苦戦する米国、ダイキンは中規模ビル開拓に舵を切る
「勝負がついてしまっている」。ダイキン工業の十河政則社長は、高層ビルなどの大型施設に使われるセントラル空調の米国市場における苦戦を認める。セントラル空調は熱源とダクトを使い、施設全体を暖めたり冷やしたりする。米国はこのセントラル空調が主流。
そこで、「中規模施設を主戦場とする」(十河社長)方針を決めた。こうした施設は保守サービスの整備が進んでおらず、同社に商機がある。ただ中規模施設の保守は、価格が安くないと受け入れられない。薄利多売の商売に陥る懸念がある。
カギを握るのはIoT(モノのインターネット)技術だ。空調にセンサーを取り付け遠隔監視すれば、点検人員を少なくできて保守費用を下げられる。こうした空調システムの開発を急ぎ、2018年内にも発売する。保守サービス会社のM&A(合併買収)も検討する。ダイキンはM&Aを含め、米国に5000億円近く投じてきたが、シェアは4位にとどまる。先行投資が続きそうだ。
同社は中国や東南アジアの保守サービス網を充実し、高級ブランドの地位を得た。これらの地域は、省エネルギー性能の高いインバーターエアコンの販売も他社に先行する。
そんな戦略巧者も空調発祥の地、米国では有効な一手を見いだせない。例えば、セントラル空調が根付く米国の住宅用に、同社はダクトの施工が必要ない日本式のインバーターエアコンを拡販している。「米国の空調文化を変える」(十河社長)という旗印の下、販売は年率1割以上伸長。とはいえ、普及率は1割と志は道半ばだ。
そんな中、三菱電機はダクトレス空調の販売を伸ばすため、米社と販売の合弁会社を5月に設立。ダイキンがセントラル空調を攻めあぐねている傍ら、三菱電機からダクトレスの攻勢を受けた。
