リーマンショックから16年、株価が最大100倍以上にまで上昇した「54銘柄」…「大暴落のあと」チャンスをものにする投資家だけが知っていること
2008年、世界を震撼させたリーマンショック。建設・不動産を中心に上場企業までもが次々と倒産する悪夢のような時代。しかしそんな絶望の淵で、生き残った企業の株を冷静に判断することができていたら、想像を絶する爆益を手にしたかもしれません。本記事では、はっしゃん氏の著書『株の爆益につなげる「暴落大全」』（KADOKAWA）より、リーマンショックの倒産ラッシュの裏側で、ひそかに息を吹き返した驚異の銘柄たちを徹底解剖します。
リーマンショックで建設・不動産関係を中心に多くの企業が破綻
リーマンショック前後には日本企業にも倒産が急増しました。それは、上場企業についても同様で、平成バブル崩壊後よりも短期間に多くの上場企業が倒産しています。
倒産した業種を見ると、建設や不動産が多いという特徴があります。これは、リーマンショックの震源が住宅ローンや不動産だったこともあり、日本でも不動産価格が急落した影響が大きかったと言えるでしょう。
不動産や住宅建設業界は、土地や不動産を仕入れて再開発したり、ビルや住宅を建設して販売するビジネスモデルです。そのため、仕入れから販売までの間に相当の時間を必要とします。また、多くの企業は借金をして土地や不動産を購入しています。なぜなら、たくさん借金をして多くの土地や不動産を購入したほうが、売却した時の売上や利益も大きくなるからです。
しかし、仕入れから販売までの間に土地や不動産の価格が急落してしまうと、販売しても赤字になる事態が発生してしまいます。最悪の場合は、値下がりした住宅や不動産を売っても借金を返せない債務超過という状態に陥るケースもあります。
平成バブルでも土地神話が崩壊し不良債権化して多くの企業が倒産しましたが、リーマンショックで再び起こったというわけです。
［図表1］リーマンショック前後で破綻した上場企業 出所：『株の爆益につなげる「暴落大全」』（KADOKAWA）より引用
［図表1］のチャートは、2008年2月から2009年6月にかけてのリーマンショック前後に経営破綻した企業を時系列に並べて株価チャートと合成したものです。週足チャートになっていますが、毎週ほぼ途切れることなく上場企業が倒産していったことがわかります。
株価暴落では、その影響次第で、相当数の上場企業が同時期に連鎖的に破綻することがあるということは知識として知っておいたほうがよいでしょう。
リーマンショックで破綻した上場企業
リーマンショック破綻企業リスト55社
2008/02/12 グレース 2008/10/30 ノエル、山崎建設
2008/02/19 あおみ建 2008/10/31 ダイナシティ
2008/03/21 レイコフ 2008/11/14 ディックスK
2008/04/30 ニイウスコー 2008/11/26 オリエ白石
2008/05/27 アリサカ 2008/11/28 モリモト
2008/05/30 トスコ 2008/12/08 太洋興業
2008/06/24 スルガコーポ 2008/12/15 松本建工
2008/07/05 真柄建 2008/12/19 ダイア建
2008/07/11 アスキーS 2009/01/09 クリード、東新住建
2008/07/18 キョーエイ、ゼファー 2009/01/16 SES
2008/07/24 三平建設 2009/01/30 平和奥田、CFI
2008/08/13 URBAN 2009/02/05 日綜地所、中道機
2008/08/26 創建ホーム 2009/02/16 小杉産
2008/09/01 トランスデジ 2009/02/23 SFCG
2008/09/19 Human 2009/02/26 トミヤアパ
2008/09/24 リプラス 2009/03/10 パシフィック
2008/09/25 ジェネシス 2009/03/12 エスグラント
2008/09/26 シーズクリエ、プロデュース 2009/03/30 アゼル
2008/09/29 ランドコム 2009/04/09 旭ホームズ
2008/10/03 Lクリエイト 2009/04/24 ライフステジ、中央コーポ
2008/10/08 新井組 2009/05/29 ジョイント
2008/10/09 ニューシティ 2009/06/03 セタ
2008/10/14 富士Bio 2009/06/05 アプレシオ
2008/10/16 井上工 2009/06/12 春日電
リーマンショック当時は最終的に破綻しなかった企業であっても、危ないと見なされた企業は株価が50円や100円を大きく割り込むなど、実質破綻と見なされる株価水準まで売り込まれました。そのため、投資家にとっても非常に厳しい状況が続くことになりました。
リーマンショック後の状況
リーマンショックは1929年の世界恐慌に次ぐ金融危機でしたが、比較的短期間で回復した点で世界恐慌とは異なります。
米国の場合…4年で回復
NYダウはリーマンショック後の2009年2月が大底となり、その後は急反発に転じて4年後の2013年1月にはリーマンショック前の高値を更新しました。
［図表2］リーマンショック以降のNY ダウの株価チャート 出所：『株の爆益につなげる「暴落大全」』（KADOKAWA）より引用
そしてその後も、2020年のコロナショックなどいくつかの株価暴落を挟みながら15年以上も株価上昇が続いています。NYダウはリーマンショック当時の7,000ドル割れから2024年12月末現在では4万2,500ドル台へと6倍超に上昇しました。
日本の場合…5年で回復
日本の株価は、リーマンショック後も円高不況や2011年の東日本大震災の影響を受けて低迷が続きました。また、政治的にも混乱のあった時期で、リーマンショック後の2009年には自民党が選挙で大敗し、民主党政権が誕生しました。
しかし、国民からの支持を継続することができず、2012年末には民主党から自民党へと再度の政権交代が起こりました。その後、就任した安倍晋三首相のもとで「アベノミクス」と名付けられた金融緩和、財政出動、成長戦略を3本の矢に見立てた経済政策が開始されました。
その政策に沿った形で日銀が「異次元緩和」と呼ばれる超低金利施策をとったことでドル円相場は円高から円安にシフトしていき、円高不況を克服した日本企業の株価も底入れしました。それでも、リーマンショック前の水準を回復するまでには5年を要しました。
［図表3］日経平均株価の50 年チャート 出所：『株の爆益につなげる「暴落大全」』（KADOKAWA）より引用
その後は、日経平均株価もNYダウと同様に、リーマンショック当時の7,000円割れから2024年7月の4万2,000円超まで6倍超に上昇しています。
株価暴落は10倍株の起点になる
バブル崩壊後の最安値となったリーマンショック前後の株安局面で株式を購入していた場合、株価は数倍、場合によっては10倍、さらに100倍以上にまで値上がりしているケースが珍しくありません。
日経平均株価でさえ最大6倍以上になっているのですから、考えてみれば当たり前のことと言えます。このように、株価暴落は10倍株の起点になる性質があるので、株価暴落を前向きに捉えて長期的視野に立ち、よい企業に投資する機会として利用するほうがよいでしょう。
はっしゃんは、「株価暴落は10倍株の起点になる」ことを検証するサイトとして「【株Biz】10倍株Watch」というWebサイトを作成して、株価暴落を起点とした株価の推移を定点観測しています。ここでは、リーマンショックで最安値を記録した2008年10月末を基準として2024年12月末現在の株価が最大100倍以上にまで上昇した54銘柄を紹介します。
リーマンショックからの最大上昇倍率ランキング
1.〈5285〉ヤマックス 28.〈2379〉ディップ
現498.0倍 最大661.7倍 現78.3倍 最大154.1倍
2.〈3856〉Aバランス 29.〈3053〉ペッパー
現32.2倍 最大592.2倍 現3.1倍 最大152.4倍
3.〈1407〉ウエストHD 30.〈2491〉Vコマース
現139.5倍 最大533.9倍 現33.6倍 最大151.1倍
4.〈2158〉フロンテオ 31.〈6264〉マルマエ
現64.3倍 最大530.0倍 現70.9倍 最大149.1倍
5.〈3064〉モノタロウ 32.〈4113〉田岡化
現381.7倍 最大495.7倍 現38.7倍 最大144.4倍
6.〈6323〉ローツェ 33.〈4571〉ナノMRNA
現170.0倍 最大392.2倍 現3.7倍 最大140.8倍
7.〈3778〉さくらネット 34.〈6146〉ディスコ
現148.3倍 最大366.0倍 現87.2倍 最大140.5倍
8.〈2471〉エスプール 35.〈2150〉ケアネット
現79.8倍 最大352.5倍 現30.9倍 最大139.7倍
9.〈6920〉レーザーテク 36.〈2162〉nms
現116.8倍 最大350.0倍 現47.5倍 最大139.4倍
10.〈8508〉Jトラスト 37.〈2138〉クルーズ
現40.3倍 最大342.4倍 現10.7倍 最大139.3倍
11.〈7747〉朝日インテク 38.〈3387〉クリレスHD
現214.7倍 最大323.3倍 現130.0倍 最大137.1倍
12.〈2160〉ジーエヌアイ 39.〈1514〉住石HD
現261.9倍 最大313.1倍 現18.9倍 最大135.9倍
13.〈2146〉UT 40.〈2489〉アドウェイズ
現145.3倍 最大306.7倍 現11.8倍 最大133.8倍
14.〈4565〉ネクセラ 41.〈3825〉リミックス
現47.6倍 最大297.5倍 現22.9倍 最大131.6倍
15.〈6840〉AKIBA 42.〈2413〉エムスリー
現79.7倍 最大291.7倍 現16.2倍 最大124.1倍
16.〈1852〉淺沼組 43.〈3245〉ディアライフ
現167.0倍 最大222.0倍 現114.0倍 最大123.8倍
17.〈3765〉ガンホー 44.〈6702〉富士通
現44.5倍 最大217.7倍 現107.7倍 最大122.7倍
18.〈3769〉GMO-PG 45.〈2929〉ファーマF
現102.2倍 最大213.9倍 現31.2倍 最大119.4倍
19.〈2124〉ジェイエイシ 46.〈9820〉ジェネックス
現176.3倍 最大204.0倍 現6.3倍 最大114.9倍
20.〈2157〉コシダカHD 47.〈6670〉MCJ
現161.倍 最大202.1倍 現102.5 最大112.9倍
21.〈4369〉トリケミカル 48.〈4667〉アイサンテク
現99.2倍 最大187.2倍 現18.7 最大111.7倍
22.〈1882〉東亜道 49.〈8111〉ゴルドウイン
現163.6倍 最大181.9倍 現69.6倍 最大108.2倍
23.〈3038〉神戸物産 50.〈2484〉出前館
現132.3倍 最大181.4倍 現6.4倍 最大107.7倍
24.〈6315〉TOWA 51.〈7575〉日本ライフL
現57.3倍 最大179.7倍 現38.3倍 最大105.0倍
25.〈2782〉セリア 52.〈2492〉インフォMT
現67.1倍 最大176.0倍 現23.7倍 最大101.4倍
26.〈2154〉オープンUP 53.〈4848〉フルキャスト
現112.0倍 最大163.8倍 現46.3倍 最大101.4倍
27.〈3854〉アイル 54.〈2429〉ワールドHD
現109.6倍 最大163.0倍 現40.5倍 最大101.0倍
教訓
株価暴落の原因が不動産バブル崩壊や金融機関の信用収縮まで発展すると50年や100年に1度の恐慌に発展するリスクが高まる。政府や中央銀行の救済の有無も株価低迷が長引くかどうかの判断材料になる。
対処法
リーマンショックのような大暴落のあとは含み損を抱えた持ち株を長期間、保有する苦しい時期も続くので損切りも選択肢に入れる。ただし長期間の暴落が終わったあとは株価10倍株が大量発生する大チャンスになりやすいので新規の投資資金を準備する。
はっしゃん
