北陸新幹線「親不知」、もう一つの開通
日本海の荒波が寄せる狭い岸を駆け抜けるのはまさに命がけ。壇ノ浦の合戦後に平清盛の弟、頼盛の妻が越後に逃れた夫を追い、ここで愛児を波にさらわれたとの伝承がある。彼女が嘆き詠んだという歌も残る。「親知らず 子はこの浦の波枕 越路の磯の泡と消え行く」。
今月、残された親不知の“不通”がひとつ解消した。新親不知トンネル内の富山側で携帯電話が通じるようになったのだ。内部に複数のアンテナを張る工事を実施。来年度中に新潟側も開通するという。
古来、往来を阻み、人々を波の泡に変えた冷厳な姿をあらためて思い起こしてみる。それを乗り越えていく技術の力の凄味とありがたみが、より強く感じられた。
