〈江別・集団暴行死〉「一生許さない、極刑を望みます」母親が法廷で突きつけた怒り…大学時代は“ぼっち”父は「いじめ」を証言も検察は無期懲役を求刑
2024年10月、北海道の江別市で千葉県の大学生・長谷知哉さん(20)が集団暴行を受けて死亡した事件。強盗致死などの罪で起訴された男女6名のうち、川村葉音被告(当時20)の論告求刑が5日、札幌地裁で行われ、検察側は無期懲役を求刑した。
〈画像多数〉「調子乗るな」と被害男性を踏みつけた川村被告と17歳の年下彼氏のラブラブ写真、長谷さんが放置された真っ暗な公園
川村被告もいじめを受け「自殺をほのめかすこともあった」と父
「死をもって償ってもらいたい。一生刑務所に入って償ってほしいと思っていると思います」
被告人質問で弁護人から「遺族が何を望んでいると思うか」と問われた川村被告は、そう答えた。
長谷さんに殴る蹴るなどの暴行を加え、金品を奪ったとして起訴されたのは、八木原亜麻被告(当時20)とその友人の川村被告、当時18歳の元アルバイトの川口侑斗被告、同じく当時18歳の元高校生・瀧澤海裕被告、そして当時17歳で川村被告の交際相手だった少年Aと16歳だった少年Dの6名。
このうち川村被告、瀧澤被告、少年Dの3名の裁判員裁判が5月25日から開かれている。裁判では、長谷さんを外傷性ショックで死に至らしめた、陰惨な2時間に及ぶ集団リンチの全容が明かされてきた。
札幌地裁は3日、金品を要求した後の暴行が長谷さんの死亡に大きく影響したと認定し、強盗致死罪が成立するとの中間判断を示していた。強盗致死罪は原則、死刑か無期懲役と定められている極めて重い罪だ。その量刑に注目が集まる中、5日、川村被告への論告求刑が行われた。
「検察側は『強盗や金品の要求は自発的な行動で、同調圧力とは説明できない』『川村被告の役割は重要。原因を作り出した』と指摘。情状酌量の余地はないとして無期懲役を求刑した。川村被告は表情を変えず、うつむいて手元の資料をじっと見つめていました」(社会部記者)
一方で弁護側は「犯行に計画性はなく、暴行は偶発的なものだった」などとして、13年の有期懲役が相当であると主張している。
「弁護側はこれまでの公判で、川村被告が高校、大学時代にいじめを受けていた経験から、周りの空気に流され、従ってしまうような性格だとして情状酌量を求めている。
証人として出廷した川村被告の父親はいじめについて、『暴言を受けたり、飲み物に何か入れられたり、靴を隠されたりしていた。死にたいと自殺をほのめかすこともあった』と語り、『やられたらやり返せ』と指導し、ケースバイケースではあるが、『殴られたら殴り返せ』とも伝えていたと明かした」(同前)
高校では「カエル」と呼ばれ、大学では“ぼっち”だった
川村被告は釧路出身。中学時代に通っていた進学塾で八木原被告と出会ったが、別々の高校へ進学した。事件当時、集英社オンラインの取材に応じた高校の同級生によれば、「真面目な優等生で遅刻や欠席もほとんどなく、先生からの評価もよかった」という。
テストでは常に20位以内にいて、授業も静かに一生懸命受け、バドミントン部の活動にも積極的だったという。しかしその一方で、入学当初から「いじめ」の対象となっていたようだ。
「陰で『カエル』と呼ばれていました。陰キャでクラスでのカーストも下の方なのに、周りの陽キャやヤンキーに憧れて、イキっている感じはありました。自分を強くみせたいのか、休み時間に机の上に足を乗せたり、態度を悪くしたりするので、周りに避けられていました」(高校の同級生)
大学では教育学科の「初等教育コース」に在籍。小学校の教師を目指していたはずだった。
「大学では友達はおらず、ひとりぼっちで授業に集中していたそうだ。そんな中、川村被告は17歳の少年Aと出会い、交際に発展。Aのバイト先であるコンビニで自分も働くようになり、客として来店した八木原被告と再会。八木原も同じコンビニで働き始めた」(事件記者)
以来、二人はバイトのない日も一緒に過ごす親友となっていった。だが、その“友情”こそが、今回の事件を引き起こしたひとつの元凶になってしまったのか。
事件当日、八木原被告から交際相手の長谷さんとの「別れ話」を相談された川村被告は一緒にいた少年AとAの高校時代の友人の瀧澤被告、瀧澤被告の中学の同級生で、主犯格とされる川口被告、そして川口被告の中学の後輩にあたるDとともに長谷さんを呼び出し、江別市内の公園で暴行に及んだ。
「被告人質問で川村被告が明かしたところによると、最初の暴行で川村被告は長谷さんの胸を二回ほど踏んでおり、『被害者が近づいてきて、嫌なことをされたと思ってイラついて蹴った』と言います。
また、公判で公開された映像には、川村被告が他の少年に『次』などと言って、暴行を促す音声も入っている。さらに川口被告が『服に血がついた。弁償しろコラ』と長谷さんに金銭を要求し始めると、川村被告も一緒になって『ウチもついた。金払え』『早くしろよ。財布持ってきてんのそもそも』と責め立てた」(同前)
川口被告がクレジットカードを奪うと、川村被告は八木原被告とともにコンビニへ向かい、タバコと弁当を購入。この際、クレジットカードの暗証番号を求められないよう、複数回に分けて会計している。
「川村被告は現場に戻ると、『(八木原被告が)もっとやってって言っている』などと言って、長谷さんへの暴行を促すような発言をしている。
この時、長谷さんはまだ話せる状態にあったが、その後の暴力によって急速に顔などの出血が広がり、弱っていったという。川村被告も川口被告に促され、長谷さんの背中を蹴ったり踏んだりし、長谷さんが『もうこれ以上はやめてください』と懇願しているにもかかわらず、執拗に暴行を加えた」(同前)
「川村、他人の別れ話に首突っ込んで、きっかけを作ったのはあなた」
その後、長谷さんからキャッシュカードを奪い暗証番号を聞き出すと、川村被告らは長谷さんを全裸で放置し、移動。その道中で、長谷さんのスマートフォンからSIMカードを抜いて排水溝に流して処分し、衣服などは月寒川に捨てている。
「川村被告はその後のグループLINE上で『とりまラインのトークを消せ』と証拠隠滅をはかり、『何があっても、葉音(川村被告)の名前と、ほかの名前出さないで』などと口裏合わせを行なっている。
さらに、『八木原被告のせいにする。もっとやれって言われてやっただけだし』『八木原被告が余計なこと言っていたら顔面膝蹴り』と友人である八木原被告に責任を押し付け、罪を逃れようとする姿勢も見せていた」(同前)
公判では、「被告の男がキレていて怖く、そこまで暴力がエスカレートするとは思わなかった」、「何も考えていなかった」などと語った川村被告。
5日に読み上げられた長谷さんの母親の意見陳述書には、こう綴られていた。
「川村、他人の別れ話に首突っ込んで、きっかけを作ったのはあなた。保身に走って、踏みつけ、何度も暴行して、フードを目深にかぶって息子のカードを使ってタバコ買って本当に気持ち悪い。一生許さない。息子の無念を晴らすために極刑を望みます」
この日、将来の夢は小学校の先生だったという川村被告に対し、裁判長は強い口調でこう問いただした。
「人に暴力を振るっちゃいけない。それって小学生以前にわからないといけないことですよね」
その言葉に川村被告はただ一言、「その通りです」と答えるのだった。
判決は6月25日に言い渡される。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
