地震が続くなか、避難生活や在宅避難、停電・断水時などに役立つ情報をあらためて紹介します。少しでも今後の備えや日々の安心につながれば幸いです。

災害時に役立つ防災リュックに入れておきたいアイテムや、避難所で快適に過ごすための備えを紹介します。看護師資格をもち、国内外30カ所以上の被災地で活動してきた国際災害レスキューナース・辻直美さんに、いざというときに役立つ備えや避難所生活のポイントを詳しく聞きました。

※ 記事の初出は2025年7月。年齢を含め内容は執筆時の状況です。

歯みがきシートは必携。防災リュックに入れるもの

避難所で少しでも快適に過ごすために、防災リュックにはなにを入れておくべきでしょうか。「これだけは入れておきたい!」というアイテムを教えてもらいました。

「まず最優先してほしいのは、清潔と衛生を保つためのグッズです。とくにお口の中とデリケートゾーンの清潔は、災害関連死を防ぐためにも非常に重要です。水がなくても使えるマウスウォッシュや歯みがきシート、デリケートゾーン用のウェットティッシュ(赤ちゃんのお尻ふきなどでも代用可)は必ず入れましょう」

次に大事なのは水と食料だそう。

「水は1日3Lを目安に、3日分、つまり9Lを準備しておくと安心。重いですが、命を守るためには大切です。そして、常備薬や絆創膏、消毒液などの医薬品、夜間の移動や作業に必要なライトも持って行きましょう。情報収集に不可欠なスマートフォンと充電用のモバイルバッテリー、ケーブル、コンセントも忘れずに」

余裕があれば、複数の機器を同時に充電できる延長コードがあると、避難所にいるほかの人にも喜ばれるかもしれません。

これがあると便利!防災リュックにあると想像以上に役立つアイテム

そして意外と重要なのが、睡眠関連のグッズです。

「耳栓やアイマスク、携帯用の枕などがあると、騒がしい避難所でも少しは安眠できると思います。ただし、耳栓は完全に音を遮断するものではなく、70%程度の遮断率のものを選ぶと、いざというときに危険を察知できます」

さらに、防寒・防暑対策も大切だと語ります。

「寒い時期は重ね着で対応を。暑い時期は霧吹きと扇子があると、電気を使わずに涼をとることができます」

そのほか、ロープや軍手も、洗濯物を干したりちょっとした作業をしたりするのに役立ちます。下着も頻繁には洗濯できないので、おりものシートやナプキンなどを活用することで清潔さのキープにつながるそうです。

辻さんの防災グッズ「4種の神器」

普段から持ち歩ける防災グッズとして、辻さんが「4種の神器」と呼んでいるものがあります。

「私が常に持ち歩いているのは、ライト、万能ナイフ、防災笛、そしてコンパスです。これらをカラビナでまとめて、いつでも使えるようにしています」

避難所へ行く前に知っておきたいこと

在宅避難ができない場合、避難所での生活を余儀なくされることもあります。しかし、ニュースで見る避難所の様子は、じつは安定した状況の一場面に過ぎないこともあるのだとか。

「まず、皆さんがイメージするような、揺れている最中にリュックを背負って慌てて逃げるという状況は、実際の災害ではほとんどありません。揺れが収まったあとに、家の中や外の安全状況を確認し、自宅での生活が困難だと判断した場合に、避難場所へ向かいます」(辻直美さん、以下同)

さらに、「ぜひ知っていただきたいのは、避難所と避難場所は異なるものだという点です」と続けます。

「避難場所は一時的に様子を見ることが目的で、広い公園などが指定されていることがほとんど。ハザードマップで事前に確認しておきましょう。火災の危険がある場合は『広域避難場所』へ、地震だけの場合は『一時避難場所』へ、防災リュックを持って行くことが大切です。避難所には欲しいものがすべてそろっているわけではないので、快適に過ごすための備えは自分自身で用意する必要があります」

●避難場所の実際の状況は?

避難所は、学校の体育館や公民館などが指定され、基本的には寝泊まりするだけの場所と考えおくのが基本。

「残念ながら避難所は早い者勝ちで、その地域に住んでいる人や、持病がある方、小さなお子さんがいる方が優先されるわけではありません。来た順番に案内され、場合によっては、あとから来た方が特別な配慮を受けられないこともあります。また、福祉避難所という、高齢者や妊産婦さん向けの避難所もありますが、数に限りがあり、必ず入れるわけではないので注意が必要です」

●避難所では「いかに快適に過ごせるか」を念頭に準備

避難所は、必ずしも安心安全が確保されているとは限りません。辻さんは「最低限ではなく、いかに快適に過ごせるかを目指して準備しましょう」と語ります。

「複数の避難所候補を事前に調べ、実際に歩いてみて、どのくらいの時間がかかるか、道は安全かなどを確認しておくことが重要です。行政の方がすべてを管理・運営してくれるわけではなく、避難者自身が協力して運営していくことになるということも覚えておいてください」

毛布や布団も、必ずしも十分な数が用意されているわけではありません。

「あったとしても快適とは限りません。周りの人の声が気になることもあるので、耳栓や枕なども自分で用意することをおすすめします。元気を取り戻し、日常に戻るためには、快適な環境が不可欠です」