兄に比べてダンディな雰囲気の秀介氏。本誌記者がスマホでアグネスからのコメントを見せると……

 千葉県の郊外にある、住宅地の一角。自宅の庭に置かれたベンチで一服する男性は、菅義偉首相(71)の実弟で、会社役員の菅秀介氏(69)だ。本誌記者は、“菅一族” について確認したいことがあった。

――息子さんたちが、子役をされていましたよね?

「はい。だいぶ昔ですよ」

――以前、有名なCMにも出られていたと聞きました。

「あー。懐かしいですね……」

 そう答えると、秀介氏は当時を思い出したのか、感慨深げに笑ったように見えた。

 1948年生まれの菅首相とは、3学年違いの秀介氏。ともに秋田から上京したが、兄の目指した「政界」とは、まったく別の道を、弟は歩んできた。

「首相が国政に打って出た選挙のころから手伝いには来ていましたが、秀介氏の家族のことを、詳しく聞いたことはなかったですね」(横浜の菅首相の後援会関係者)

 その秀介氏の「息子」について、ある政界関係者が明かす。

「15年ほど前、子役俳優で『菅』姓を名乗る3兄弟がいて、3人とも映画、ドラマ、CMで活躍していました。ほとんど知られていませんが、じつは、その子役たちが秀介氏の子息。つまり、菅首相の甥っ子なんですよ」

 3兄弟のいちばん上が、菅大輝君(26)。大輝君は、北野武監督映画『Dolls』やドラマなどに出演したほか、2004年から放送されていた『ほんとにあった怖い話』(フジテレビ系)のレギュラーを務めた。子役たちからなる「ほん怖クラブ」の一員として、稲垣吾郎(46)と共演していた。

アグネス・チャンと共演する菅首相の甥・光輝君。2005年から放送されていた(株式会社タオのパソコン教材「天神」のCMより)

 2番めの菅光輝君(24)は、数多くのCMに出演。なかでも、アグネス・チャン(65)と共演した株式会社タオのパソコン教材「天神」のCMは、2005年からアニメ『クレヨンしんちゃん』(テレビ朝日系)の時間帯に放送されており、覚えている人も多いはず。

 いちばん下の子も、ドラマで木村佳乃(44)の息子役を演じており、彼ら3兄弟が共演したCMも多かった。菅3兄弟の当時の所属事務所「ファイブ☆エイト」の関係者が、取材に答えてくれた。

「菅総理の甥っ子さんだったというのは、今日初めて耳にしました。ただ、『ご両親の身内に議員の方がいて、手伝いをしているから忙しい』という話は聞いたことがあります。

 大輝君が高校受験のとき、『勉強に専念する』ということで3兄弟全員が退所しましたが、うちの事務所では、かなり期待された存在でしたよ」

 役者としての実力も、文句なしだったという。

「3人ともオーディションを経て所属したのですが、即決でした。大輝君は、しっかりと挨拶ができる子。光輝君はやんちゃなイメージでしたが、アグネスさんとのCMはかなり長く放送され、制作会社からも好評でした。

 大輝君・光輝君は、今はもう社会人として働いていて、3番めの子は大学生だと聞いています」(同前)

 光輝君と「天神」のCMで共演していたアグネス・チャンにも話を聞いた。

「とっても、かわいいお子さんでした。礼儀正しく、演技も自然で、撮影は楽しくスムーズ。多くの方は、光輝さんが本当に私の子供と思ったほど、息ぴったりの共演でした。CMは大人気で、当時は子供たちから、たくさん声をかけられました。

『天神だからできたこと』というCMのフレーズを、まねすることが一時、流行りました。光輝さんはお元気ですか? たしか、私の三男と1歳違いかと思います」

菅首相は、弟・秀介氏の借金苦にも “共助” をせず……

 本記事の冒頭の取材の際、秀介氏に記者がスマホの画面でアグネスからのコメントを見せると、「これは嬉しいです。覚えていてくださるんですね」と、笑顔を浮かべた。

 自身の仕事について、「今は自宅で家事をやったり、友人の仕事の手伝いをしたりですね」と話す秀介氏。いったん就職したあとに法政大学に通って卒業した兄に対して、秀介氏は現役で慶應義塾大学商学部に合格した。

「その後、秀介氏は自分で製菓会社を起ち上げたが、2002年に資金繰りが悪化したのか、会社を畳んだ」(経済誌記者)

 当時、秀介氏は多額の借金を抱えていたという。取引先の関係者が語る。

「自宅を売却するなどして、なんとか返済資金に充てたようです。当時のことを秀介氏にたずねると、『親族から協力を得られなかった。清算をすすめられた』と話していました」

 2002年、菅首相は当選2回めの衆議院議員。自宅のローン7000万円を3年で完済する財力があったものの、弟への “共助” は、なかったようだ。

「その後、実業家としては表に出ていなかった秀介氏だが、2017年4月に突然、兵庫県で自動車販売を中心に事業をおこなっている『株式会社ジーライオン』の取締役に就任した」(前出・経済誌記者)

 同社は、75社で構成される企業グループの中核だ。秀介氏は、グループ企業5社以上で代表取締役などに名を連ねる。兵庫県の政界関係者が、ジーライオン・田畑利彦代表(54)と菅首相の繋がりを話す。

「2018年に開かれた田畑代表の息子さんの結婚披露宴に、官房長官だった菅さんが来て、びっくりしました。地元の政治家やメガバンクの幹部がいる前で、安倍政権の実力者になっていた菅さんが挨拶をすれば、『ジーライオン』の大きなアピールになりますよね」

 こうした菅兄弟との関係について、田畑代表を直撃した。

――菅首相の弟・秀介氏が取締役になった経緯を聞きたい。

「首相と近いみたいに思われるのも嫌なので、言うておきますけど、政治家とか関係なく、ビジネス上の知人の紹介です。(秀介氏は)常勤の取締役で、うちの東京の店に毎日出勤してもらっています。

(詳しく答えられず)申し訳ないですが、秀介さんは『私は兄と関係なしで、すべて生きている』と言っておられますよ」

――しかし、あなたの息子さんの披露宴に、菅首相も出席していた。

「選挙で、菅さんが公明党(の候補者)の応援に入られたとき、神戸のホテルでご挨拶させてもらったぐらいで、本当に(首相との特別な関係は)ないんです。息子のことですし、披露宴については、あとはノーコメントでお願いします」

“しゃべり下手” といわれる首相の甥っ子が人気子役だったとは驚きだが、菅首相が実弟にも「自助」を貫かせたとすれば、国民にも本気で「自助」を迫ってきそうだ。

(週刊FLASH 2020年10月20日号)