価格急騰中の「ポケカ」や「遊戯王カード」が裏社会の「マネーロンダリング」に使われている!
売買も簡単でアシも付かず、空港税関も楽々突破
トレーディングカード界隈が、かつてないほどに過熱している。『遊戯王』や『ワンピース』など人気アニメのカードが軒並み高騰。特に人気を博しているのがポケモンのカード(通称:ポケカ)で、本来は対戦型ゲーム用のカードなのだが、『スペシャルアートレア』『ウルトラレア』など出現率の低い希少カードが高値で売買されているのだ。海外勢から人気のポケカは、あっという間に価格が数倍になるケースもあり、転売市場はかつてない盛り上がりを見せている。
「数百円から数千円で売られていたカードに、高いものだと数百万円から数千万円の値が付く。需給バランスによって価格は日々変動し、リアルタイムの値動きがチェックできる専用のサイトもあり、もはや金融商品のようになっているのです。売買を繰り返して月に数百万円の利益を上げている専業の『転売ヤー』もいます」(都内の20代コレクター)
今年はポケカが誕生して30周年。関連の行事が多数開催されることも価格の高騰に寄与しているという。
「趣味というより、SNSで情報を収集しながら安く仕入れ、より高く売って儲ける″セドリ″ビジネスをやっている人が急に増えた印象ですね。もはや投資の対象になっています」(別のコレクター)
実は今、反社会的勢力が空前のブームとなっているトレーディングカードに目をつけ、悪用しているというから穏やかではない。広域暴力団と接点があり、裏稼業に精通している人物が明かす。
「要するにマネーロンダリングだよね。特殊詐欺とかのワケありのカネは銀行に預けられない。現金が手元に大量にあると警察の目もあるし、別の犯罪組織から″タタキ″(強盗)に遭うリスクもあるから、キレイに″洗浄″して安全な場所に移したい。以前は、他人名義の口座を買って入金したり、金塊(ゴールド)に替えたりしていたけど、そっちも取り締まりが厳しくなっている。人気のポケカなら値段が下がることはまずないし、小さいから保管場所にも困らない。現金化もすぐできるしね」
東京・秋葉原近くで人気カードを扱う店舗の経営者も、こう証言する。
「警察からカードを売買した客についての問い合わせが最近になって急に増えましたね。うちは運転免許証などの提示を義務付けていますが、身分確認をしない店もある。偽造の身分証が使われるケースもあるから、本人になかなか辿りつけない」
トレカは、ブラックなカネを海外に持ち出す場合にも使われるという。
「大量の現金や貴金属を持ち出そうとすると手荷物検査で引っかかるリスクが大きいけど、トレカなら1枚数百万円する超レアカードでも見た目はおもちゃみたいなもの。異常な量でなければ税関もスルーです。若い連中を使って、トレカに変えて持ち出しを定期的に請け負っているグループもある」(マネロンに詳しい人物)
現役の捜査員も、「事件の関係者の自宅などで価値の高いポケカを発見することがある」と言う。
「詐欺に限らず、薬物や闇カジノなどの違法ビジネスで、犯罪収益を人気カードに替えている奴らはいる。ただ、金塊などと違ってカードには個別のシリアルナンバーがないから、どこで入手したのか判別できず、それだけでカネの流れを立証するのは難しい。実態の解明は相当難しいというのが現状だ」(警視庁捜査員)
まるで「地下銀行」
取材を進めるなかで、「最近は外国人が明らかに不自然なトレカの買い方をしている」という情報が寄せられた。
ある休日の午後、都内の某ショップを観察していると……。アジア系の2人組が慣れた様子で入店。いずれも20代だろうか。1人はカジュアルだがハイブランドのパーカーを着ていて、スマホの画面を見ながら店員に声を掛け、次々に高額の人気カードを買っていく。
購入にはクレジットカードを使い、デザインもロクに見ずに10分ほどで約250万円分のトレカを手にして帰っていった。マネロン事情に詳しい関係者が解説する。
「それは中国人だろうね。中国では本国からの人民元の持ち出しが厳しく規制されており、わずかな現金しか日本に持ち込めない。そこで彼らは銀聯カードなど中国のクレジットカードを使って日本でポケカを買ってすぐに転売する。
購入代金は人民元で支払うことになるが、ポケカを売ることで外貨(円)を得られるというわけだ。日本でビジネスを始めるとか、手元に現金が欲しい時にこの手法が使われている」
トレカを介した、まるで地下銀行のような仕組みが出来上がっているのだ。
海外に渡航し、現地のレアカードを日本に持ち帰って売り捌(さば)くグループも存在し、売却益を申告しないケースが多く、国税当局も監視を強めているという。カード販売会社は転売禁止を呼び掛けているが、「まだやりたい放題」(前出・関係者)で、事実上の無法状態となっている。
人気トレカが、闇社会のツールになっている実態が浮き彫りになっている。
『FRIDAY』2026年6月5・12日合併号より
取材・文:日本橋グループ*
メディアや官僚、政界、ITなどの出身者で構成される新しい形の取材・情報チーム。国内外の機関と連携し、主に調査報道やドキュメンタリーの制作などを行っている
