資産1000億ドルの投資家の毎朝マックは倹約だが、庶民の毎朝スタバのラテは完全浪費…残高崩壊する怖い習慣
※本稿は、小林義崇『元東京国税局職員が教えるお金の基本』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。
■家計の見直しは固定費の削減から
家計改善には収入を増やすことも大事ですが、すぐに取り組めるという意味では支出削減のほうが効果的です。
お金を稼ぐことに比べて、お金を使うことははるかに簡単だということは、多くの方が実感されるのではないでしょうか。無駄遣いがあるのであれば、これをいかに減らせるかが、資産運用に取り組むうえで重要です。
支出削減のために最初に取り組みたいのが、「固定費」の節約です。固定費とは、以下のように毎月かかる費用をいいます。
・保険料
・サブスクリプションサービス(動画や音楽など)
・携帯電話料金
固定費が怖いのは、普段は支払っている意識がないことです。ためしに、あなたがこれら固定費に毎月支払っている金額を思い浮かべてみてください。きっと、はっきりと答えられないのではないでしょうか。
支払っている意識がないのに、家計の大きな負担になっている。これが固定費の特徴であり、真っ先に見直すべき理由なのです。
固定費の見直しが効果的なのは、一回の行動が長期的な節約につながるからです。たとえば保険や携帯電話料金などを見直して、毎月2万円の固定費を浮かせたとしましょう。これは30年間で720万円ものお金を節約できることになります。これだけのお金を、たとえば食費の節約で貯めようとすると、かなり大変です。
携帯電話を例にとって考えてみましょう。月々携帯料金に1万円を使っていたとします。最近注目を集めている格安SIMなら、プランによっては、ひと月あたり1000円以下に抑えることも可能です。自分が使う月々の通信料によって適切なプランを検討する必要がありますが、大手に限らずさまざまな情報を集めることが重要です。
固定費を見直して浮いたお金は、投資にまわすことで増やすことができます。月2万円の積立投資を30年間続け、仮に平均利回り5%で運用したなら、約1665万円になる計算です。
そのように考えると、できるだけ早く無駄な固定費をストップすることが、将来に大きな影響を与えることがわかります。
固定費を見直すためには、月に1度は支出チェックを行うと無駄に気づきやすくなります。預金通帳やクレジットカードの明細を見たり、マネーフォワードなどの家計管理アプリを使ったりして、1カ月間の固定費に無駄がないかをチェックしてください。
こうして無駄な固定費を洗い出したら、すぐに支払いをストップしましょう。後回しにしていると忘れてしまうので、今すぐにやらなくてはいけません。
固定費につながる支払いをするときに、慎重に考えることも大切です。たとえば家を引っ越すとき、携帯電話や保険の契約をするとき、動画配信などのサブスクリプションサービスに加入するときなど。「月500円だからいいか」「無料期間があるから試してみよう」などと安易に考えてはいけません。
■日常生活には無駄がいっぱい
固定費を減らしたら、次は普段の生活のなかにある細かな無駄を減らしていきましょう。毎日の習慣になっているような支払いがあれば、本当に必要なのかを考えてみてください。
たとえばショートサイズのスターバックスラテを飲むと1杯415円ですが、これを平日朝に毎日飲むと年間10万円を超える出費です。結構大きな金額ですよね。コーヒーだけでなくタバコやゲームの課金など、ちょっとした金額のように見えて、習慣化するとかなりの出費になってしまいます。
私は国税職員時代に相続税調査を担当していたため、資産家の生活ぶりを知ることができました。そこで印象的だったのが、資産家の多くが質素な生活ぶりだったことです。彼らは、投資用の不動産や株式、教育費などに大金を使う一方で、ちょっとした無駄は徹底して避けていました。
投資の神様と呼ばれ、1000億ドルを超える資産をもつとされるウォーレン・バフェットも、日常生活では倹約家として知られています。朝食ではマクドナルドばかりを食べて、散髪には10ドルしかかけていない、という彼の話は有名です。
現代は、小さな無駄遣いをしやすい環境になっています。「今日買えばポイント2倍」「1000人に1人が全額キャッシュバック」といったキャンペーンを目にすることが増えていますが、そうした広告につられると無駄遣いが増えてしまいます。
会社に通勤するだけでも、広告を見ないでいることはできません。朝に見るテレビや新聞、通勤電車の車内広告、スマホアプリやメールなど。誘惑はそこら中にあります。
さらに近年は、特定のターゲットにインターネットから広告配信を行う「ターゲティング広告」が多く使われています。たとえばスマホを使っている際に、あなたの検索履歴や行動履歴は逐一データベース上に蓄積されています。
その内容を元に、あなたの購買意欲を喚起するような、最適な広告が画面上に現れるようにAIによって管理されているのです。広告で知ったものが自分にとって価値があるものであればいいのですが、無駄遣いにつながりがちです。「本当に買うべきなのか?」ということを、お金を払う前に考えてみてください。
■保険のタイプの違いを知らなければ、大損につながる
固定費として保険の見直しは有効です。必要のない民間の保険を解約したり、保険料の安いものに切り替えたりすることが、節約につながります。とはいえ、むやみに減らすと、いざというときの保障がなくなるのは心配です。
悩ましいのは、「この保険に入っておけば大丈夫」と一概に言い切れないことにあります。あらゆる状況に対処できる保険は存在せず、人それぞれ、健康状態や家族構成、リスクに対する恐怖心などが違うので、一律の答えを出せません。
そこで、代表的な保険である、生命保険から考えてみます。
生命保険のタイプには、大きく分けて以下の3つのタイプがあることを押さえておきましょう。
2 定期保険:一定の期間のみ保障される。保険料が安い。当初の保険期間がすぎると更新できるが、保険料が高くなる
3 収入保障保険:死亡した時期により、遺族がもらえる保険金の額が変わる。死亡時の年齢が高いほど、もらえる保険金は減る
このうち、どのタイプがいいのかを自分で考えてみましょう。
一生涯の保障がほしいのであれば終身保険、保険料を抑えたいのであれば定期保険や収入保障保険というのが、基本的な考え方です。
生命保険とは、被保険者が死亡した際に支払われるものですから、自分よりも残される家族のことを考える必要があります。
冷静に考えれば独身の人は生命保険に入る必要性はほとんどありません。自分が亡くなったとしても、生活に困る人がいないからです。
でも、配偶者に収入がない場合や、小さなお子さんがいる場合は違います。
たとえば私が入っている生命保険は収入保障保険のタイプなのですが、これは子どもが小さいうちは保障を手厚くし、彼らの成長に合わせて保障を抑えるタイプです。
また、住宅ローンを組む場合に加入する「団体信用生命保険」も有効です。この保険は、住宅ローン返済中に契約者に万が一のことがあったときに、住宅ローン残高をゼロにしてくれます。
もし世帯主である私が死亡したとしても、収入保障保険や団体信用生命保険によって、家族の当面の生活は保証されます。
少なくとも、3人の息子が大学を卒業できるくらいの金額は保険金で賄えるはずです。そして、私が50代になり息子たちが独立する頃には、収入保障保険の保険期間が終わり保険料の支払いがなくなります。
このように、生命保険は家族構成や年齢をもとに考えることで無駄をなくすことができます。
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小林 義崇(こばやし・よしたか)
フリーライター
国税局の国税専門官、都内の税務署、東京国税局、東京国税不服審判所に勤務。2017年、金融関係のフリーライターに転身。著書に『すみません、金利ってなんですか?』(サンマーク出版)、『あんな経費まで! 領収書のズルい落とし方がわかる本』(宝島社)などがある。
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(フリーライター 小林 義崇)