冬眠から目覚めたクマが市街地に現れている(時事通信フォト)

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 春になって冬眠から目覚めたクマが市街地に現れるケースが増加、人身被害も出始めている。そしてアーバンベアは、徐々に変化し始めているという──。【前後編の後編】

【表で丸わかり】全国のクマ出没マップ、出没が多い都道府県TOP10と件数。他、クマが目撃された住宅街を囲む警察官なども

狙われる人間は決まっている

 これまでクマが人を襲うのは、不意に出くわしてしまったがための「防衛」とされてきた。だが近年、その前提が変わったとして強い危機感を募らせるのは、岩手県宮古市議で現役のマタギとしても活動する西村昭二さんだ。

「人間を"獲物"とみなすクマが増えているように感じます。山林や草むらでクマに食い荒らされた遺体が見つかることがあり、人の肉で空腹を満たしていることに間違いはないでしょう。人間を食べることを学んだ個体は、同じことを繰り返す。これまでは果物や野菜などのにおいにつられて市街地に現れていたクマが、今後、人間を狙って山を下りてくることも考えられます。冬眠から目覚めて空腹で必死に食べ物を探しているクマのなかには、気性が荒く非常に凶暴化している個体もいます」(西村さん)

 では私たちが日常生活を送るうえで、危険な時間帯や注意が必要な場所はどこなのだろうか。岩手大学農学部准教授の山内貴義さんは、市街地(アーバン)に現れる"アーバンベア"の変化に注目してこう指摘する。

「山の中のクマは日中に活動するのですが、街に出たクマはその行動を変化させて"市街地暮らし"に順応しているようなんです。人気の少ない朝方や夕方以降に動き出すことが多いようで、5月14日に私が勤める岩手大学に現れたクマも敷地に侵入したのは朝6時頃でした。朝夕は危険な時間帯と言えるでしょう。

 またクマは50〜60cmの高さの草やヤブがあれば充分に身を隠せるといわれており、公園のちょっとした茂みにも潜むことができます。出没情報が出たときは、そうした場所には近づかない方がいい」

 明け方や日没前後の時間帯に、河川敷のいつもの散歩コースでクマと遭遇する可能性もあるということだ。

 彼らが身を潜める場所として、空き家や施錠されていない倉庫などに隠れていることも考えられるという。

 昨年末には新潟県で住宅の床下に潜んで冬眠の準備を進めていたクマが駆除された。人間のごく近い場所で、息を潜めていることも珍しくはないのだ。

 前出の西村さんによれば、クマが襲いかかるのは狙いを定めた人間だという。

「猟で追い詰められたクマは、決まっていちばんおびえているハンターめがけて突進してくるんです。マタギの世界ではクマは人間の強さを見抜く力を持っているといわれているので、力の弱い高齢のかたや女性、お子さんを真っ先に狙うと考えられます」(西村さん)

(前編を読む)

※女性セブン2026年6月4日号