デジタル時代になぜ人気?“活版印刷の聖地”を楽しむ
印刷技術の価値は、今や紙に絵や文字を写し出すことにとどまらない。とはいえ、歴史資料のレプリカと一緒にクレジットカードやCD、半導体の基板が並ぶ回廊に不思議そうな顔をする来館者も多いという。「技術の変化や進歩について学ぶため、新入社員研修の一環で印刷会社や新聞社、出版社などの社員も多く訪れる」と宇田川龍馬学芸員は語る。
常設展示の見どころの一つは、重要文化財(重文)の「駿河版銅活字」。徳川家康の命で作られた日本最古の活字版で、当時の資料と一緒に展示している。1文字だけ上下が逆さになった誤植のページが活字の使用を物語る。重文を収蔵している産業博物館は国内でも珍しいという。
展示フロア内にあるガラス張りの工房「印刷の家」では、工房内の見学や簡単な活版印刷体験ができる。宇田川学芸員は「自分で生み出す体験で、文字通り知識を身につけてほしい」と語る。印刷機械に囲まれた空間で一筆箋(いっぴつせん)やコースターに活版印刷を施す作業は、デジタル化が進む現代ではかえって新鮮かもしれない。
【メモ】▽開館時間=10―18時(入場は17時30分まで、月曜日は休館)▽入場料=一般300円、学生200円、中高生100円、小学生以下は無料▽最寄り駅=東京メトロ有楽町線江戸川橋駅、JR総武線飯田橋駅など▽住所・電話番号=東京都文京区水道1の3の3、03・5840・2300
