定年前のラスト1期に(時事通信フォト)

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 大相撲名古屋場所(7月12日初日)の番付が6月29日に発表された。またも"戦国時代"の様相を呈する土俵上の戦いとともに、土俵外の勢力図の行方にも注目が集まっている。

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 新番付の関脇には熱海富士、琴勝峰、若隆景、安青錦の4人が並んだ。夏場所で2度目の優勝を果たした若隆景は、東小結から東関脇へ復帰。大関昇進への足場固めとなる場所を迎える。夏場所でカド番のまま休場した安青錦は大関から西関脇へ陥落し、名古屋で10勝以上を挙げれば大関に復帰できる再起場所となる。新小結には夏場所11勝の義ノ富士が昇進し、三役の座についた。

 横綱は東に豊昇龍、西に大の里が並ぶが、夏場所は大の里が全休で豊昇龍も2日目から休場している。大関は東に霧島、西に琴櫻。霧島は綱獲り場所となるが、夏場所では優勝決定戦に進みながら若隆景に敗れている。琴櫻は自身2度目のカド番で土俵に上がるかたちで、上位陣の不安は大きい。

主流派の2つの一門の勢力は拮抗、逆転もあり得る状況

 そんななか、早くも注目を集めているのが次期執行部の陣容だという。相撲協会の今年初場所後の理事選では無投票で10人が選任され、八角理事長(元横綱・北勝海)が7期目の続投に。63歳で2年後に定年を控えるため、最後の1期となる。その後継者問題が注目されているのだ。若手親方が言う。

「執行部の勢力図は、定年を控えて理事を退いた春日野親方(元関脇・栃乃和歌)が率いる出羽海一門と、定年後にNHK解説者となった元尾車親方(元大関・琴風)が影響力を持つ二所ノ関一門の2つの主流派が二分している。夏場所後の理事会で元横綱・白鵬が師匠だった宮城野部屋が伊勢ヶ濱部屋に完全吸収されることが決まったが、それも6対4といったかたちで意見が分かれたという。

 そうしたなかでの次期理事長の本命は、最大派閥・出羽海一門の藤島親方(元大関・武双山)とされるが、54歳で今回が初めての理事となり広報部長に就いたばかりで経験は浅い。2年後の理事長を目指すなら、ライバルは審判部長や広報部長などを歴任してきた二所ノ関一門の佐渡ヶ嶽親方(元関脇・琴ノ若)になる」

 主流派の2つの一門の勢力は拮抗しており、逆転もあり得る状況だ。前出の若手親方はこう続ける。

「そこで今回、ナンバー2の事業部長に就いた出羽海親方(元前頭・小城ノ花)の名前が浮上した。最高位は前頭で意外かもしれないが、名門の部屋を継いで一門を率いる立場。弱小の高砂一門の八角理事長が君臨できたのも、出羽海一門の後方支援があったからこそ。"大政奉還"なら八角理事長の影響力も残る」

 出羽海親方は58歳で佐渡ヶ嶽親方より1学年上。理事長を2期ほど務めれば佐渡ヶ嶽親方の目はなくなり、その間に藤島親方が要職を歴任するシナリオだと見られるのだ。八角理事長の勇退後の立場については相撲ジャーナリストがこう言う。

「理事長経験者は退任後、相談役として協会に残るのが慣例で、理事会に出席して発言力を持ち、報酬も理事並みとされてきた。

 相撲協会に65歳定年後の再雇用制度が導入されたのは2014年からで、2015年11月に急死した北の湖理事長のあとを受けて八角理事長が誕生したため定年後再雇用と相談役を兼ねる前例がない。そのため待遇はわからない部分もあるが、理事長経験者の天下り先とされる相撲博物館館長との兼任もありそうだ。影響力を残した理事会で多数派を抑えれば、藤島政権擁立はじめ好きにできる部分は大きいでしょう」

 本場所はチケットが常に完売し、国内巡業だけでなく海外からも公演依頼が殺到している。それが八角理事長の手腕として評価されたから退任後の道筋まで見えてくるということなのか、貴乃花氏や白鵬氏らが協会を追われるように去ったことで反主流派がいなくなったからなのか。

※週刊ポスト2026年7月17日号