死傷され亡くなったライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・最上あいさん(Xより)。右は高野健一被告の卒アル写真

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 東京都新宿区の路上で2025年3月、ライブ配信をしていた佐藤愛里さん(当時22)を刺殺したとして、殺人罪などで起訴されていた高野健一被告(44)。その裁判員裁判が東京地裁(井戸俊一裁判長)で7月1日より開かれている。

【写真を見る】ピンク色のTシャツを着て体育座りをする学生時代の高野被告ほか

 起訴状によると、犯行は3月11日の朝9時50分ごろ、JR高田馬場駅近くの路上で起きた。「最上あい」という名義でライブ配信中だったため凶行も配信され、大きな衝撃を与えたこの事件。公判では、2人の特殊な関係性や金銭トラブルが明らかにされた--。【全3回の第1回】

 高野被告はスーツを着用し、頭を五厘刈りに丸めて法廷に現れた。肩をすぼめ、顔の汗を何度も拭く姿が印象的で、罪状認否では次のように謝罪した。

「間違いありません、本当に申し訳ありませんでした」

 その後、検察官から事件の経緯が説明された。

 佐藤さんは、スマホの配信アプリで、「最上あい」の名義で活動する配信者だった。高野被告はその視聴者で佐藤さんに好意を寄せ、2021年末から2022年始めにかけて、SNSのDMで連絡をとり、その後LINE交換して直接連絡をとっていたという。

 2022年1月から7月にかけて、高野被告はアプリ内で配信中に購入できるアイテムを合計163万円分購入。法廷では、当時2人がやり取りしていたLINEメッセージの内容が読み上げられた。細部までの再現は難しいが、その要旨は以下のようなものだった。

(1月のやり取り)
高野被告「愛里大好き、ずっと、いっぱい好き」
佐藤さん「え、キモい」

(2月のやり取り)
高野被告「一番大切な人だよ」
佐藤さん「笑った」
高野被告「ウケるな、ガチ恋やぞ」

(3月のやり取り)
高野被告「俺、選ばれんのわかってるもん、オッサンやもん」
佐藤さん「私的に大きな出会いだったけどなぁ」
高野被告「俺のこと?」
佐藤さん「他に誰おるん。私、高野いなかったら配信続けられてないし、本当感謝してるんだ」

(6月のやり取り)
高野被告「俺、愛里しかいない。めっちゃでかい存在」
佐藤さん「私が頂点とれたのもマジラブ(高野被告のこと)のおかげ。迷惑かけるの辛い」
高野被告「全然大したことないよ」

 徐々に距離が縮まる2人。同年8月には、高野被告は佐藤さんが勤務していた山形県のキャバクラに誘われ、初めて対面した。栃木の家から合計4回ほど通い、約77万円を使ったという。

「お金を貸して欲しい」変化していった関係性

 その後、9月ごろからは佐藤さんからお金を貸して欲しいという連絡が複数回あった。当時のLINEの内容の要旨は以下の通り。

(9月8日のやり取り)
佐藤さん「申し訳ないんだけど、日雇い先にサイフ忘れて、ちょい貸して」
高野被告「いくら」
佐藤さん「数万でいい」
高野被告「4万でいいかな?」 

(9月16日のやり取り)
佐藤さん「スマホ代引き落とされて足りなくて草。止まるのキツい」
高野被告「止まるの困る?」
佐藤さん「うんw」
高野「うんw 朝振り込むけど」
佐藤「止まってもいいよ」
高野「いくらか言ってみんさい。俺と愛里の仲やろ。10数万とかやろ。50万まで大丈夫だから」
佐藤「17万4千円」
高野「OKだ」

(10月1日のやり取り)
佐藤さん「私の年齢でもお金借りれるところ探してくれん? 売掛請求された。デリやらされるかも」
高野被告「えっ」
佐藤さん「お姉ちゃんが5店舗売掛してた。統括より上の人が出てきて、山形でその3人敵に回したらヤバいって。50万ならデリですぐだけどね」
高野被告「イヤやろ。愛里の誕生日の分と思ってたけど。36万あれば大丈夫?」
佐藤さん「売掛はね」
高野被告「本当のホント、最後だからね。チューしてくれるなら貸す」
佐藤さん「なにそれ」
高野被告「デリするくらいならワンチャンと」
佐藤さん「特別ね、高野好きだし」
高野被告「本当のキスだからね」

 高野被告は消費者金融からも借りるよう求められ、佐藤さんに合計255万円貸したという。しかし返済を求めるメッセージを送ると返信が滞り、2023年1月に3万円が返されたきり、以降返済はされなかった。

 金銭苦に悩んだ高野被告は、借金を返さないままライブ配信を続ける佐藤さんに恨みを募らせていく--第2回記事で詳報する。

(第2回記事に続く)

取材/普通(裁判ライター)