高市首相

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全面審議拒否

 与党が野党との合意がないまま法案審議を強行するなどしたため野党は一斉に審議拒否に舵を切り、衆参両院すべての委員会はストップ。国会は10日以上にわたって空転していたが、高市早苗首相が“折れる”形で正常化した。背景には何があったのか。

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 高市首相陣営による中傷動画作成報道などでの国会答弁や国会論戦の回避。さらに、日本維新の会肝いりの法案である「衆院議員定数削減法案」と「副首都構想関連法案」の審議入り強行などに反発した野党側は全面審議拒否のスタンスをとった。

「6月下旬から国会の会期延長が水面下で取りざたされるようになりました。自民党の国対は“書いたら誤報になるかも”といったトーンでメディアをけん制していたのですが、道新(北海道新聞)が延長に言及する記事を最初に出しましたね」

高市首相

 と政治部デスク。6月26日夜に配信された、《国会会期60日延長案浮上 首相が検討打診 衆院再可決念頭に》というタイトルの記事がそれだ。

なんでアカンの

「防災庁」(11月発足目標)設置法案、再審制度を見直す刑事訴訟法改正案は衆院を通過した後に野党が全面審議拒否に転じ、少数与党の参院で採決のメドが立っていなかった。

 今回は2月の衆院選を受けた特別国会なので2回まで延長が可能だ。衆院通過後60日以内に参院で採決されなければ、衆院で3分の2以上の賛成で法案を再可決できる「60日ルール」を行使すべきだとの強硬論が与党内から出ていた。

「高市氏は“なんでアカンの”と周辺につぶやいていたそうです。60日ルールを使えば済むじゃないか、ということですね。これは2026年度予算の年度内成立にこだわっていた時と同じようなつぶやきです。結果として年度内成立を断念することになりましたが。今回、その意をくんだ首相周辺が60日ルールを前提にした動きを検討していたことは間違いありません。衆院は最直近の民意を反映しており、その数の力を頼みとして何が悪いのかというスタンスですね」(同)

 直近の例だと、60日ルールはいわゆる2008年4月の「ガソリン国会」で租税特別措置法改正案(ガソリン税の暫定税率を維持するための法案など)の成立に適用された時にさかのぼる。

高市氏が折れる姿勢

 このルールは国会がどうにもならない硬直状態に陥った時のことを想定してのものというのが一般的な解釈だろう。安易に発動することは参院の否定すにもつながりかねず、政治的なハレーションを生むため、従来、タブーとされている。

「高市氏がインドから帰国して週末に何らかの妥協の動きがあってほしいと自民の国対関係者は願っていたのですが何もなく、なかなか緊迫していました。が、6日の月曜日になってようやく高市氏が折れる姿勢を見せ始めました。維新肝いりの法案のうち衆院議員定数削減法案は今国会での成立が見送られ、継続審議となりました。高市氏が維新の吉村洋文代表に頭を下げて受け入れてもらった格好ですね」(同)

 実は官邸は水面下で野党の強硬姿勢が続いた場合の極秘調査を行っていたとされる。

「その中で“国民は副首都構想関連法案、衆院議員定数削減法案いずれもあまり関心はないが衆院議員定数削減についてはそこまで悪い印象はない”といった結果が出ていたようで、場合によっては高市氏が妥協しないシナリオもあったはずです」(同)

まるで国会のことがわかっていない

 しかし自民党にも参議院議員はいるわけで、彼らにとってこの姿勢が面白いはずもない。高市氏と距離があるとされる自民の石井準一参院幹事長は6日、「ニコニコ生放送」の番組で「野党としっかり向き合うことができれば(高市政権は)長期政権になるのではないか」「相手を説得するのが政治家の大きな使命だ。野党に理解を求めながら協力してもらう流れをつくっていく」などと述べた。

「あきらかに高市氏への当てつけで、高市氏の神経を逆なでする目的での発信と見られています。高市氏は過去に衆院議長、副議長に次ぐポストである議運委員長をやっているのですが“まるで国会のことがわかっていない”“わかっていないなら任せてほしい”との悪評がつきまといますね」(同)

 2度あることは3度ある。「なんでアカンの」シーズン3は秋の臨時国会においてあり得るだろうか。

デイリー新潮編集部