自身の取り調べ映像を、メモを取りながら見る田渕被告(イラスト・構成 竹本佐治)

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 大阪地検特捜部が捜査した業務上横領事件で、違法な取り調べをしたとして、特別公務員暴行陵虐罪で付審判決定を受けた検事の田渕大輔被告(54)の第2回公判が15日、大阪地裁であり、田渕被告の取り調べの映像が法廷で再生された。

 「なめるんじゃねえよ」などと大声で容疑者に迫り、供述を引き出そうとする様子が明らかになった。

 法廷で再生されたのは、2019年12月5日に逮捕された不動産開発会社「プレサンスコーポレーション」(現・プレサンス)の元部長(有罪確定)の取り調べ映像。同6〜9日に行われた取り調べのうち、証拠採用された計約1時間15分の映像が大型モニターで映された。

 田渕被告は6日、取り調べを録音・録画(可視化)していることに触れ、「上級庁からは厳しい目で見られるわけですよ」と語りかけた。7日は、供述を変遷させる元部長に対して、「場当たり的に言い訳をしようとしているからボロが出る。こんな不誠実なことないでしょ」と大声を出した。

 再生された映像は、8日の取り調べが約1時間と大半を占めた。

 田渕被告は、逮捕前に同僚らと口裏合わせをしていたと追及。一向に認めない元部長に対し、机をたたき、「うそだろ。今のがうそじゃなかったら、何がうそなんですか」と激高した。「どのみち終わりですよ、プレサンス」「あなたは有罪が確定しているから」とまくし立てた。

 9日は、同社元社長の山岸忍氏(63)(無罪確定)の関与について、繰り返し確認した。山岸氏は関わっていないと否定した元部長の説明が不自然だと指摘し、「(あなたは会社の)損害を賠償できます? 10億、20億じゃすまないですよね」と迫った。この日、元部長は最終的に山岸氏の関与を認める供述をした。7日後、特捜部は山岸氏を逮捕した。

 映像が再生されている間、田渕被告は弁護人の横でモニターを確認しながらメモを取っていた。傍聴席では、山岸氏が厳しい表情でモニターを見つめた。

 この日の公判では、検察による田渕被告の指導状況などが記された書面も証拠採用された。検察官役の指定弁護士は書面の内容について、東京地検が22年に当時所属していた田渕被告に対し、机をたたいたことや、「(プレサンスコーポレーションの)役員全員が逮捕される」と発言したことなどは不適正だとして指導していたと説明した。

 第3回公判は8月24日に決まった。捜査を指揮した主任検事・蜂須賀三紀雄検事(53)(現・千葉地検刑事部長)の証人尋問が行われる見通し。

 田渕被告は10日の初公判で、取り調べでの言動を認めた上で、「陵辱・加虐の意図はない。罪は成立しない」と無罪を主張した。

 起訴状にあたる付審判決定には、19年12月6、7日の取り調べは含まれていなかった。閉廷後、大阪市内で記者会見した指定弁護士の山口昌之弁護士は「田渕被告は6日に『録音・録画されている』という発言をしており、録音・録画されていることを十分に理解していたことを示したかった」と述べた。

 田渕被告の弁護人の森直也弁護士も会見し、「単に一部分の言動を切り取るのではなく、全体を見てもらわなければ、陵虐に該当するかはわからない」と語った。