プレリュードってハイブリッドじゃん……とかいうけどF1だってハイブリッドだぜ? 乗ればわかるプレリュードの「新時代のスポーツモデル」の楽しさとは

この記事をまとめると
■ホンダがスポーツカーとしてプレリュードを発売した
■新型プレリュードは2リッター直4にハイブリッドとCVTを組み合わせている
■モータースポーツでもパワーユニットの電動化・ハイブリッド化が進んでいる
ハイブリッドカーでスポーツを謳うのは無理なのか?
2025年9月5日まで、ホンダは以前まであったNSX、S2000、S660といったスポーツカーをもっていなかった。が、2025年9月5日、懐かしくも新しい、スポーツクーペの新型プレリュードを発売。「ついにホンダがスポーツカーを出してくれた!」という喜びの声が上がる一方、世間では「新型プレリュード、ハイブリッドのスポーツカーかよ!」という声もちらほら。つまり、せっかくスポーツカーを出すなら、新型プレリュードのプラットフォームのベースであるシビックタイプRのような「純ガソリン車、そしてMTの用意もあって欲しかった……」ということかも知れない。

これまで、スポーツカーにハイブリッドの採用例が少なかったのは(ホンダでは3モーターハイブリッドシステムの「SPORT HYBRID SH-AWD」を採用した2代目NSXがあったが)、まずは重量増にある。スポーツカーは軽量化もひとつの重要な要素であり、エンジンにハイブリッドシステムを加えることでの重量増は避けられない。
そしてもうひとつ、スポーツカーのハイブリッド化の障害となるのが、MTとの組み合わせだ。多くのハイブリッドカーは変速機にCVTやATを採用し、そのパッケージをスポーツカーと共用する場合、MTの設定は困難になる。とくにNSXのようなスーパースポーツカークラスではなく、たとえばS2000クラスのスポーツカーだと、ハイブリッド化による重量増はどうしても避けたくなるというものだ。加えて、電動化によるコスト増も避けてはとおれない道である。結果、価格に反映されるのだ。

もちろん、純ガソリン車ならではのスポーティなエンジンフィール、MTによる運転操作の古くからあるスポーツカー像を捨てきれない……という乗り手側の強い想いも、ハイブリッドスポーツカーの出現を阻害してきた一因といっていい。
実際、ハイパフォーマンススポーツカー市場には、ガソリン車よりパフォーマンスが高い、排ガス規制をクリアする目的もあるモデルもあるのだが、いまのところ、支持されにくい……という自動車メーカー側の課題(出しにくい)もあったりするのである。

支持されにくい要因のひとつが、ハイブリッド化によるエンジンのダウンサイジングだ。V6、V8、大排気量のスポーツカーを愛していたスポーツカーファンにとっては、駆動モーターが付いていても、「そりゃないだろ」と感じがちだ。
ただし、2025-2026日本カー・オブ・ザ・イヤーでテクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤーに輝いたポルシェ911初のハイブリッドモデル、911 GTSのように、エンジンのダウンサイジングなしに、「運動エネルギーだけでなく熱エネルギーまで回生する、モータースポーツ由来の先進技術を搭載し、電動化=エコという既成概念にとらわれない、T-Hybridというハイブリッド技術の新たな方向性を示すとともに、スポーツカーとしての走りの魅力を一切損なうことなく環境性能を高めたポルシェの技術力が高く評価された」(日本カー・オブ・ザ・イヤーより)という、自動車専門家、スポーツカーファン、ポルシェファンからも高い支持を得ているスポーツカーも存在する。

また、レクサスブランドでは、LFAの後継車と目される、V8ツインターボエンジンによる電動パワートレインが採用されるハイブリッドスポーツカー「LFR」の登場が噂されている(HVではなくPHEVか? 東京オートサロン2026で公開されるかも)。
未来のスポーツカーでは電動車が当たり前になる
つまり、やりようによっては、電動パワーユニットをもつスポーツカーはこれからの時代、サスティナブルなスポーツカーとして成立していくことは間違いない。その一方で、純ガソリン車、MTのスポーツカーも生き残る可能性は十分にある……というのが、世界的な自動車専門家の見方でもある。

さて、「新型プレリュード、ハイブリッドのスポーツカーかよ!」という一部の否定的な意見についてだが、実際、袖ヶ浦フォレストレースウェイ、山道で走らせた経験でいえば、シビックタイプR譲りのシャシー、専用チューニングサスペンション、ブレンボ製フロント大径ベンチレーテッド2ピースディスクブレーキ、シビックe:HEVモデルでも十分にスポーティに感じられた専用チューニングのSPORTS e:HEV、2リッター直4直噴エンジン141馬力、18.6kg-m、モーター184馬力、32.1kg-m+CVTのパワーユニットによる基本的なパフォーマンス、COMFORT/GT/SPORTモード+Honda S+ Shiftによる新感覚のドライブフィールとサウンド(エンジン生音主体で合成音をプラス)による走りは、山道の登坂でさえ十分な動力性能をもつのは当然として、とにかく痛快・快感・気もちいいのひとこと。

しかも、路面にピタリと張り付くコーナリング、段差やうねりを一発で抑えるダンピング、そしてツアラーとしても適する乗り心地のよさ、ロングドライブでも疲れにくい快適度など、日常からホットな走りにまで応えてくれる懐の広さのあるスポーツクーペに仕上がっていると思える。
納得するしないは人それぞれだが、むしろハイブリッドだから、電動車だからできる高度な制御に新時代のスポーツカーの在り方を感じる人もいるのではないだろうか。もっとも、ハイブリッド化が600万円オーバーの価格になった原因のひとつであるのも事実だが……。

いま、新型プレリュードのハイブリッドスポーツカーに納得できない人も、3年後、5年後にどう感じるかは分からない、時代はどんどん突き進んでいくのだから。もちろん、純ガソリンエンジン、ハイブリッドのスポーカーのどちらを選ぶかは、各人の自由だ。
最後に、「F1で2014年から2025年まで使用されてきた1.6リッターV6ターボ・ハイブリッドPUは、ICE(内燃機関)と電気モーター(MGU-K/運動エネルギー回生システム)の出力比率が8:2。しかし、F1新時代の2026年は、PU(パワーユニット)全体のパフォーマンスを維持しつつ、持続可能性の向上を図るべく、ICE出力が550kWから350kWに減少。一方で、電気モーター出力が120kWから350kWへと約3倍に増加。ICEと電気モーターの出力比率が5:5に変更される」(鈴鹿サーキットHPより抜粋)というのだから、最高峰のモータースポーツでもパワーユニットの電動化、ハイブリッド化は間違いなく前に進んでいるのである。





