希少なTレックスの化石が競売に、史上最高額の81億円で落札 NY

(CNN)米サウスダコタ州で発掘されたティラノサウルス・レックス(Tレックス)の骨格標本が、競売にかけられた化石として世界最高額で落札された。サザビーズが14日にニューヨークで開催したオークションでついた価格は5013万ドル(約81億円)だった。
この約6700万年前の骨格標本は、「ガス」という愛称で呼ばれている。その名は、標本が発見されたサウスダコタ州ハーディング郡の土地を所有していた牧場主、故ゲーリー・「ガス」・リッキング氏にちなむ。同氏は2022年、この化石の発掘が始まって1年後に亡くなった。
サザビーズによると、Tレックスのガスは全長約11.6メートル、体高約3.8メートル。頭骨は約137センチあり、これまでに発見されたTレックスの中でも最大級の個体の一つだという。183個の化石骨要素を含み、骨の数で約61%、質量では75〜80%の完全性を備えている。
多くのTレックスの骨格と同様に、ガスもモンタナ州、ワイオミング州、そしてサウスダコタ州・ノースダコタ州にまたがる伝説的な化石産地「ヘルクリーク層」から発見された。1902年には最初期のTレックスの骨格の一つがここで見つかっている。
これまで化石オークションの最高額記録を保持していたのは、24年に億万長者ケン・グリフィン氏が4460万ドルで購入したステゴサウルス「エイペックス」だった。この標本は現在、ニューヨーク自然史博物館への4年間の貸し出し期間の半ばにある。
ガスの落札予想価格は2000万〜3000万ドルと見積もられていた。落札者は電話を通じて化石を競り落とした。
科学界から失われるのか古生物学者の多くは、化石が個人の所有物になると、科学にとっては失われたも同然になると考えている。科学雑誌が掲載するのは、一般にアクセス可能な公的コレクションに保管された標本に基づく研究だけであり、化石が個人所有の場合、研究結果を信頼性をもって再現できなくなるためだ。これは科学的発見を検証するうえで重要な基準となる。
ガスは、科学者にも購入希望者にも興味深い特徴を数多く備える。頭骨は元の骨の約82%が保存されており、骨格には叉骨(さこつ)、完全な骨盤、両足といった、めったに見つからない部位も含まれている。サザビーズによると、両足がこれほど良好に保存された標本は他に1体しか知られていないという。また、ガスには噛(か)み傷や、骨折の痕跡も確認されている。
サザビーズはガスについて、これまでに発見された中でも最も完全性の高いTレックス化石の一つだとしている。ただこの標本は、2020年に3180万ドルで落札された「スタン」(骨の数で約70%の完全性)や、1997年に史上初めて競売にかけられた恐竜化石「スー」ほど完全ではない。後者は約90%という驚異的な完全性を誇り、その後の基準を設定した。
現時点で落札者の身元は明らかにされておらず、当該の人物が化石を今後どのように扱うかに注目が集まっている。
