インドで10代少女のレイプ殺人 暴徒が無実の男性殺害、警察は容疑者を射殺

(CNN)インド東部で起きた少女のレイプ殺人事件をきっかけに、混乱が広がっている。暴徒が無実の男性を殺害したり、警察が身柄を拘束した主要容疑者を射殺したりする事態に発展した。
一連の凄惨(せいさん)な出来事は、性暴力だけでなく、加害者の裁きを巡るインドの問題も浮き彫りにした。
地元メディアの報道によると、西ベンガル州バルイプールで5日、少女の遺体が池から引き揚げられた。報道によると、年齢は11歳か12歳とみられている。
家族は前日、少女の行方不明届を出していたという。インドメディアは当局の話をもとに、少女はレイプされたと広く報じている。
SNSでは遺体収容の様子を捉えた映像が拡散。州内の広い範囲で怒りを呼び、政治的な責任のなすりつけ合いになった。
その後、怒った群衆が街頭に繰り出し、店舗や鉄道の線路を破壊する事態に。当局によると、群衆は加害者と信じ込んだ男性を殴打して死亡させた。
西ベンガル州のアディカリ州首相は後日、記者団に対し、男性は無実だったと説明した。
アディカリ氏は「彼にも正義がもたらされるだろう」とコメント。「警察車両の破損や線路の破壊に関与した約200人の身元が特定された」と明らかにした。
CNNはバルイプール警察に問い合わせたものの、電話に出た人物はこの件について何も知らないと語った。CNNは事件が発生した地区を管轄する西ベンガル州警察の幹部にも連絡を取ったが、回答は得られなかった。
アディカリ氏は記者団に対し、少女の家族に正義をもたらすため、「政府と警察はあらゆる手を尽くしている」と語った。
当局によると、少女の死に関連してこれまでに数人が逮捕されたという。
国営放送局ニュースオンエアによると、逮捕された第1容疑者の男は8日早朝、警察に勾留中に起きた銃撃戦で死亡した。
捜査の一環で犯行現場の再現が行われていた時、男は警官から銃を奪い、1発発砲した後、逃走を図った。男は続けて発生した銃撃戦で重傷を負い、後に死亡が確認されたという。
インドのレイプ危機インドは長年、多発する女性への暴力に苦慮してきた。世界的な注目を集めたレイプ事件も多い。
2012年12月には、当時23歳の医学生が集団レイプの末に殺害される事件が発生。国内に衝撃が走り、正義の実現や変革を求めて数千人が街頭へ繰り出した。
女性の死に関与した5人に有罪判決が言い渡され、「ニルバヤ」(被害者の女性はそう呼ばれるようになった)への正義は最終的に実現した。事件を受け、インドは性暴力関係の法律を強化する対応を取った。
こうした変化にもかかわらず、インドでは今もレイプが多発しており、被害者や支援者からは、政府が女性の保護や加害者の処罰に十分な措置を講じていないとの声が上がる。
政府の最新の犯罪統計では、24年にインドで記録されたレイプ事件は計2万9536件。ただ活動家は、襲撃の数は実態より大幅に少なく報告されていると指摘する。
活動家はかねて、問題の根底には対策がより難しい根深い構造的問題があると指摘してきた。
インド社会には家父長制が根強く残る。違法になっているとはいえ、結婚時の持参金の要求や受領は今も一般的だ。一部の家庭では男の子を好む傾向が強く、それが女児の中絶や遺棄につながっている。
世界経済フォーラム(WEF)の25年版「ジェンダー・ギャップ報告書」によると、インドは女性に提供される機会の多さのランキングで148カ国中131位。
注目を集める容疑者がインド警察の手で死亡するケースは、特に僻地(へきち)や農村部では珍しくなく、以前にも国民から、実効性や透明性ある司法制度の欠如に怒りの声が上がってきた。
約2年前には、西ベンガル州の州都コルカタで研修医がレイプされ、殺害される事件が発生。この時も広い範囲でデモや怒りの声が巻き起こった。
西ベンガル州では、モディ首相率いる国政与党「インド人民党(BJP)」が5月の州選挙で「全インド草の根会議派」の15年続く支配に終止符を打ち、地方行政の主導権を握ったばかりだ。
今回の少女殺害をきっかけに、両党の間で激しい政治的対立が起きている。全インド草の根会議派は、BJPが州内の女性や少女を保護する十分な措置を講じていないと非難。一方、BJP率いる西ベンガル州政府はこうした非難を否定した。
