【漫画】本編を読む

 仕事で大きな失敗をした時、本当に必要なのは正論や叱責ではないのかもしれない。必要なのは、ただそばにいて、そっとなぐさめてもらうこと。欲を言えば、たとえば、モフモフの大きな猫がぎゅっと抱きしめてくれたら、張りつめていた心がこの上なく癒されると思うのだが……。

『ブラック企業の社員が猫になって人生が変わった話(モフ田くんの場合)』(清水めりぃ/KADOKAWA)は、ある日突然猫になったモフ田くんの日々を描く爆笑コミック。猫になっても会社員として働き続けるモフ田くんは、会社にいるだけで職場の空気をやわらげる。人間だった頃とは違う形で、周囲を支える存在になるのだ。

 心に残るのは、プレゼンで失敗した社員をモフ田くんがなぐさめる場面だ。常務たちの機嫌を損ねてしまったことを気に病む社員に、モフ田くんは大きな体でそっと寄り添う。ふわふわの毛並みに包まれた社員が「何コレ…幸せ感じる…」「信じられないくらい癒やされる…」とつぶやくのもよく分かる。……私もこのモフモフに埋もれたい。疲れ切った時は、どんななぐさめの言葉よりも、猫のぬくもりが一番だ。

 やがて、その評判を聞いた社員たちが次々とモフ田くんのもとへやってくる。残業続きの人、胃に穴が開くほどストレスを抱えた人、ただ「ぎゅってしてほしい」と願う人。行列ができる光景には笑ってしまうが、同時に少し切ない。それだけみんな、日々の仕事で心をすり減らしているのだ。こんなふうに何も言わず寄り添ってくれる存在が、どこの職場にもいてくれたらいいのに。そして、そんな存在が、職場の根本をも変えてくれたらいいのに……。「弊社にもぜひ猫社員を」--思わずそう願ってしまうのは、きっと私だけではないだろう。

文=アサトーミナミ