企業の先進事業「フルサポート」する福岡市の悩み
チャレンジの場
「一気通貫でチャレンジのフィールドを提供できるのが強みだ」。福岡市の高島宗一郎市長は10月に開いた採択プロジェクト授賞式で強調した。言葉の裏には、政令市の権限と国家戦略特区制度の「グローバル創業雇用創出特区」を活用した実証環境がある。
事業化につなぐ
「アグリテック」で採択されたルートレック・ネットワークス(川崎市麻生区)は、福岡市のイベントに参加したことをきっかけに事業を知った。担当者は「地域の試験場など自社でのアプローチが難しい場所とも一緒に取り組めたら」と期待する。
スマートロックを開発するtsumug(福岡市中央区)は今回が2度目の採択。牧田恵里最高経営責任者(CEO)は「(実証にとどめない)福岡市のサービス化への思いが強い」と語る。
実証を経て事業化に至った案件の一つがotta(同区)によるビーコン(小型発信器)を活用した子ども向け見守りサービスだ。九州電力など大手電力会社と提携しているほか、10月には福岡市の小学生に専用端末の配布を始めた。LINEは18年度にキャッシュレスをテーマに実証。4月に市の施設でのLINE Payによる2次元コード「QRコード」決済サービスを開始している。
行政の限界も
実用化事例が出てくる一方、課題となるのが実証後のサポートだ。福岡市の担当者は「本格サービスに至る上で役所としてどこまでフォローできるか」と話す。実証後の後追いには行政としての限界もある。市は約10件のサービス化を把握しているが、全て網羅するのは難しい。
実証から企業進出や雇用創出など副次的な効果も生じている。行政と民間企業との連携で今後どのような相乗効果を生み出すのか。「フルサポート」を掲げる取り組みの次のステップが問われる。
