こりゃ知らなきゃ大損するわ…偏差値はパッとしないが就職&資格取得率抜群"伸びしろ大学"を見抜く公開情報

■偏差値以外で大学の価値を見極めるには
知名度が低くても、入学時の偏差値が高くなくても、きめ細かい指導や支援で学生を成長させる。本書『崖っぷちの私立大学 偏差値で測れない価値をどう見抜くか』では、これまでそうした特徴を持つ大学のリアルな様子を紹介してきた。
ただ、これらの大学は、立地している地域を離れると情報が十分に伝わらず、見つけることがなかなか難しい。
ただ、本書をここまで読んできた読者の中には、偏差値以外の方法で大学の価値を見極める方法を知りたいと考える方もいるはずだ。そんな方が「掘り出しもの」の大学を見つける際に活用できそうなツールをいくつか紹介したい。
学生の生の声を知る
文科省は2025年度、初めて全国学生調査を実施した。各大学の2年生と最終学年である主に4年生が回答。26年秋ごろに、最初の結果が発表される予定となっている。
24年度に実施した第4回試行調査では、肯定的な回答割合が高かった学部や学科を、質問項目ごとに大まかな学問分野別に上位15〜20校程度を順番に並べた「ポジティブリスト」が発表された。
「大学で受けた授業は理解がしやすいように教え方が工夫されていた」「大学の学びによって成長を実感している」「大学教育を通じて人に分かりやすく話す力が身に付いた」といった項目ごとに、学生の評価が高かった大学・学部(学科)の名前と点数、回答数が、ランキング形式で示されている。
25年度の調査では、多くの大学が「大学の学部ごとに全ての質問項目の回答結果」が公表されることに同意した。文科省は26年秋の具体的な公表方法を夏ごろに議論して決める予定だが、一つひとつの大学の学部の回答結果一覧とともに、ポジティブリストも公表したい考えだ。
調査は26年度以降も毎年実施される予定だ。各大学がどのような授業や課外活動に力を入れ、それらが学生にどのように評価されているのか。数値が毎年どのように変化するのか。回数を重ねて公表方法が確立されていけば、各大学の教育の実態を知る有効なツールの一つになるだろう。
■ランキングでわかる大学のさまざまな価値
面倒見が良い大学を知る
本書で前述した評価が高い大学を紹介した「面倒見が良い大学ランキング」は、教育情報通信社「大学通信」が2005年から毎年発表している。各大学がどのように学生の教育や成長に力を入れているのかを知る際に参考となる。
特徴は、大学への調査ではなく、全国の高校の進路指導担当教員へのアンケートの結果(25年版は751人が回答)をもとに作っている点だ。各項目について5大学を選び、1番評価する大学を5ポイント、2番目を4ポイントと点数化していき、ランキングを作成している。
卒業後も学生とやりとりをする高校教員は多く、「送り出した生徒が大学で成長しているか」という視点で選ぶケースが多い。「面倒見が良い大学」以外にも、「就職に力を入れている大学」や「グローバル教育に力を入れている大学」、「小規模だが評価できる大学」などのランキングもある。

「大学ランキング」を知る
朝日新聞出版が毎年4月に発行している『大学ランキング』も参考になる。1994年から、独自の観点でさまざまな指標ごとのランキングを紹介している。
例えば、共学で女子学生の比率が高い大学を学部ごとにランキングにしたり、大学ごとに学部を4年(医学部などは6年)で卒業する割合(標準修業年限卒業率)や退学率などのデータを一覧化したりしている。保育士の採用人数や就職率、理学療法士の国家試験に合格した人の人数や合格率など就職にまつわるランキングは、入学時点で卒業後の進路をある程度決めている受験生にとっては、進学先選びに役立つだろう。
また、主な文学賞を獲得した作家や、主な賞レースの決勝に出場したお笑い芸人、競技ごとのスポーツ選手などの出身者が多い大学を知ることもできる。もし、キャンパスの様子を確認したければ、校地面積や校舎面積の広さや、「テレビドラマ・映画のロケ地」として協力した件数などのランキングも参考になりそうだ。
中でも、ライバルである全国の大学の学長による評価の高さを示したランキングは必見だ。「教育面で注目」「研究面で注目」などとともに、「注目する学長」のランキングもある。5年連続でその1位に選ばれているのが、本書にも登場してもらった共愛学園前橋国際大学の大森昭生学長だ。
各ランキングで上位になったことを、公式ホームページのトップ画面で大きくアピールする大学も多い。
■わかりやすい大学の個性や国の評価
大学の個性を知る
「大学ポートレート」も活用できる。他大学との比較はしにくいものの、個々の大学の特徴を把握することはできる。1000以上の大学、短大に関して、「入試」「進路」「キャンパス」「学部・研究科等の特色」「教育課程(カリキュラム)」「学費・奨学金等」といった情報が載っている。
多くの地方大学や小規模大学が加盟する日本私立大学協会の機関紙「教育学術新聞」は2009年から加盟大学(2026年4月1日現在で417校)の特色ある取り組みなどを紹介する特集企画「キャンパス万華鏡〜写真が語る大学の横顔〜」を掲載してきた。
「地域連携」「産学連携」「研究」「国際交流」「環境」「スポーツ」などのジャンルで、各大学の個性的なイベントや教育・研究の成果などをコンパクトに伝えている。専用のウェブサイトでは、「大学発商品編」や「学園草創期編」などの特集ページもある。
国の評価を知る
大学を設置する際の規制緩和が進んだことを受け、文科省は2004年度、各大学が少なくとも7年に一度、必ず教育の質などのチェックを受ける認証評価制度を始めた。
メーンの機関別評価では、国が認証した機関が、教育の質や財務状況、定員充足率などを評価。それぞれの機関が定めた基準に各大学が「適合」しているか、「不適合」か、を判断して発表している。

機関別評価は大学基準協会や日本高等教育評価機構など5機関が実施し、それぞれが自らのサイトで評価結果を公表している。文科省のサイトで全ての機関の結果を確認することもできる。
内容が専門的で、公表資料の分量も膨大なため、大学関係者以外に知名度が低い。だが、家族などが進学を希望している大学の現状について詳細を知りたい場合には、欲しい情報を得ることができる可能性がある。
また、認証評価を受けるために、各大学は自己点検した評価の報告書をまとめている。各大学のHPで公表されているこの報告書は、各大学のほぼ全ての取り組みが網羅されている。認証結果と合わせて読むと、より理解が深まる。
■2030年度開始予定の大学評価制度
中教審は現在、大学評価制度の抜本的な見直しに向けた議論を続けている。
大学全体としての質保証の確認、評価を簡素化したうえで継続する。さらに各大学の学部ごとに学生の成長や教育成果に重点を置いて評価し、最高ランクの「3つ星」から「要是正」までの4段階で結果を示す方向で進んでいる。
新しい制度での評価を始める目標に設定されているのは2030年度。受験生や保護者をはじめ、大学関係者以外にも他と比較しやすい形で公表されるようになれば、進学先や連携先の大学を選ぶ際の有効なツールとなるだろう。
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朝日新聞「ひらく 日本の大学」取材班(あさひしんぶん「ひらく にほんのだいがく」しゅざいはん)
増谷 文生(ますたに・ふみお)1971年栃木県出身。1994年入社。2005年から東京社会部で教育、主に大学関連の取材を担当。仙台、京都両総局でのデスク業務などを挟み、17年から再び社会部で教育を取材。20年から論説委員と編集委員を兼務。26年4月から教育シニアエディター。/前田 伸也(まえだ・しんや)1972年鹿児島県出身。1997年入社。2025年から東京社会部で教育、主に大学や高専、通信制高校の取材を担当。朝日新聞出版に出向していた2018年、大学取材に参加して教育への関心を高める。その後の福岡勤務で九州の教育取材を担った。/島崎 周(しまざき・あまね)1991年東京都出身。2014年入社。大津総局、鹿児島総局、西部報道センターを経て、22年から東京社会部。児童虐待や性教育の現状を継続的に取材し、24年から26年3月まで文部科学省担当。大学行政を取材する中で、特に地方大学に目を向ける。
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(朝日新聞「ひらく 日本の大学」取材班)
