ブリヒラのお造り。(画像:近畿大学発表資料より)

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 ブリのメスとヒラマサのオスの交雑魚をブリヒラという。もとは1970年、近畿大学水産研究所が開発したものである。今回、近畿大学が生産した人工種苗を育てたブリヒラ1万5,000尾を、北関東の大手スーパー「ベイシア」で7月1日から販売することになった。

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 ブリは日本では食用として馴染みの深い魚である。出世魚として有名で、地域によって多様な呼称があるが、いずれも80cm以上の成魚をブリという。

 ヒラマサはブリの近縁種である。ブリより脂が少ないが歯応えが良く、高級食材として刺身や寿司などで利用される。

 ブリヒラは養殖を目的に開発された交雑魚であり、ブリを養殖するよりも奇形率が低く、ヒラマサを養殖するよりも生育が早く、飼料効率もその両者に勝るという性質がある。肉質についても、ヒラマサの形質を受け継いで身持ちや歯応えが良く、かつブリに似て脂の乗りが良い。

 今回販売されるブリヒラは、近畿大学が研究開発した人工種苗を国内の養殖業者が育て、食縁という近畿大学にゆかりの企業が活け締めしてフィレ加工した、「近大生まれブリヒラ」である。

 食縁は、2017年にベイシアと「持続可能な養殖水産物の普及に関する協定」を結んでおり、天然資源を減らさない持続可能な水産物の提供に取り込んでいる。

 またブリは、夏場には身が柔らかくなり血合いの色が変色しやすいのだが、ブリヒラは夏場でもブリの良さを持った商品として提供が可能である。

 ベイシアは群馬県を中心に142店舗を展開するスーパーマーケットチェーンである。ブリヒラの販売価格は、サク100グラムが398円(税別、以下同)、お造り5切が398円、1〜2貫のブリヒラが使用された生寿司が5貫で498円。いずれも売り切れ次第終了となる。