『ONE PIECE』©尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション

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 TVアニメ『ワンピース』エッグヘッド編が、4月5日21時からフジテレビ系で放送の『土曜プレミアム』で帰ってくる。天才科学者のDr.ベガパンクが登場し、世界政府の頂点に立つ謎の人物イムまで姿を現し、『ワンピース』という物語の世界を一気に奥深いものとしたエッグヘッド編。「土曜プレミアム」での前半の振り返りから何が分かるのか。再開1話目となる第1123話以降に語られることが『ワンピース』という物語の次元をさらに底上げするだけに目が離せない。

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 第1089話「新章突入!ルフィとサボの進路!」から幕を開けたエッグヘッド編の2話目にあたる第1090話「新しい島!未来島エッグヘッド」のラストシーンに、どういうことだと驚いた人も少なくないだろう。転覆したサウザンドサニー号をすくい上げた巨大なロボットから現れたグラマラスな女性が、船に残っていたフランキーやナミたちに向かって「わしァ政府に雇われたしがない“天才科学者”、Dr.ベガバンクじゃ!!!」と言ったからだ。

 ベガパンクといえば「世界最大の頭脳を持つ男」と称される天才科学者で、パシフィスタのような人間兵器や人造悪魔の実の製造、そしてパンクハザード島で起こった悲劇の責任者として悪名ばかりが伝わっていた人物。それが年若い女性の姿で現れた。第1091話「未来満載!科学の国の冒険!」でロビンに「ベガパンクが女性だなんて聞いたことないわ」と否定され、ベガパンクの何人もいる分身の1人と判明したが、そうした無茶苦茶な発明を易々と行ってしまう人物であることは分かった。

 そして、フランキーたちと離れたルフィとチョッパー、ジンベエに「最悪の世代」のひとり、ジュエリー・ボニーが進んだエッグヘッドの中で、『ワンピース』がSFになったのかと思わせるような未来的な建物や科学的な装置が登場。そこにバーソロミュー・くまがモデルとなったパシフィスタが現れて攻撃してきた際、ボニーからくまが父親だということが明かされる。

 まさに超展開! もう何が起こっても驚くものかと思っていた身に、さらに驚天動地の情報が繰り返し浴びせられる。ロビンの故郷「オハラ」から受け継がれた意志の存在が示され、いかにも科学者といった風貌をしているベガパンクの本体がルフィたちの前に姿を見せる。そうして言う。「私をこの『エッグヘッド』から連れ出してクエーサー!!」。

 またしても超展開! 立場的には敵のベガパンクがいったいどうして? その理由も含めてベガパンクが長い人生の中で見知った出来事が、『ワンピース』の物語世界に奥行きを与える。やがて、世界政府を率いる五老星よりもさらに高位の存在となるイムが姿を現し、コブラ王と対峙していた世界会議(レヴェリー)の裏話がサボの口から語られ、謀略めいたものがめぐらされた世界の構造が示される。

 東の海(イーストブルー)編から始まった『ワンピース』が、主人公のルフィが海賊王になるという夢をかなえようして海に出て、仲間と出会い敵と戦いながら成長していくストーリーを楽しむものだということには変わりがない。ただ、ルフィたちが生きる世界がどのように作られたのか、どのような歴史を辿ってきたのか、そしてどこへと向かおうとしているのかが見えてきて、ファンを『ONE PIECE』という宇宙そのものに引き込んでその成り立ち、その構造、その行く末を知りたいと思わせる。

 ルフィが強く大きくなるという物語からガチャリとフェーズが変わる。それがエッグヘッド編なのだ。

 もちろん『ワンピース』に欠かせないバトルもたっぷりだ。懐かしのロブ・ルッチやカクといった強敵が現れルフィと激突する。「最悪の世代」のユースタス・キッドがあの赤髪のシャンクスを襲撃してそこでシャンクスの凄まじい強さが示される。第1112話「激突!シャンクスVSユースタス・キッド」はエッグヘッド編でも屈指の作画で迫力たっぷりのバトルが描かれる。ネットを沸かせたトラファルガー・ローの女体化エピソード共々、特別編集版にきっと登場するだろうし、しないはずがない。

 黒ひげに囚われたコビーを救出しようと、ルフィの祖父で海軍中将のガープが海賊島「ハチノス」に乗り込み、教え子だった元海軍大将の青キジと激突し……といった具合に展開は本当にめまぐるしい。フランキーやサンジ、ゾロといった麦わらの一味のバトルも続いていて、いったい誰がどこで何をしているのかを把握しづらいところもあるが、基本となるのはベガパンクという存在が過去に何をしてきたのか、それが世界をどう変えそしてこれからどうしようとしているのかといったことだ。特別編集版がどのように編集されていたとしても、ベガパンクとの出会いが『ワンピース』という物語の楽しみ方を変えてしまいかねないくらい、大きなものであることは感じ取っておこう。

 特別編集版の後に放送となる第1123話「世界震撼!麦わらの一味立てこもり事件」から始まるエッグヘッド編の後半は、海軍大将の“黄猿”ことボルサリーノがエッグヘッドに乗り込んできて、ギア5のニカとなったルフィと凄まじいバトルを繰り広げる。他の麦わらの一味も加わり、五老星まで加わっての大混戦となって、くんずほぐれつのアクション描写を楽しめるだろう。

 その先に待っているのが、ボニーの父だと分かったバーソロミュー・くまの凄惨な生い立ちを描く回想ストーリー。世界貴族の横暴を通して描かれていた差別が民族レベルで行われていたことが分かり、読者を暗澹とさせる。そして始まるベガパンクによるある行為。明らかにされる事柄が世界を震撼させ、「ひとつなぎの大秘宝」という、ゴール・D・ロジャーが処刑の際に言葉にして示した存在が、莫大な金銀財宝などではなく、それこそ世界の命運を左右するほどのものであることを指し示す。

 ワノ国編のクライマックス以上に総力戦の感じが強いバトル描写と、ベガパンクの動向が折り重なって進んでいく展開のめまぐるしさに置いて行かれそうになるかもしれないが、物語世界の謎に迫るところもあるだけに、毎週の放送をしっかりと追いかけていきたい。

 『ONE PIECE』については、エルバフ編へと進んでいく中で、巨人たちとの出会いがあり、ワノ国編で存在が示された神の騎士団の参戦もあってと世界に対する認識がさらに深まっていく。エッグヘッド編で明かされる事柄とも関わる内容だけに、日曜夜へと移る放送時間の中で流れを把握し、録画なり配信を見返して内容への理解を深め、いずれ来るだろうTVアニメのエルバフ編放送を待ちたい。

 原作派は放送が終わって程なく配信・発売される『週刊少年ジャンプ』で先を行く展開を確かめる『ワンピース』漬けの週末を送ろう。これでもかと叩き込まれる情報に興奮し、月曜朝を寝不足で迎える可能性も大きいが。(文=タニグチリウイチ)