映画「開戦前夜」上映差し止め求める 原告・飯村豊さん「命ある限り戦い続ける」
昨年8月に放送されたNHKスペシャル「シミュレーション〜昭和16年夏の敗戦〜」でモデルになった人物の遺族が名誉を毀損されたとして、NHKなどに損害賠償を求めている原告で元外交官の飯村豊さん(79)が22日、都内で会見を行った。今月31日に同ドラマを映画化した「開戦前夜」が公開予定で、今回新たに映画の差し止め請求の訴えを起こしたことを明かした。飯村さんは「命ある限り戦い続ける」と力を込めた。
作中に登場したのは、飯村さんの祖父で日米開戦直前に設立された「総力戦研究所」所長だった飯村穣さんがモデルになった人物。研究所では「圧倒的な敗北」とシミュレーション結果を出したが、所長が結論を覆すよう圧力をかける人物として描かれた。実際は、自由な議論を後押ししたとされている。
担当の梓澤和幸弁護士は「NHKのドキュメンタリーは信頼性が高く、これは事実だと思っている視聴者も多い」とし、この日行われた口頭弁論ではSNSなどで史実と創作事実が混同して広がった分析書証などが用いられた。
映画を巡っては、今月19日に開催予定だったプレミア上映会が中止となった。梓澤氏は「その流れに沿ってNHKは自主的に上映をやめるという動きがあってもしかるべき。このまま公開を強行するということもあり得るので、差し止め請求を求める」とした。映画に加え、その後の配信の差し止めも求めていく。
上映中止を求めて抗議の街宣活動を続けている飯村さんは、「上映が近づくにつれて心穏やかではない」と胸中を語る。ドラマ、映画の監督を務めた石井裕也氏に対しては「昨年9月に“時が来れば自分の考えを述べる”と言っていたが、あれから1年、公の場に出てお話にならない。これだけ問題化しているのに、自らの言葉で語ることがない状況が続いている」と非難した。
梓澤氏は本案について「表現の自由を行使する人たちには、倫理的なあり方や責任が付与されていると考える。誰かを踏みにじって、あるいは事実をねじ曲げて自分の表現のためにやることは許されるのか、という問いかけをしていきたい」と語った。

