D2Cの卸売への転換についてGlossyが独自に行った調査では、卸売がブランドにとって大きな成長要因であることを確認している。2022年11月のGlossyによる調査への回答者は、過去1年間で、卸売経由の売上が他のどのチャネルを通じた売上よりも増加したと述べている。62%の人が、このチャネルの売上が少なくとも多少上がったと回答した。それに対して、同じ期間に直販の売上が増加したと答えたのは53%だった。また、そのうちの80%のブランドが、その後の1年間に卸売ビジネスが成長することを期待していると述べている。レヴィ氏が一緒に仕事をしているブランドは、卸売りでクリエイティブ面の制御ができない点を回避する方法をいくつか見出しているという。たとえば、商品のパッケージやラベルに、ブランドのアイデンティティとメッセージをできるだけたくさん詰め込むという方法もある。フルストライド・ベンチャーのブランドのひとつ、カインドリーの場合は、最大の卸売パートナーであるウォルマートでほかのアンダーウェアブランドと差別化を図るために、製品をブランド名の入ったハンガーにかけて販売している。ブランドがこの問題を回避する別の方法は、卸売戦略を大規模な総合小売店にフォーカスするのではなく、特定の分野に特化した小規模な専門小売店に注力することだ。たとえば、D2Cを中心とするデニムブランド、ジャスト・ブラック・デニム(Just Black Denim)は、ニューヨーク州北部のマリア・ルイザ(Maria Luisa)やミズーリ州スプリングフィールドのキャロル&ケイ(Carol & Kay)など、1700店以上の独立系ブティックで取り扱われている。だが、大手デパートには入っていないと、同ブランドの担当者は言う。「消費者に信用され、愛されている近所の店に商品が置かれることで、ブランドは新たな小売との関係性を築いて消費者の信頼性を高め、足跡を広げることができる」と、卸売マーケットプレイスのフェア(Faire)のCFO、ローレン・クックス・レヴィタン氏は述べている。「人々に愛されているブティックの棚スペースは、そのコミュニティの本来のインフルエンサーであり、トレンドセッターだ。特にD2Cマーケティングがますます高価になり、競争的で信頼できないものになりつつある中で、そうした店の棚はD2Cビジネスを促進させるすばらしい役割を果たす」。
ネックとなるのは最低発注量の規模
また、ほかのかつてのD2Cブランドも大型店のパートナーに加えて、専門小売店に目を向けている。自身の名を冠したブランド、タクーン(Thakoon)のデザイナー、タクーン・パニクガル氏は、昨年、「いまはD2Cだからといって、小売の他の部分に関与できないということにはならない」と述べている。「私たちは(2022年に)ノードストロムの旧友たちと販売を開始し、いくつか国内の専門店にも関心を寄せている」。当然ながら卸売のもうひとつの大きな欠点は、在庫規模という回避策が少ないことにある。小売業者は、D2Cブランドには達成が難しい最低発注量を設定していることが多い。「大量の製品を作らなければならないことが多く、若い企業にとってはそれがリスクとなる」とレヴィ氏は言う。「100点の小ロットを作っていたのが、大型小売店から数千個作るように言われる方向へと移行するのは、大きな挑戦だ」。[原文:Fashion Briefing: DTC brands are going wholesale, but not without challenges]DANNY PARISI(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)