父の日に「一度もプレゼントをもらったことがない」は3人に1人…実は「富裕層」ほど父の日をちゃんと祝う“納得の理由”
今年の「父の日」は6月21日。カーネーションとともに華やかにお祝いされる「母の日」と比べると、「気づいたら過ぎていた」「何をあげたらいいか分からず、結局スルーした」という声も多く、毎年どこか影が薄い印象が否めない。
世のお父さんたちはどれくらい家族から感謝の気持ちを受け取っているのだろうか。「デイリー新潮」では、50歳以上の父親200人を対象に「父の日ギフト」に関するアンケートを実施。そこから浮き彫りになったのは、哀愁と優しさに満ちた“男親のリアル”だった。
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3人に1人が経験する「スルーされる父の日」
アンケートの結果、世のお父さんたちを取り巻く現実はなかなかにシビアなことが判明。

「これまでに父の日のプレゼントをもらったことがあるか」という問いに対して、「ある」と答えたのは137人で68.5%。一方で、「ない」と回答したのは63人で全体の31.5%にのぼった。つまり約3人に1人のお父さんが「一度ももらったことがない」という切ない現実があるようだ。
世間がどれだけ「日頃の感謝をする日」と盛り上げても、3割強の家庭では普段の日と変わらない“通常日”としてスルーされている。そんなお父さんたちの本音はいかに? 回答を深掘りしてみると、男親ならではの強がりや切なさが入り混じった複雑な胸中が見え隠れした。
「子どもは元気に育てばそれでいい。特に何かを欲しいとは思わない」(66歳・静岡県・無職)
「子どもは3人いて、皆仲良しだが、父の日なんて気にしたこともない。それでいいと思っている」(72歳・神奈川県・自営業)
「父の日にプレゼントを要求するものではない。また、欲しいものはない」(71歳・東京都・無職)
このように、「何も求めていない」と達観した心境を語る人も多かった。その反面で、ポロリと本音を吐露する声もチラホラ見られた。
「ひと言でもいいから『ありがとう』とか、『おめでとう』って言ってもらえたら、こんなうれしいことはない。でも、これからもないだろうね」(61歳・茨城県)
「ひと言、『ご苦労様です』の言葉が欲しい」(69歳・静岡県・会社員)
「父の恩を感じてほしい、どうせ早く逝くのだから……」(73歳・滋賀県・製造業)
モノが欲しいわけではない。ただひと言、感謝の言葉をかけてくれるだけで救われる……。そんなお父さんたちの切実な心の声が悲しく響く。
定番の酒から10年モノの財布まで
一方で、68.5%の「もらったことがある」という幸せなお父さんたちに、これまでで一番うれしかったギフトについてもリサーチ。
最も多くの声が集まったのは、やはり定番のアルコール類。
「大好きな焼酎いただいて、家族で乾杯しました」(67歳・東京都・自営業)
「体のことを気遣ってくれて、プリン体ゼロ、糖質ゼロのビールをもらった」(78歳・兵庫県・自営業)
「毎年自分の好きなお酒を送ってくれるが、自分で買っている銘柄とは違い高級品であることに感謝している」(81歳・愛知県・無職)
また、身だしなみを気遣うポロシャツやセーターなどの衣類、普段使いできる実用的な小物類も人気が高い。
「長男が革靴をプレゼントしてくれた。8年経った今でも大切に履いています」(64歳・千葉県・会社員)
「息子がアルバイトで稼いだお金で、革財布を送ってくれた。うれしくて10年間使い続けた」(70歳・大分県・無職)
子どもからもらったものを、何年も大切に愛用し続ける姿には、親の愛が感じられて思わず胸が熱くなる。さらに、食事などの体験型ギフトも記憶に深く刻まれているようだ。
「初任給で高い店でごちそうしてくれた」(57歳・東京都・男性)
「普段は『節制しなさい』と子ども達から言われますが、父の日だけはお寿司屋さんで豪勢な食事会を開いてくれます」(80歳・栃木県・自営業)
そして、お金をかけた贈り物以上にお父さんたちの心を温めたモノは、なんといっても子どもの手による思い出の品。
「似顔絵を書いてもらって嬉しかったです。大切にして、しまってあります」(71歳・兵庫県・経営者、役員)
「小さいころだけど手紙がうれしかった。いまだに大切に持っている」(60歳・千葉県・自由業)
「子どもが小さかった頃にもらった肩たたき券」(68歳・大阪府・会社員)
何十年も前にもらった子どもからのプレゼントを大切にしまっているという涙ぐましいエピソードもあった。
逆に内心ガッカリしてしまった贈り物についても聞いてみると、「気持ちだけでうれしい。ガッカリしたことはない」という声がほとんど。中には、
「私の年齢が65歳なので、子どもが孫と間違えられることも多いのだが、子どもから高齢者用のサポーターを贈られた時は嬉しいものの複雑な気持ちだった」(65歳・大阪府・自由業)
「娘から派手目のシャツをもらったが、気恥ずかしくて、なかなか着られなかった」(63歳・神奈川県・自由業)
など、子どもの配慮が、お父さんの好みやニーズと微妙にかけ離れて困惑したという声もあったが、「自分のために選んでくれた」という事実に喜びを見出していることは行間から感じられた。
セレブのギフトは「相続税」を意識?
一般的に、父の日ギフトの世間的な相場は3,000円〜5,000円程度と言われており、その様子は先のアンケートからも見てとれる。だが、それ以上の額のプレゼントをする人々もいるんですよ……と教えてくれたのは、ファイナンシャルプランナーの山口京子さんだ。
「父の日は、富裕層ほど力を入れると言えるかもしれません。なぜなら、父の日や誕生日などの行事をきちんとしないと、将来の相続で揉めかねないからです。家族のイベントは極力大切にされている方が多いです」(山口さん)
お金持ちであれば予算も潤沢で、プレゼントも選び放題かと思いきや、そうではないらしい。
「お父さまの財産(資産)をこれ以上増やすと相続税が増えてしまうため、『高額なモノ』は贈らないのが鉄則。そのため、予算はかなり潤沢ですが、形に残らないお食事などの“消え物”を贈る方が多い印象です」
山口さんが聞いたなかで、いちばん驚いたのは高級鮨「銀座久兵衛」の出張サービスだという。
「ご予算ざっと30万円から! 割高ですが、お寿司屋さんまでの移動時間がなくていい、好きなお酒が飲める、酔ったら寝られる……と、いいことづくめなんだそうです。お寿司の出張サービスに、流しのギターを呼んだ方もいらっしゃいました。サプライズとして十八番を歌ってもらったようです」
ふだんは久兵衛とクラシックの出張サービスをセットにして呼んでいたので、実質「流しのギター」部分がプレゼントだったようだ。さらに意外だったのは……。
「お金持ちのマダムが“すごくいいお店を下町に見つけた。家族みんな大喜びだった”と語っていたのが、もんじゃ屋さん! お金持ちはあらゆる高級なものを食べているから、逆にふだん見たことないようなものを喜ぶみたいですね」
年に一度のこの日は、家族との距離感や、それぞれの家庭環境が鏡のように映し出される日ともいえる。しかし、一般庶民でも富裕層であっても、お父さんたちが本当に欲しているのは、お金では買えない家族からの純粋な感謝の言葉ではないだろうか。
アンケートに並んだ、子どもからの古い手紙や似顔絵を何年経っても大切に保管している父親たちの姿が、それを物語っている。今年の父の日は、プレゼントを探す前に、まずは「いつもありがとう」のひと言を伝える連絡から始めてみてはいかがだろうか。
取材・文/荒木睦美
デイリー新潮編集部
