政治家インタビューで質問に正面から答えず別の話題に移ったり、質問そのものに問題があると指摘したりする場面は珍しくありません。イギリスのコミュニケーション専門家であるピーター・ブル氏は、政治家が記者の質問をかわす方法を35種類に分類しています。

The 35 (!) techniques politicians use to avoid answering interview questions - FINN

https://www.finn.agency/35-techniques-politicians-use-avaid-answering-interview-questions/

ブル氏が分類した35種類の技法は以下の通り。

01:質問を無視する

記者が質問してもその質問に触れずに別の話を始めることで、質問の存在そのものをなかったことにする典型的な回避です。

02:質問を認めるだけで答えない

「重要な質問です」「多くの人が関心を持っています」などと述べてから別の話題に移るように、質問を受け取ったことは示しつつ回答しないというテクニック。

03:さらに説明を求める

質問の意味が不明確だとして記者に追加の説明を求め、質問の範囲や意図を問い直すことで、すぐには答えないようにします。

04:「あなたはどう思うのか」と質問を返す

記者の質問に対して逆に「あなたはどう考えているのですか」と問い返すテクニックです。ブル氏の分類では「You tell me」という形で説明されています。

05:質問が本題を扱っていないと指摘する

質問が今議論すべき中心的な話題から外れていると主張し、「重要なのはそこではない」として質問の焦点をずらします。

06:質問が仮定や推測に基づいていると指摘する

「もし〜なら」「〜ではないか」といった仮定に基づく質問に対し「仮定の話には答えられない」として、実際に起きていないことへの回答を避けます。

07:質問の前提が間違っていると指摘する

「質問に含まれる前提そのものが誤っている」と主張し、質問に直接答えないという方法です。



08:質問の事実関係が正確ではないと指摘する

質問に含まれる数字や出来事の説明が正確ではないと指摘し、事実関係の訂正に話を移すことで質問の本題から離れます。

09:質問に含まれる引用が間違っていると指摘する

過去の発言や文書からの引用が誤っていると主張するテクニックです。質問が引用を根拠にしている場合、その引用を問題視することで回答を避けます。

10:引用が文脈から切り離されていると指摘する

引用自体は間違っていなくても、「前後の文脈を無視している」と指摘します。「その発言は別の文脈で述べたものだ」と説明することで質問の方向を変えます。

11:質問が侮辱的だと指摘する

質問の内容や言い方が攻撃的・侮辱的・不適切だと主張し、回答ではなく質問の態度や表現に焦点を移します。

12:質問の選択肢の立て方が間違っていると指摘する

「AかBか」という二択の質問に対し、「その二択自体が間違っている」と指摘するテクニックです。ブル氏の分類では「wrong choice」と表現されています。

13:インタビュアーを攻撃する

質問ではなく、質問した記者や司会者自身を攻撃します。記者の偏り・知識不足・過去の報道姿勢などを問題視し、質問への回答から離れます。

14:答えられないとして拒む

機密事項・手続き上の制約・立場上の理由などを挙げて「答えられない」とするもの。答えない理由を能力や権限の問題として説明します。

15:答えたくないとして拒む

答えられないのではなく「答えたくない」として拒むテクニックです。明示的に回答を拒否するため、回避の中でもかなり直接的です。



16:「他人の代弁はできない」と言う

他の政治家・政党・関係者の考えを問われた時に「本人に聞いてください」「私が代弁する立場ではありません」と返すテクニックです。

17:「いずれ分かる」と答えを先送りする

「待っていれば分かります」「時期が来れば説明します」といった言い方で回答を遅らせます。ブル氏の分類では「You will have to wait and see」という例が挙げられています。

18:知らないと主張する

「情報を把握していない」「確認していない」「詳細を知らない」と述べ、質問への回答を避けます。

19:野党や競合相手など外部の集団を攻撃する

質問に答える代わりに野党やライバル集団の問題点を指摘し、自分への質問を相手側への批判にすり替えます。

20:政策に言及する

質問の具体的な点に答えず、自分や政党の政策説明へ話を移すテクニックです。

21:政策を擁護する

批判的な質問に対して問題点へ直接答えるのではなく、これまでの政策の意義や成果を説明します。

22:安心させる言葉を述べる

「心配する必要はありません」「政府は対応しています」など、具体的な回答ではなく安心感を与える言葉を述べます。



23:愛国心に訴える

質問への回答を、国益・国民の団結・国への誇りといった話に移すテクニックです。

24:政治情勢の分析を示す

自分の立場や具体的な判断ではなく政治全体の状況や背景の分析を話し、回答者自身の責任から、より大きな情勢の説明へ話を広げます。

25:自分の判断や行動を正当化する

質問された問題へ直接答えるのではなく、自分がなぜその判断や行動を取ったのかを説明します。

26:自分の政党や意見を擁護する

質問の具体的な内容より自分の政党や自分の意見が正しいことを説明し、批判への回答ではなく立場の防御に話を移します。

27:答え始めるが途中でやめる

回答を始めたように見せながら最後まで答えないテクニックです。途中で話題を変えたり自分で話を中断したりする場合が含まれます。

28:何が起きないかだけを答える

「何をするのか」ではなく、「何をしないのか」だけを答えるテクニックです。



29:部分的に答える

質問の一部には答えるものの、重要な部分を残すテクニックです。一見すると回答しているように見えますが、質問全体には答えていません。

30:質問の半分にだけ答える

複数の要素を含む質問に対して答えやすい半分だけに答えるというもの。記者の質問が長い場合に起こりやすい回避とのこと。

31:答えのごく一部だけを述べる

質問に関連する断片的な情報だけを述べ、全体像には触れません。

32:前の質問への答えを繰り返す

新しい質問に対して直前の質問への回答を繰り返し、実際には質問が変わっていても同じ答えを続けることで新しい回答を避けます。

33:すでに答えたと示す

「その点についてはすでに説明しました」と述べ、質問への再回答を避けるテクニックです。実際に十分答えているかどうかとは別に、回答済みだと示します。

34:「失礼ですが」などと前置きして話をずらす

丁寧な前置きを使いながら、質問の方向を変えます。

35:質問を字義通りに受け取る

質問の意図ではなく言葉の表面的な意味にだけ答え、質問の狙いを外して形式的な回答にとどめます。



ブル氏によると、上記の35種類で最もよく使われる回避テクニックは05〜12にあたる「質問を攻撃すること」だそうです。ブル氏はこうした回避が起きる背景として「自分が無能に見える」「信用を失う」「過去の発言や政策と矛盾する」「政党に悪い印象を与える」「支持者や同僚を支えない形になる」といったケースを挙げ、答えることで自分や政党、関係者の面子を失う質問があると説明しています。