ヤクルト・池山隆寛監督【写真:加治屋友輝】

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元盗塁王の飯田哲也氏、ヤクルトの躍進は「大きな嬉しい誤算」

 プロ野球のペナントレースは、ほぼ折り返し地点までやってきた。セ・リーグは上位3球団による首位争いが繰り広げられているが、昨年は最下位だったヤクルトの奮闘が光る。盗塁王に輝くなど、スワローズで走攻守3拍子揃った外野手として活躍した野球評論家の飯田哲也氏に古巣の戦いぶりを分析してもらい、後半戦に向けての課題を聞いた。

「本当に不思議。大きな嬉しい誤算ですよ」。OBの飯田氏でさえ後輩たちの躍進に驚いている。村上宗隆内野手がメジャーへと羽ばたき、山田哲人内野手ら故障者も相次いだ。「昨年まで2軍でやっていた選手たちが今、1軍で頑張っているわけで。でも、そのファームでプレーしていた選手が凄い活躍をしていたかというと、そうでもなかった。去年は2軍も最下位だったのに」。1軍同様、イースタン・リーグでもヤクルトは8チーム中8位に沈んだ。

 池山隆寛監督は昨年まで6年間、その2軍を指揮官として率いた。どんな“イケヤマジック”を使ったのだろう。「ベンチで誰よりも池山さんが一番大騒ぎしているじゃないですか。選手たちがやりやすい環境、ムードを作れていますよね。どのチームもそうですけど監督が代わると、雰囲気が変わるものなんですよ」。

 飯田氏は前半戦の立役者に山野太一投手、岩田幸宏外野手を挙げる。「山野は球種が多彩で制球もいい。開幕からポンポンと勝って自信を付けましたね。『こうやれば抑えられるんだ』というコツを掴んだ感じ。今年のスワローズは、ずば抜けて打つ選手が不在でつないでいく形。岩田の足を絡めて得点する攻撃は効果的です」。

 下馬評を覆して快進撃を続けてきた燕軍団も、6月に入ると7連敗を喫するなど勢いがやや止まった。飯田氏は「踏ん張り所」と言葉に力を込める。「経験豊富なレギュラーなら体力があります。だけど、シーズンを通して試合に出続けたことがない選手が、今は出ていますからね。本格的な夏場を迎えて、バテて状態が落ちていくのが心配。踏ん張り所ですよ」と繰り返す。

阪神、巨人とも伸びしろあり…でも池山監督に「プレッシャーは全く無い」

 ヤクルトがV戦線に生き残るために大切になってくるものはなにか。「ピッチャーの使い方でしょうね。先発が長いイニングを投げてくれた方がリリーフに余力が生まれる。シーズン後半戦の勝負所で有利になります。奥川(恭伸)と高橋(奎二)がポイントかな。奥川は貯金を作ってもらわないと物足りない。高橋はもっと1軍で投げてないといけない。早く調子を戻して欲しい。攻撃面では勝つための作戦としてバントが大事になってくると思います。長打がない分、しっかり走者を進めたい」と飯田氏は持論を展開した。

 ライバル球団の動向も気になる。昨年はぶっちぎりでゴールした阪神だが、今季は抜け出せない。「(死球で左手首を骨折して離脱中の)近本(光司外野手)の影響が大きいよね。彼は半分近く塁に出る。そしてサトテル(佐藤輝明内野手)らが返す。そのパターンが今はない。近本が復帰すれば、やはり強いですよ」。

 巨人は指揮官交代があったものの、上位争いに食らい付いている。「救援陣が素晴らしいので7回までリードしていれば、ほぼ勝ちですから。その上で戸郷(翔征投手)が復活してきたのは心強い」と伸びしろありと見る。

 飯田氏はOBであり、野球評論家でもある。ヤクルト優勝の可能性を聞くと「うーん……。して欲しいのは本当にそうなんですよ。『ホップ、ステップ、ジャンプ』って言いますよね。現実を考えると、今年は“ホップ”でいいんじゃないかなぁ」。後輩への重圧を考慮してか、控え目な回答に終始した。

 しかし、こうも続けた。「池山さんはメチャクチャ楽しそうです。1軍監督をやってみたかったらしいんですよね。実際に願いが叶って、いい意味で怖いものなし。『駄目なら俺が辞めりゃいいんだろ』という感じ。だからプレッシャーなんか全く無いんじゃないかな」。飯田氏は無欲での戴冠に期待している。(西村大輔 / Taisuke Nishimura)