25シーズンはJ2で戦うRB大宮。写真:鈴木颯太朗

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「今日の始まりが夢の始まり」――。

 コマーシャルディレクターのフィリップ・ヴンダーリッヒ氏の新体制発表での言葉だ。世界的飲料メーカーのレッドブルが新オーナーになり、「RB大宮アルディージャ」としての元年がスタートを切る。J1昇格を目標に掲げ、シンボルの“赤い闘牛”さながらの戦いを期待できる陣容が整った。

 今季は2年ぶりにJ2へ戻り、長澤徹監督が引き続き指揮を執る。そのもとでJ3優勝を飾った主力選手が全員残留し、なかでもレンタル移籍だったFW杉本健勇はジュビロ磐田、MF泉柊椰はヴィッセル神戸から完全移籍を選んだ。2人とも「かなり大きな決断だった」と口を揃え、強い覚悟が伝わってくる。

 その軸となるメンバーに、9人の新しい顔触れが加入した。目玉はMFの豊川雄太だろう。長澤監督とは、かつてファジアーノ岡山、京都サンガF.C.でもともに高みを目ざし、今回で3度目。豊川は「徹さんとやると熱くなれる」と信頼を寄せ、練習でも率先して声を張り上げるなど精力的だ。
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 DFガブリエウとFWカプリーニは横浜FCでJ1昇格の力になった。キャプテンだったガブリエウは「J3からJ2に上がり、なおかつJ1に上がることはものすごく面白いし、そこに挑みたい気持ちがあった」と言う。経験を活かし、再び日本最高峰の舞台を目ざす。

 このほかGK坪井湧也、MF谷内田哲平、DF安光将作、アカデミー出身組で大卒のDF福井啓太とMF中山昂大、大宮U-18から昇格のFW磯粼麻玖と攻守にバランスよく人材を獲得。選手データはレッドブルと共有されていて、昨季の土台へ上積みできると判断したメンバーたちが揃った。

 スタッフ陣も各部門で増え、より“チーム長澤”になった印象を受ける。腹心に加わった戸田光洋コーチは長澤監督と縁が深く、FC東京では選手として、岡山はコーチとして共闘してきた。昨季までの5年間は川崎フロンターレでコーチを務め、培ったノウハウをさっそく落とし込む。

 新シーズンは「強度の高さのなかから技術を発揮する」(MF小島幹敏)がテーマの一つ。昨季に鍛えた強度に、FW藤井一志は「戸田コーチがきてからトレーニングの初めに、“止めて蹴る”を毎日やっている」と技術を意識。「いろいろなアイデアを仕込んでくれる」と好評だ。

 そういった練習を重ねることで「コンマ何秒、視線が上がるタイミングが早くなってくる。ギリギリで味方を見つけられるようにはなる」と長澤監督。「これだけは年間通してやっていかないと見えてこない」と焦らず、長い目で質を高めていく。

 戸田コーチは「徹さんがやりたいサッカーに対して必要なことをやっている」と長澤監督の意向に沿ってサポート。「今年は攻撃のところも磨きたい、多彩に攻めたいという部分がある。選手たちも一生懸命にトライしてくれている」と目を細めた。

 強度と技術を支えるフィジカル面でもプラスアルファが見える。走行距離などを測定するGPSのデバイスがレッドブルグループ共通のものに変わった。奥村拓真フィジカルコーチは数値について「膨大なデータから評価やアドバイスをいただける」とメリットを語る。

 個人データは選手にも送られており、それぞれがチェックする。DF茂木力也は「前よりも精度が高くなって、スプリントの数など前より細かく計測されている」と言い、“レッドブル効果”を実感。今季からはGKもデバイスをつけ、取り組みが可視化して笠原昂史は「自分自身まだまだ変われそうだなという楽しみが一つ増えた」と向上心に刺激を受けた。
 
 また、長澤監督は新体制発表で「第1節から第38節まで全てのゲームで襲いかかる」「信じるに値するチームを最終的に作る」と約束した。前述のように有言実行の準備は強度、技術、フィジカルの“三拍子”で着々と進み、ここからもっとブラッシュアップされるだろう。

 いよいよ2月15日、ホームで迎える開幕戦が迫った。日本で100%外資のチームはRB大宮が初で、J2だけにとどまらずリーグ全体、世界も注目するシーズンの幕開けだ。

 その試みに挑む杉本は「選手にとって満員のホームでやれるというのは本当に幸せだし、心強いので一杯来てほしい」とメッセージ。チームの勇姿を見届けようと詰め掛けるだろうたくさんのサポーターと一緒に、RB大宮の“快進撃”が始まる。

取材・文●松澤明美(大宮花伝)