囲み取材に応じる林奏延・衛生福利部長

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(台北 3日 中央社)台湾の民進党・蔡英文政権は沖ノ鳥(日本名:沖ノ鳥島)周辺海域での漁業権と引き換えに、福島など5県産食品の輸入を再開するのではないか――。こうした疑念の声が一部メディアや野党・国民党の立法委員(国会議員)などから出ている。これに対し、林奏延・衛生福利部長(衛生相)は3日、「現時点でそうした計画はない」と否定した。

台湾は2011年の東京電力福島第1原発事故後、国民党の馬英九前政権が福島など5県で生産、製造された食品の輸入を禁止。昨年からは残り42都道府県の全食品に対して産地証明、一部に放射性物質検査証明書の添付を義務付けている。

一方、対日関係を重視する現政権が今年5月の発足以来、輸入解禁に踏み切るとの噂が度々出ており、そのたびに関係当局が否定するコメントを出している。

沖ノ鳥をめぐっては、4月に台湾漁船が沖ノ鳥近海で日本の海上保安庁に拿捕(だほ)されたのをきっかけに、馬前政権が島ではなく「岩」であるため、日本側の排他的経済水域(EEZ)設定は認められないと主張。巡視船を派遣するなど強い姿勢を示した。

だが、蔡政権は日本との対話を選び、海洋問題を協議する「台日海洋協力対話」を日本と設置。先月末に開かれた初会合で、沖ノ鳥の漁業権について台湾は日本がEEZとする海域内での操業を認めるよう求めたが、日本側も譲らず解決には至らなかった。

(張茗喧、楊淑閔/編集:杉野浩司)