鉄道設備の安全はICTが支えている
車両床下に設置
JR東日本は7月、営業車の床下に軌道変位と軌道材料の監視機能を搭載する「線路設備モニタリング装置」を本格導入した。京浜東北線で試験導入して以降、約5年かけて試験線区を広げてデータ取得と検証を積んできた。実務の知見を落とし込み、ビッグデータ(大量データ)分析による保線判断支援システムも開発した。
軌道変位モニタリング装置は、鉄道総合技術研究所が20年以上前から「検査の効率化、無人化を念頭に」(鉄道総研の軌道技術研究部)研究を進めた。車両床下に搭載できるコンパクトな装置構成で検測車と同等の精度を実現する測定法「慣性正矢法」を活用してJR東と鉄道総研、日立製作所が共同開発。JR東は2020年度までに、管内50の電化線区で導入する方針だ。
コスト抑制
JR東海は東海道新幹線「軌道状態監視システム」の刷新を計画する。6月から次世代車両「N700S」確認試験車に搭載し、走行試験を始めた。従来は加速度センサーでレールの上下のずれのみを計測してきたが、次期システムではレール間の距離や高低差、左右のずれも計測する。
新幹線は電気軌道総合試験車「ドクターイエロー」が定期的に走行検査する。これを補い営業列車6編成でも軌道状態を計測してきた。金子慎社長は、日々のデータを元にした軌道保守で「さらに乗り心地を向上できる」と狙いを明かす。
JR東海が設計し、組み立ては日立。汎用コンポーネントを組み合わせてコストを抑えたのが特徴だという。2次元レーザー変位計はキーエンス、MEMSジャイロはシリコンセンシングシステムズジャパン(兵庫県尼崎市)、加速度計は日本航空電子工業。根幹となるデータの演算装置はデイシー(東京都青梅市)が開発した。
データ集中管理
軌道変位のモニタリングには、JR東に軌道材料モニタリング装置を供給する川崎重工業も参入をうかがう。すでに複数の鉄道事業者で実証を始めたという。試作装置は検測車ほどの精度はないが、通信機能を搭載してデータを集中管理する。
(文=小林広幸)
