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納豆や缶詰、調味料などの食料品、電気料金…2026年6月も値上げラッシュによる家計への圧迫が続いています。物価高時代かつ人生100年時代の今、老後資金をどう増やしたらよいか悩む方も多いのではないでしょうか。そのようななか、夫婦でファイナンシャルプランナーとして活躍する横山光昭さんと関口博美さんは「『おふたりさま』(充実して暮らす夫婦)は、これまで以上にお金のあり方を工夫する必要がある」と語ります。今回は、お二人の著書『おふたりさまの老後資金は「これ」で増やす』より一部を抜粋してお届けします。

【図】繰り下げ受給でもらえる平均年金受給額早見表

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「繰り下げ受給」は健康面に照らしながら検討

ご存じの方も多いかもしれませんが、年金制度は2022年4月に大きく改正されました。主な変更点は二つ。一つは、繰り上げ受給における減額率の見直しです。それまで、1か月繰り上げるごとに0.5%減額されましたが、改正後は0.4%になりました。

もう一つは、繰り下げ受給の年齢の上限が延びたこと。改正前の繰り下げの上限は70歳でしたが、75歳まで引き上げられました。1か月後倒しするごとに0.7%ずつ増額されるため、75歳まで10年繰り下げれば84%(0.7%×120か月)も増えます。

ちなみに、繰り下げの場合、年金の総受給額が65歳から受給し始めた人を上回るのは、受給開始から12年後となります。70歳で受給開始した場合は82歳、75歳なら87歳です。年金は積み立て方式でないと理解していても、長年コツコツ納めてきたわけですから、できるだけ多く受け取りたいと思うのは当然です。

しかし、男性の平均寿命は約81歳。頑張って75歳まで繰り下げて増えたとしても、平均寿命までは6年程度です。65歳から受け取る方より受取総額が少なくなるリスクが高まります。

女性は75歳からでも損するリスクは少ない

具体的に繰り下げによりどのくらい金額が増えるのか。男女別の「平均年金受給額早見表」(図)を見てみます。

厚生年金に加入する65歳の男性の平均年金月額14万9000円、女性の9万3000円(基礎年金含む)をベースに、それぞれ75歳まで繰り下げた場合の金額をまとめています(2024年度時点)。


『おふたりさまの老後資金は「これ」で増やす』(著:横山光昭、関口博美/小学館)

ちなみに、厚生年金に加入していた夫婦が同年齢で65歳から受給した場合、月額の合計は24万2000円。住居関連の支出にもよりますが、繰り下げ受給せずとも何とか暮らせそうな金額です。

仮に、この夫婦がともに75歳まで繰り下げると、月額は計44万5280円。結構な金額に増えます。

ただし、何度も申しますが、無理は禁物です。

たとえば、男性は68歳で受け取り、女性は72歳で受け取るなど、さまざまな選択肢が考えられます。個人差はありますが、女性は平均寿命が90歳近いため、75歳から受け取り始めても損するリスクは少ないかもしれません。

年金の“時間差受給”で窮地をしのぐ

家計の状況に照らして、年金の受給開始を夫婦が別のタイミングにする“時間差受給”という方法は、おふたりさまならではの作戦です。

Hさん(66歳)は、再雇用が延長され、65歳を過ぎても就業を継続できました。ただし、最初の再雇用時より想定以上に給料が減り、家計はたびたび月10万円以上の赤字に。赤字分は約1500万円ある貯蓄から補填してきましたが、老後資金の減りの速さに不安を感じ、夫婦で相談に来ました。

おふたりとも、年金は繰り下げ受給で増やすことを目指し、65歳からの受給はしていません。できれば75歳まで繰り下げ、最大限に増やしてから受給したい考えです。しかし、赤字が月10万円を超える現状では、貯蓄の切り崩しだけで今後10年の赤字を乗り越えられるか、難しい側面があります。

Hさん夫婦は資産運用しておらず、貯蓄はすべて預貯金で持っています。まだまだ低金利の時代ですので、貯蓄を切り崩してでも年金を繰り下げたほうが、金銭的にはお得です。

しかし前述のように、生命寿命や健康寿命との兼ね合いや、万が一の急な出費に備え、貯蓄を減らしすぎるのも考えものです。そこで、まずは繰り下げ受給の増額分が少ない、妻の年金の受け取りを開始しました。

併せて支出の見直しも行った結果、家計は黒字に転じ、貯蓄が減ることがなくなりました。Hさんの再雇用期間が終わっても、その時点からHさんが年金受給を開始すれば、家計の黒字は続く見込みです。

老後資金をすべて預貯金で持ち続けるリスク

ちなみに、老後資金をすべて預貯金(現金)で持ち続けるのは、違った“リスク”が生じます。

昨今のような物価上昇局面が続くインフレの時代では、お金の価値が目減りしてしまうからです。

たとえば、現時点で1500万円ある預貯金が、物価が上がった10年後には1300万円ほどの価値しかなくなることは十分に想定されます。

Hさん夫婦も、老後資金の一部をリスクの少ない「積立投資」に回すことにしました。年金の繰り下げ受給による“利回り”よりは低いかもしれませんが、預貯金より格段に高い利益が期待できるからです。

※本稿は、『おふたりさまの老後資金は「これ」で増やす』(小学館)の一部を再編集したものです。