不動産仲介大手が火花散らす、“ICT競争時代”に入った

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 不動産仲介業において、情報通信技術(ICT)による生産性の向上が大手同士の新たな競争軸になり始めた。特に業界4位の野村不動産アーバンネット(東京都新宿区)と、同3位の東急リバブル(同渋谷区)は、ICTを積極的に活用し、集客などに生かすことで上位2社を猛追する構えだ。

 一方、売買仲介各社は「不動産の売買は売り手も買い手も事情や嗜好の個別性が強い。それらを踏まえて購入や売却を提案し、決断を促す作業は営業マンの力が肝になる。ICTだけでは難しい」と自負する。このため、営業マンの力とICTの融合による顧客対応力の向上は、売買仲介の現場におけるICT活用の重要なキーワードになる。

相場価格で売却機会を掴む
 「ICTを活用して前を行く競合を追いかける」。野村不動産アーバンネット経営企画室経営企画課の山内崇弘専任課長は力を込める。不動産業界専門紙「住宅新報」の調べによると、同社を含む野村不動産グループの売買仲介の取扱件数は三井不動産リアルティ(同千代田区)や住友不動産販売(同新宿区)などに次ぐ4位だ。その中で集客などにICTをフル活用して、上位との差を詰めようと躍起になっている。

 同社は2016年にICTの活用について組織横断で検討するチームを社内に立ち上げた。ソニー不動産(同中央区)とヤフーが売り主と買い主をウェブ上で結び付けるサービス「おうちダイレクト」を始め、「不動産テック」という言葉が注目されはじめた頃だった。野村不動産アーバンネットは「元々、ICTを強みに企業として成長したい意欲があった」(山内専任課長)。その中で、宮島青史会長(当時)に背中を押される形で、具体的なICT活用策を検討するチームが走り出した。

 ただ、「仲介業務の柱は営業マン」という点は強く意識した。売り主と買い主がウェブ上で直接結び付くCツーC市場の可能性が指摘される中でも、「不動産を売り買いする大きな決断に営業マンの介在は不可欠」(山内専任課長)と考えたからだ。そこで、営業マンの業務負荷の軽減などに寄与するICTの活用方法を模索した。たどり着いた一つの答えが「マンションデータPlus」だ。17年12月に始めたウェブサービスで、首都圏や関西圏などのマンション2万棟以上の相場価格などがわかる。不動産情報サービスの東京カンテイ(同品川区)の協力を得て実現した。

 同サービスでは利用者が所有マンションを登録すると、毎月メールで最新の相場価格を知らせる。所有者と継続的にコミュニケーションすることで、売却検討時に依頼を受けられる仕組みを構築する狙いだ。同社の土居賢徳ノムコム推進部長は「(相場情報を伝える)メールのクリック率は4割程度ととても高い。売り主の集客戦略として機能している」と手応えを強調する。ICTにより効率的に集客した売り主を営業マンにつなぎ、売買の成約に結び付けていく。

重要事項説明書の作成時間を半減
 業界3位の東急リバブルも、営業マンの顧客対応力の向上を目的にICTの活用を強化してきた。12年には他社に先駆けてiPad(アイパッド)による接客を導入した。現在は営業用資料のほかに、住宅ローンの審査申し込みができる機能などを搭載している。アイパッドの導入により、営業マンが店舗で接客する際に自身のデスクに戻ってパソコンを検索する作業などをなるべく減らし、接客に業務時間の多くを割ける体制を構築している。

 さらに今年4月には、契約前に物件情報や契約内容を書面にして買い主などに説明する「重要事項説明」の書面を簡易に作成できるシステムの運用を始めた。ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)などを活用し、作成作業の多くを自動化した。作成時間は平均45分と従前に比べて半減したという。