OEM車はダサい?メリット・デメリットや人気のOEM車を解説
OEM車とは?
一般的にOEMとは「Original Equipment Manufacturing(オリジナル・エクイップメント・マニファクチャリング)」の略であり、他社ブランドの製品を製造すること、またその企業のことを指します。
OEMの語源には諸説あるものの、1950年代にIBM社が造った造語だという説が最有力です。当初は「製造者」を指していましたが、やがて「製品を製造する行為」としても用いられるように変化していきました。
OEM車とは自社ブランドで販売される、他社によって製造された「車」のことを意味します。つまりA社が製造する車をB社が自社ブランドとして販売する場合、それは「OEM車」と呼ばれます。
また、一概に「OEM車」と言っても、エンブレムのみが異なるケースやデザインにも変更が加えられるケースなど、いくつかのパターンがあります。
■OEM車を供給・販売するメリット
・他社の車をOEM車として自社ブランドで販売するメリット
OEM車を販売する最大のメリットは「自社で取り扱っていないタイプの車を、開発コストをかけることなくラインナップに追加できること」です。
OEM車で欠けているラインナップを埋め合わせることで、より幅広いユーザーニーズに応えることが可能になります。
・自社ブランドの車を他社にOEM車として提供するメリット
OEM車を他社に提供する最大のメリットは「販売台数が増加し、収益の向上が見込めること」です。仮に自社での販売台数が減少した場合でも、他社との合計販売台数が増加すれば、メーカーとしてはさらなる収益を得ることができるようになります。
■【コラム】OEM車ってダサいの?
OEM車について議論される「ダサい」理由について取りあげてみましょう。
第一に、OEM車は供給元と販売元が合意のうえで販売しているためコピー商品ではありません。基本的な外観は同じですから、ダサい・ダサくないの評論は外観に関することではなく、その車に対する印象についての言及であると考えられます。
機能だけでなく外観や雰囲気も重視される車という商品であるため、車についてよく知る人にとっては、まるでニセモノのように感じられるのも無理はありません。
とはいえまったく同じ車なのですから、車に無頓着な人にとっては、そもそもどちらが製造元でどちらがOEM製品なのかすら区別がつきません。
とくにOEM供給される車の多くは実用車であり、外観よりも機能が優先されます。OEM車に乗る人にとっては、希望の車にさえ乗れれば、本物であろうがニセモノであろうがどちらでもよいことです。
OEM車であることが気になる場合には、メーカーや車名のエンブレムを変えてしまいましょう。そうすればOEM車であることに気付く人はまずいません。ただし工場での整備時や車の呼び出しの際は、やや混乱を招く恐れがある点には注意してください。
OEM車を買うメリット・デメリット
■メリット
・オリジナルブランドよりも安く買うことができる
OEM車は一部の車種を除き、オリジナルブランドよりも知名度が低く市場での人気も今一つなモデルが多いため、オリジナルブランドのモデルよりも値引きができるケースがあります。
・オリジナルブランドより納期が早い
OEM車は納期待ちの状態が発生しずらく、購入契約してから納車されるまでの期間が短いといわれています。
・選択肢が増える
OEM車はオリジナルブランドとディーラーオプションなどのアイテムも変わってくるので、オプション自体の選択肢が増える場合もあります。
■デメリット
・ダサいといわれる
ダサいと言われてしまう原因としては、オリジナルブランドのコピー商品というイメージが強く、また供給を受ける側の自動車メーカーの穴埋め的な車種のイメージもあるようです。
・下取りが安い
これは最大のデメリットと言えるかもしれません。オリジナルブランドに比べダサいなどのイメージも強くあまり存在感がないのがOEM車です。そのため、中古車市場での人気も低く、中古車価格相場も低いのです。
国産OEM車の主要車種一覧
■OEM車の代表例|OEM車は軽自動車に多い
「マツダ スクラムワゴン」、「三菱 タウンボックス」、「日産 NV100クリッパーリオ」の3車種は、実はスズキで販売されている「エブリィワゴン」のOEM車です。
エブリィワゴン・スクラムワゴン・NV100クリッパーリオにはグレードが3種あるのに対し、タウンボックスはグレードが2種と少なくなっています。また、この4車は同じエンジンを搭載しているので燃費に差はなく、内装や装備などにもほとんど違いは見られません。
車両価格 スズキ エブリィワゴン 1,430,000~1,780,000 マツダ スクラムワゴン 1,440,400~1,780,000 三菱 タウンボックス 1,610,000~1,810,000 日産 NT100クリッパーリオ 1,610,000~1,820,000 [単位]円(消費税込み)■他のOEM車の主要車種をご紹介
他にもマツダの「キャロル」スバルの「プレオ」やなどOEM車はたくさんあります。他にはどんなOEM車があるのか表にまとめて見てみましょう。
・トヨタのOEM車
供給元 車種名 トヨタの車種名 ダイハツ ウェイク → ピクシスメガ ハイゼットカーゴ → ピクシスバン ハイゼットトラック → ピクシストラック ミラ イース → ピクシスエポック・マツダのOEM車
供給元 車種名 マツダの車種名 スズキ エブリィ → スクラムバン エブリィワゴン → スクラムワゴン アルト → キャロル ハスラー → フレアクロスオーバー スペーシア → フレアワゴン ワゴンR → フレア・三菱のOEM車
供給元 車種名 三菱の車種名 スズキ エブリィ → ミニキャブバン エブリィワゴン → タウンボックス・日産のOEM車
供給元 車種名 日産の車種名 スズキ エブリィ → NV100クリッパー エブリィワゴン → NV100クリッパーリオ 三菱 ekワゴン → デイズ ekスペース → デイズルークス・スバルのOEM車
供給元 車種名 スバルの車種名 ダイハツ アトレーワゴン → ディアスワゴン タント → シフォン タントカスタム → シフォンカスタム ミラ イース → プレオプラス■めったに見ないOEM車も
あまり知られていませんが、トヨタ カムリにも「アルティス」というOEM車が存在します。軽自動車のイメージの強いダイハツですが、2012年5月にトヨタからのOEM供給を受け、ダイハツ初のハイブリッド乗用車として登場しました。
「カムリ」はトヨタが販売しているハイブリッドセダンの1つです。2017年7月のフルモデルチェンジを経て、10代目へと世代交代し、現在人気が高まっている車種です。
しかし、本家のカムリに対してアルティスは見かけることも少なく超レアなOEM車といえます。
OEM車で人気のある車種はどれ?
OEM車で断トツの人気を誇るのはトヨタ ライズとトヨタ ルーミーです。これらの車種はダイハツ ロッキーとトールのOEM車であり、製造元がダイハツであるのにも関わらず、OEM車であるトヨタ車の方が人気となる逆転現象が起きています。
ただし、どちらもOEM車が直接的な人気の理由というわけではなく、従来のカーラインナップの隙間を埋める絶妙なパッケージングで大好評の理由です。さらにこの逆転現象は、トヨタの販売チャネル規模の大きさも影響していると思われ、現にトールのOEM車であり、ディーラー数でダイハツよりも劣るスバルのジャスティはあまり売れていません。
また、トヨタ ライズ/ダイハツ ロッキーおよびトヨタ ルーミー/ダイハツ トールは外観や内装にも違いが設けられており、コピー商品のような雰囲気が払拭されている点もわずかながら人気に影響していることでしょう。
■商用OEM車は安定した人気
もうひとつの人気OEM車は、軽商用車であるスズキ エブリイを日産で販売しているNV100クリッパーです。NV100クリッパーは、同じエブリイのOEM車のなかでも断トツで売れています。
ただし、これは明らかに販売チャネルの規模による影響といえるでしょう。日産系列会社の社用車としての導入や、それらと取引のある業者の導入も少なからず販売台数に影響しているはずです。
そうであったとしても、外観よりも機能性が重要視される1BOXバンや軽トラなどの商用OEM車は、乗用OEM車に比べて安定した人気を維持する傾向にあります。
外車・輸入車のOEM車はある?
■日本で発売されていた外車のOEMモデル
・フォード フェスティバ
2代目 フォード フェスティバ
フェスティバはフォードであるものの、すべてマツダ製で作られました。
■日本車メーカーが外車メーカーに供給したOEM車
・アストンマーティン シグネット
高級車メーカー、アストンマーティンがトヨタ iQをベースに作られたのがシグネットです。
・アバルト 124スパイダー
アバルト124スパイダーはマツダとフィアットの技術協力協定により、フィアットの傘下であるアバルトがチューンアップして販売されました。
・シトロエン Cクロッサー
シトロエン Cクロッサーは三菱 アウトランダーをベースに共同で開発しました。兄弟車にプジョー 4007があります。
・プジョー iOn
三菱自動車とPSAプジョー・シトロエングループが電気自動車の開発供給の締結により三菱 i-MiEVの姉妹車としてシトロエンC-ZEROを発表しました。その後プジョー iOnも販売されました。
・シトロエン C4エアクロス
こちらも三菱自動車の協力関係にあるPSAプジョー・シトロエングループが三菱 ASXをベースにOEM供給されました。プジョー 4008も同じく姉妹車として販売されました。
・メルセデス・ベンツ Xクラス
メルセデス・ベンツ Xクラスはルノー日産アライアンスと共同開発したモデルです。日産 NP300ナバラとフレーム、主要コンポーネントを共用したデザイン。日本には導入されず、2年で販売終了となりました。
・フィアット セディチ
フィアット セディチはスズキとフィアットが共同で開発したモデルです。メーカー違いの兄弟車でプラットフォームはスズキ スイフトと同じもので、スズキの工場で生産されました。
OEM車はパクリではない!自分好みの1台を選ぼう
基本的にOEM車と提供元の車との間に性能の差はありません。グレード構成や車両価格は、各メーカーごと若干異なるケースもありますが、大きな価格差が生まれることはほとんどありません。
中身はどれも同じ車であるため、好きなブランド、また好きなデザインから好みの1台を選ぶことができます。OEM車の意味や仕組みを理解できれば、車選びの幅が広がることでしょう。
