おなかにいいはずの納豆はNGだった!? 過敏性腸症候群を改善する食事法とは
「おなかを下しやすいのに、便秘で苦しむ日もある」
「仕事中もおなかが張って、作業に集中できない」
「トイレに行っても、スッキリしない」
人知れず、そんなおなかの悩みを抱えていませんか?病院に行くほどでもないし……と、放ったらかしているかもしれませんが、もしかしたらそれは“過敏性腸症候群”かもしれません。
おなかの不調を改善するために納豆やヨーグルトなど、いわゆる“おなかにいい”ものを食べてみても、かえってそれが逆効果だったり……。
気になる過敏性腸症候群について、1日200人の胃腸を診る名医・江田 証先生に教えてもらいました!
日本人の10人に1人以上、実に1800万人が悩んでいるといわれる「過敏性腸症候群」。下痢や便秘、おなかの張りなどの不調を改善するための“目からウロコの食事法”を紹介します!
下痢や便秘をくり返す、おなかが張る……
1800万人が悩む過敏性腸症候群とは?
□頻繁に下痢をしたり、便秘をしたりする
□下痢と便秘をくり返す
□吐き気がある
□食欲がない
□おなかがいつも張ったような感じがする
□おならがたくさん出る
□排便しても残便感がある
これらの症状が3つ以上あてはまるという人は、「過敏性腸症候群」の疑いがあります。
日本人は世界的に見ても胃腸の調子が悪い人が多いといわれていますが、そんななかでも近年急増しているのが過敏性腸症候群。上に挙げたおなかの不調があっても、「そのうち治るから」「気のせい」としてそのままにしてしまっている人は多く、また、これらのおなかの不調があって病院で検査をしても異常が見つからず、「様子を見ましょう」で済まされてしまったことがある人もたくさんいるでしょう。そして、自己流で腸によいといわれる食物繊維や発酵食品を積極的に試している人も、かなりの数いることでしょう。

納豆、ヨーグルト、キムチ etc.
“腸によい食事”は過敏性腸症候群を悪化させていた!?
実は、過敏性腸症候群の人にとって、この“腸によい食事”こそがおなかの不調を悪化させてしまっています。
過敏性腸症候群の症状は、ある特定の食品群が原因のひとつであることが近年の研究で明らかになりました。たとえば、食物繊維が豊富なごぼうやにら、発酵食品の納豆、ヨーグルト、キムチなどは、腸に異常がない人にとっては腸を整えるすばらしい食品ですが、過敏性腸症候群の人にとっては、腸の不調をさらに悪化させてしまう食品だったのです。
オーストラリアのモナッシュ大学で発見されたそれらの食品は「高FODMAP(フォドマップ)食品」と呼ばれ、FODMAPを避けた「低FODMAP食事法」は、アメリカのハーバード大学、イエール大学、コロンビア大学、ペンシルバニア大学などでも論文が発表され、いまや欧米の大学病院ではこの食事法が盛んに取り入れられており、“科学的な根拠がはっきりした、もっとも安全かつ有効性の高い食事法”として認識されています。

小腸で吸収されにくい4つの糖質をやめれば
過敏性腸症候群は改善する!
FODMAPとは4つの糖質を表す言葉で、「F=発酵性の」「O=オリゴ糖」「D=二糖類」「M=単糖類」And「P=ポリオール」を指しています。これらの糖質は小腸で吸収されにくく、人によってはこれらの糖質を多く含む食品をとると、冒頭に挙げたおなかの不調が起こるというしくみです。
Oのオリゴ糖はパンや麺などの小麦食品と豆類、Dの二糖類は牛乳やヨーグルトなどの乳製品、Mの単糖類はフルーツやはちみつ、Pのポリオールはガムなどに含まれているキシリトールといった糖質など。過敏性腸症候群の人たちは、これらの吸収されにくい糖質を含む食品がおなかの不調を呼び込んでしまうため、これらの食品を断つことこそが過敏性腸症候群を改善する最善の策といえるのです。

過敏性腸症候群の人が食べてOKな食品とNGな食品
その食べ方を紹介
【過敏性腸症候群の人が食べてOKな食品】
<穀物>
・米、玄米 ・そば(そば粉100%の十割そば) ・もち米、もち ・せんべい(米菓子) など
<野菜、いも、きのこ、豆>
・ブロッコリー ・ピーマン ・にんじん ・じゃがいも ・もやし ・大根 ・たけのこ ・かぼちゃ ・トマト ・なす ・レタス ・キャベツ ・きゅうり ・ほうれん草 ・オクラ ・白菜 ・ショウガ ・豆乳 ・木綿豆腐 など
<フルーツ>
・バナナ ・みかん、オレンジ ・キウイフルーツ ・いちご ・ぶどう ・パイナップル ・ブルーベリー ・レモン ・マスクメロン など
<乳製品>
・バター ・マーガリン(牛乳を含まないもの) ・チェダーチーズ ・ゴーダチーズ ・パルメザンチーズ ・モッツァレラチーズ ・カマンベールチーズ ・ゴルゴンゾーラチーズ など
<肉、魚介、卵、ナッツ、スパイス>
・ベーコン ・ハム ・牛肉 ・鶏肉 ・ラム肉 ・魚介類 ・卵 ・アーモンド(10粒以下) ・くるみ ・ピーナッツ ・栗 ・バジル ・唐辛子 ・カレー粉 ・シナモン など
<飲みもの>
・緑茶 ・紅茶 ・コーヒー(ストレートコーヒー1日1杯まで) ・ココア ・ビール ・ウイスキー ・ジン ・ウォッカ ・日本酒 ・水 など
<調味料、その他>
・マヨネーズ ・オリーブオイル ・メープルシロップ ・しょうゆ ・酢 ・トマトソース ・マスタード ・ウスターソース ・味噌 など

【過敏性腸症候群の人にはNGの食品】
<穀物>
・パン ・うどん ・パスタ ・ラーメン ・ピザやお好み焼きなど小麦使用の食品 ・ケーキなどの焼き菓子全般 など
<野菜、いも、きのこ、豆>
・玉ねぎ ・にんにく ・きのこ類 ・アスパラガス ・スナップえんどう ・カリフラワー ・ごぼう ・セロリ ・さつまいも ・ねぎ ・にら ・大豆、豆類全般 ・納豆 ・絹ごし豆腐 など
<フルーツ>
・りんご ・柿 ・すいか ・桃 ・梨 ・さくらんぼ ・グレープフルーツ ・アボカド ・ドライフルーツ など
<乳製品>
・牛乳 ・ヨーグルト ・クリームチーズ ・カッテージチーズ ・リコッタチーズ ・プロセスチーズ ・ブルーチーズ ・アイスクリーム ・生クリーム など
<肉、魚介、卵、ナッツ、スパイス>
・カシューナッツ ・アーモンド(20粒以上) ・ヘーゼルナッツ ・ピスタチオ など
<飲みもの>
・アップルジュース ・オレンジジュース ・ウーロン茶 ・チャイ ・ハーブティー(強いもの) ・はちみつ入りジュース など
<調味料、その他>
・トマトケチャップ ・はちみつ ・固形スープの素 ・ガム ・キャンディ など
上記は過敏性腸症候群の人が食べてOKの食品とNGの食品のリストです。
まずは、3週間、<過敏性腸症候群の人にはNGの食品>をすべてやめます。すると、おなかのさまざまな不調や不快感が消え、“おなかの声”がよく聞こえるようになります。
次の週からは1週間ごとにひとつの糖質を含むNG食品を食べ、自分のおなかの様子や排便の状態などをうかがいます。そうすることで、自分の腸にはどの食品がOKで、どの食品がNGかがよくわかるようになります。
最終的には自分だけの「OK食品リスト」がつくれるようになることを目指しましょう。
江田 証(えだ あかし)先生
1971年、栃木県生まれ。医学博士。自治医科大学大学院医学研究科修了。江田クリニック院長。日本消化器病学会奨励賞受賞。日本消化器病学会専門医。日本消化器内視鏡学会専門医。日本ヘリコバクター学会認定ピロリ菌感染症認定医。米国消化器病学会国際会員。日本抗加齢医学会専門医。ピロリ菌感染胃粘膜において、胃がん発生に重要な役割を果たしているCDX2遺伝子が発現していることを世界ではじめて米国消化器病学会で発表し、英文誌の巻頭論文として掲載。毎日、国内外からの200人を超える患者の診療、胃カメラ、大腸カメラ検査を行い、原因を突き止めて胃腸の不調をなくしている。愛する故郷の人々をたくさん胃がんで失ったことから医師を志し、2017年現在、一人でも多くの胃腸で悩む日本人を救っていくことをミッションとする。海外でも翻訳された『医者が患者に教えない病気の真実』をはじめ、『病気が長引く人、回復がはやい人』『専門医が教えるおなかの弱い人の胃腸トラブル』(以上、幻冬舎)、『なぜ、胃が健康だと人生はうまくいくのか』(学研パブリッシング)、『長寿は感染する』(光文社)、『なぜ、胃が健康な人は病気にならないのか?』(PHP文庫)、『一流の男だけが持っている「強い胃腸」の作り方』(大和書房)、『パン・豆類・ヨーグルト・りんごを食べてはいけません 世界が認めたおなかの弱い人の食べ方・治し方』(さくら舎)など著書多数。

TJ MOOK『自分で治す過敏性腸症候群の本』
監修:江田 証
編集・文:植松まり
イラスト:石崎伸子
編:FASHION BOX

