「火が点いたら、大爆発するかも」 門脇 麦×菅田将暉が考える“僕らの世代”
「僕らの世代? 名前を付けるのは早いでしょ。まだ変わりますよ」――。楽しそうに、でもどこか他人事のように菅田将暉はそう語り、隣に座る門脇 麦もうなずく。ゆとり? さとり? 周囲はカテゴライズに夢中だが、当人たちは至って冷静に先を見据えている。だが映画界で、彼らが次代を担う粒ぞろいの世代と目されているのも事実! その中でも人気、実力を兼ね備え、話題作への出演が続くふたりが映画『二重生活』で恋人同士を演じた。彼らだから表現できた空気とは? 同級生のトークをお楽しみください!

撮影/平岩 亨 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.



ベッドシーンすら「作る」必要がなかった自然な現場



――おふたりは映画『闇金ウシジマくん Part2』、ドラマ『民王スペシャル〜新たなる陰謀〜』(テレビ朝日系)など同じ作品には出演されてますが、ガッチリと共演するのは…

門脇 初めてだと思ってたんですけど、『翳りゆく夏』(WOWOW)がありましたね。最近、家で寝る前にふと気づきました。『翳りゆく夏』があるじゃん!って(笑)。



菅田 あ、ホントだ! そっか『翳りゆく夏』のほうが『二重生活』よりも先だったんだ。でも、あのときは大学の先輩と後輩の関係で…
門脇 そこまでガッチリってわけじゃなかったからね。

――『二重生活』は小池真理子さんの小説を原作に、哲学を学ぶ珠(門脇)が、論文のために隣人の石坂(長谷川博己)を尾行するさまを描いたなんとも不思議な作品ですね。菅田さんは、珠と同居する卓也を演じていますが、おふたりのシーンは決して多くないのに、すごく自然でした。あの空気感はどのように作られたのでしょうか?

菅田 「作った」という感じじゃないんです、不思議なんですが。現場では、なんとなくシーンの説明を受けて、あとは普段はあるはずのリハーサルやカメラテストもやらず、すぐに本番で…。どうやってできたんだろう?(笑)特にふたりで話し合うこともなく。



門脇 ゼロからなんとなく作っていった感じだったよね?

――テストやリハーサルをやらないのは、岸 善幸監督がドキュメンタリー出身ということが大きく関係してるんでしょうか?

門脇 岸さんが言ってたのは以前、テストの段階で「これだ!」という芝居をされた役者さんがいたんですが、本番ではそれができず、そのことをいまだに後悔されているそうです。それで、いまのやり方にしたんだと。



菅田 そうなんだ? でも、役者にとってはすごくありがたい!
門脇 ありがたいよね。というかそれ“役者あるある”だよね?(笑)

――あるあるなんですか?

門脇・菅田 あるあるです!(笑)
菅田 一発目って、新鮮でおいしい料理を出せるものなんです。



門脇 演技じゃないところで行けるって感じだよね。

――とはいえ、映画はいきなり珠と卓也のベッドシーンから始まります。そこでも、ちょっとした細かいやり取りが、すごくナチュラルですが、特別な準備や緊張感もあったのでは?

門脇 そこはお互い、これまでの作品の中で、そういうシーンに微妙に慣れてるってのが大きかったよね?(笑)
菅田 それそれ!(笑)すごく大きかったと思います。
門脇 見せちゃいけないところを隠して…とか、そういう技術的な部分も気を配りつつ、スムーズでした。



――珠と卓也は、一緒に住んではいるけど、物語が進む中で微妙に距離感が変化していきます。最初のベッドシーン、最後にふたりがカップラーメンを食べながら会話を交わすシーンで関係性はまったく違うものになっています。

門脇 セリフにすべての感情がきちんと乗せてある感じでした。こちらから何かを付け足すような必要がなかったです。台本を読んで、違和感を乗り越えるような作業が一切なかった。
菅田 互いを想ってはいるけど、付き合い始めたばかりでもなく、それぞれに学校や仕事があって、それが“普通”になってる。いま思うと不思議なくらい、何かを意識するってことがなかったんです。



門脇 ふたりのシーンに限らず、すべてが「あぁ、いそうだな、こういうひとたち」「わかる! わかる!」という連続で。理詰めで説明されなくとも、一緒に住んでるふたりの倦怠期も想像できる。長谷川さんが演じる石坂も実際にいそうだし、なんか尾行されそうな雰囲気だし(笑)。
菅田 あぁ、わかる! 長谷川さん、尾行したら面白そうだもん(笑)。カップラーメン食べるところも台本には「カップラーメンを食べるふたり」くらいの説明があっただけで、ホント、何も考えずに食べながら話してただけだったなぁ…。



――改めて、恋人という関係で共演されてみていかがでしたか?

菅田 圧倒的に安心感があります。それは、完全にリラックスして緊張感がないのとはまた違うんですけど、何をしても受け入れてもらえるって感覚で、すごく楽しくやらせてもらいました。

――最初から距離の近さを感じられた?

菅田 これが「はじめまして」だったら、そこに微妙な距離感は絶対にあるんですよ。互いに探り合うような。それがなかった。これまでの共演もそうだし、共通の俳優の友人が多いことで、なんか勝手にずっと前からよく知ってる友達のような感覚になってたんですよね(笑)。



門脇 私もそれは同じ。“遠い人”という感覚は最初からなかったです。基本的に、私は必要以上に現場で共演する役者さんとの関係性とか、あまり考えないんですよ。でも、実際に考えることを放棄するって怖いことだし勇気がいる。それができる相手ってやっぱりありがたいですね。