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 ◇セ・リーグ 阪神11―3DeNA(2026年6月19日 横浜)

 相手DeNAは野球草創期を思わせる襟付きユニホームを着用していた。「ベースボール記念日」に合わせ、歴史の継承をテーマとしている。

 1846年6月19日、米ニュージャージー州ホーボーケンで公式な記録として残る最初の野球試合が行われた。ルールを体系化した(とされる)アレキサンダー・カートライトは「近代野球の父」と呼ばれた。ただ、このルール策定は近年の研究で疑問視されている。それでも「3アウトで1イニング」というルールは当時定められた。

 3アウトを奪われる間に、いかに本塁に還ってくるか、という得点への考え方は、昔も今も変わっていない。だから、日本でも古くから「意味のあるアウト」を重ねる重要性を問うてきた。送りバント(犠打)や進塁打、犠飛などである。

 交流戦明けリーグ戦の初戦を、阪神は長短13安打で11点を奪う大勝で飾った。派手な大量点に隠れてしまいそうだが、価値の高いアウトが勝利を呼び込んだとみている。

 プレーボール直後、初球を福島圭音が快打した1回表無死一塁。中野拓夢が初球をあっさり投前バントで送った。

 犠打は年々減少傾向にある。今では統計的な見地から送りバントが得点確率を下げることは広く知られている。それでも阪神は初回からバントを使う。中野の10犠打、チーム50犠打はいずれもリーグ最多である。

 このバントには「まず1点、先取点」を狙うだけでなく、強力なクリーンアップで2点目、3点目……につなげる期待もこもっていそうだ。

 果たして森下翔太四球の後、佐藤輝明の右越え二塁打でまず1点。なお1死二、三塁で相手内野陣が深く守り、大山悠輔が遊ゴロを転がして2点目を奪った。

 大山は5回表には左犠飛で追加点をたたき出し「次の1点が大事な場面だったので、チームに貢献できて良かったです」とコメントしている。大山の6犠飛もリーグ最多である。

 米スポーツ専門局ESPNなどが考案したプロダクティブアウト(生産的なアウト)という概念がある。進塁打や走者を還すアウトなどだ。「生産的アウトは生産的ではない」との分析もある。だが、チーム貢献の精神は数字以上の効果があるのではないか。

 後に2打席連続本塁打した大山だが、2本の打点付きアウトの殊勲をたたえたい。 =敬称略= (編集委員)