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復活を遂げたA110の歴史

初代A110の生産が終了してから、ちょうど40年目となる2017年、アルピーヌは新型A110をこの年のジュネーブ・ショーで発表した。

【画像】アルピーヌの研究開発センターで、新型A110などの技術説明を行うテックデイを開催!クラシックモデルも展示 全140枚

そのボディデザインは誰にでもかつてのA110の姿を彷彿させる、しかしながら当時の最新技術によってエアロダイナミクスをさらに洗練させた、魅力的な造形を誇るものだった。


グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2026で『アルピーヌA110フューチャー』が初走行。ドライブを担当したのは、BWTアルピーヌF1チームのピエール・ガスリー選手で、助手席にはグッドウッド主催者であるリッチモンド公爵が同乗した。    アルピーヌ

初代A110でリアに搭載されていたエンジンはミドシップへと移動し(そのためにキャビンは2+2から2シーターとなった)、まずは1798ccの直列4気筒ターボエンジンを252psの最高出力で搭載することから、復活を遂げたA110の歴史は始まった。

そのA110がスポーツカーのファンから常に高く支持されていたのは、アルミニウム製のプラットフォームなどを採用したことによる軽量性、そしてシンプルなエンジニアリングだった。

A110にはその後、『A110S』、『A110GT』、『A110R』、『A110Rウルティメ』などに代表される、さまざまな派生、高性能モデルや特別仕様車が誕生。そのいずれもが軽量でコンパクトな、コーナリングマシンとしての感動的なまでの楽しさを持つモデルであった。

研究開発センターでテックデイを開催

A110の人気は、デビューから10年という節目が近づいても変わることはなかった、昨年アルピーヌは対前年比でプラス54.7%となる1万970台をデリバリーしているが、2023年に発表された『A290』とともに、A110はこの数字を実現するために、なおも確かに貢献していたのだ。

そのA110の生産が2026年7月1日をもって終了した。


筆者も参加した、パリ近郊のギュイアンクールにあるアルピーヌの研究開発センターで開催された、新型A110を中心とした技術説明を行うテックデイ。    アルピーヌ

これまでフランス北部にあるディエップ工場からデリバリーされた第2世代A110の生産台数は、トータルで2万8701台。アルピーヌによれば、2027年にはその後継車となる第3世代A110の生産がスタートする予定となっている。

果たして第3世代A110とは、どのようなモデルになるのだろうか。本稿執筆時点でそのプロトタイプである『アルピーヌA110フューチャー』の詳細は明らかになっていないが、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2026でその走行シーンを初披露している。

それに先立ってアルピーヌは、パリ近郊のギュイアンクールにある同社の研究開発センターで新型A110、そしてその派生モデルにも大きく関係する技術説明を行うテックデイを開催。筆者もそのプログラムに参加することができたので、ここで概要を報告していこう。

新開発されたAPP=アルピーヌ・パフォーマンス・プラットフォーム

まもなく誕生することになる新型A110は、エレクトリックパワートレーンを搭載したBEVとなる。

そのために新開発されたのが『APP』(アルピーヌ・パフォーマンス・プラットフォーム)と呼ばれる軽量なアルミニウム製の基本構造体だ。これは新型A110のほかに、ルノーが2027年に発売を予定する『5ターボ 3E』にも使用される計画となっている。


新型A110に採用される、『APP』(アルピーヌ・パフォーマンス・プラットフォーム)と呼ばれる軽量なアルミニウム製の基本構造体。    アルピーヌ

この事実からも分かるように、APPは高い拡張性を持つモジュラー型プラットフォームとして開発されており、アルピーヌではまずこれまでのA110と同様に2シーター車を開発。続いてそれをベースとするオープン仕様、さらにはホイールベースを延長した2+2ボディを持つモデルを、やはりクーペとオープンの両ボディで市場に導入する計画を持ち合わせる。

興味深いのは、2シーター用と2+2用ではバッテリーの搭載方法や前後アクスルの構造などが完全に差別化されていることだ。

世界初の試み、バッテリーパックを前後に分割搭載

2シーターモデルのバッテリーはAPPの前後に分割して搭載されて搭載され(実際には総エネルギーの25%を占めるフロントパックと、同じく75%を占めるリアパックに分割される)、両者はこちらも軽量なアルミニウム製のハーネスで直列に接続される。

ケーシングはダイカストアルミニウム製で、これはねじり剛性を高めるための、車両の構成部品としての機能も持ち合わせる。前後にバッテリーパックを分割して搭載するのは、アルピーヌによれば世界初の試みということだが、それによって前後重量配分の最適化(アルピーヌはそれを40:60とした)が実現されることなどを考えれば、その意義は非常に大きいといえそうだ。


前後にバッテリーパックを分割して搭載。前後重量配分の最適化を行い、40:60を実現した。    アルピーヌ

参考までにバッテリーは円筒形セル(46115)と2フロアのセルトゥパックを備えたNCM化学組成を使用したもの。エネルギー密度は750wh/L、もしくは275wh/kgという魅力的な数字で、搭載量についての言及はなかったが、量産モデルの車重はおよそ1500kg程度になると見込まれている。エレクトリックアーキテクチャーは800V。10%から80%までの充電に必要な時間はわずかに15分であるから実用性も高い。

*新型『アルピーヌA110』が挑むEVスポーツカー革新(後編)に続きます。