山崎製パンはトラック運転手の「英断」に困惑ぎみ?(画像は、山崎製パンのホームページ)

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大雪の影響で中央自動車道の談合坂サービスエリア(SA)に立ち往生したドライバーに積んでいたパンを配ったトラック運転手に称賛の声が寄せられるなか、当の山崎製パンは困惑ぎみのようだ。

この運転手のおかげかどうかはわからないが、2014年2月17日、18日の株価も大きく伸びたのに、発言はどこか歯切れが悪い。

「お取引先にまだ商品が届けられていない状況なので…」

大雪の影響で通行止めが続いていた中央道の談合坂SAで、山崎製パンのトラックが集荷のパンを立ち往生したドライバーらに無料で配布していたことは、SAでパンをもらった人が写真ととともにツイッタ―で伝えたのがきっかけ。

「昨日、ヤマザキパンさんのドライバーの方に差入れ頂きました。『好きなだけ持ってってよ!』と。今は談合坂SAで規制解除待機中、大事な食事となっております。ありがとうございました。」

2月16日の、このツイートが約24時間で1万9000回近くリツイートされ話題に。J‐CASTニュースのほか、読売新聞などの大手メディアや、海外では18日付のRecord Chinaも取り上げている。

寄せられたコメントはどれも、山崎製パンのトラック運転手の「英断」への賛辞ばかり。インターネットには、非常時に人助けができる人材を抱えている山崎製パンの社風に言及するものもあり、同社の知名度や企業イメージもまた、急上昇しているとみられる。

これに対して、山崎製パンは「とくに会社として指示したものでも、非常時の対応として(商品の配布について)の規定があるわけではありません。運転手が機転を利かしたのでしょう」と話している。

ただ、「当社としては商品が届かず、ご迷惑をおかけしているお取引先のこともあります。この件についてコメントすることはありません」と、J‐CASTニュースの再取材にも一貫して、そう話している。

通行止めが続いていた中央道(八王子インターチェンジ〜諏訪インターチェンジ)の上下線は17日23時、3日ぶりに通行止めが解除された。

山崎製パンでは、前日製造した商品は翌日には届ける体制を敷いているが、「山梨県全域はまだ大雪の影響が残っており、商品が届いていない地域があります」という。現在、一刻も早く商品を届けるべく、対応を急いでいる。

2014年12月期は増収増益を見込む

一方、山崎製パンの株価は週明けの2014年2月17日、18日と続伸。18日終値は前日比12円高の1175円。大雪の14日からは67円も上がった。

同社は14日に2013年12月期の連結決算を発表ばかり。売上高は前期比1.8%増の9682億円と伸ばしたが、営業利益は33.0%減の165億円だった。販売競争の激化に加えて、円安による輸入小麦など原料費の上昇や、電気料金や燃料費の増加で収益が圧迫。物流費や販売促進費も増えた。

ただ、14年12月期の業績予想では消費増税の影響を織り込んだうえで、売上高を前期比0.9%増の9770億円、営業利益を35.7%増の225億円の増収増益を見込んでいる。「急反発は、営業増益が評価された」(市場関係者)とみられる。